コラム

 公開日: 2016-01-08 

イラク戦争と靖国神社への祈り(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈『みやぎ四国八十八か所巡り道場』をご守護くださるお地蔵様〉



 平成16年1月、自衛隊のイラク派兵に鑑み、小生は、仏神と祖霊のご加護で自衛隊員の無事帰還をはかるべく、靖国神社へ向かって托鉢行を始めた。
 やむにやまれぬ思いは文中にある。

「本堂において戦争犠牲者の供養を毎日行ってはいるが、それだけではなく、神と仏が争わぬ日本の国ぶりの重要性を口にする者として、自ら汗をかいてそれを体現せねばならなかった。」

 世界の情勢が急変を見せ始めた今、そのおりの記録を加筆訂正しながら再掲しておきたい。
 不戦日本の願いを込めて。

○準備(1月27日)

 朝から弟子と信徒さんと妻と4人で、『法楽の会』会員へ配布する機関誌『法楽』を作った。
 製本というのはなかなか手間がかかる作業である。
 毎日のように印刷・発送・お守作り・記録などのこまごました作務が法務として行われていようなどと想像する方は一人もおられまい。
 いずれ、僧侶の仕事は、肉体を使うものが六分以上なのである。

 奉仕活動の合間に、言葉から血が滲むようなご質問があった。

「み仏の教えの根本は〈悪しきことを行わず、善きことを行ない、自らを浄めなさい〉ですが、愚かで罪深い私にはとても不可能です。
 私は救われないのでしょうか?」

 実践者としての回答は一つしかない。

「決心してみ仏の教えを保ち実践するならば、それが完全に達成されていなくとも、もう、み仏のお救いはいただいているのです。
 行者としての確信です」

 はからずも複数の方から同じようなお話があり、『法句経述仏品第二十二』についてやりとりをしているうちに、今日も夕刻になってしまった。
 出発を明日に控え、多くの方々がわざわざご来山してお励ましくださり、電話や手紙でお励ましくださり、ご送金くださり、ただただありがたくてならない。
 雪がかすかに落ちてきた。
 空は星でいっぱいである。

○出発(1月28日)宮床~仙台駅前

 見事に晴れ、風もない絶好の日和となった。
 一方、体調は久方ぶりの絶不調。
 インフルエンザらしく、抗生物質を飲んでいる。
 医者は無謀な計画にあきれているが、どうしてもやらねばならない。
 趣意書やアピールを書いたゼッケンの準備などで睡眠は3時間。
 陽と陰がはっきりと現れた。
 これからの旅がこの国の明の部分と暗の部分を明らかにしてくれるならば、歩きがいがあるというものである。
 
 熱のせいか雲の上を歩くような感じで足がなかなか前へ進まなかったが、おかげで今回靖国神社へ行く目的の一つである懺悔(サンゲ)の価値を再確認できた。
 
 最近よく聞く言葉に「反省」がある。
“子供じゃあるまいし………”と思って耳をそばだてると、案の定、続くのは自分に甘い言葉。
 自分の心に規範を求めれば、我が身可愛さが顔を出し、どうしても、言い逃れやごまかしや甘えなどなど姑息で醜い考えしか浮かばないものである。
 しかし、「ご先祖様へ申し訳ない」[お天道様の下を歩けない]「世間様へ顔向けができない」といった慚愧(ザンキ)が懺悔になれば、すっぱりと我が身を斬ることができよう。
 政治家などが見るに耐えず聞くに堪えぬ責任逃れをし、ややもするとそれで許される場合があるのは、世間一般に懺悔の意識が薄れ、〈反省〉がはばをきかすようになったせいである。
 大の大人なのに「反省しています」と頭を下げればそれで済むのならば、心で舌を出す不埒者が後を絶たないであろう。

 なぜ、こうなったか?
 それは、宗教心が薄れたからである。
 ご先祖様も、お天道様も、世間様も、皆〈自分〉ではない。
〈自分より大きく広く、自分の存在の根となっている尊いもの〉を意識すればそれは紛れもなく宗教の次元である。
 大東亜戦争の敗戦までは、国民のほとんどにその意識が根付いており、日本人なら何宗・何派であろうとも、太古の昔から伝わる原宗教心といったものを共有していたのではなかろうか。
 それが江戸時代や明治時代はもちろん、敗戦に至るまでは、出処進退から日常の立ち居振る舞いに至るまで広く影響を及ぼしていた。
 だから、日本人の精神の気高さと行動の美しさは世界から称賛されていた。
 しかし、今の私たちは、大人であると子供であるとを問わず、ご先祖様が残してくださった輝かしいものを地に墜としてしままったように思えてならない。

 やはり懺悔せねばならない。
 修法が懺悔から始まるように、まず懺悔である。
 それも、日本人共通の規範を支える懺悔の心を失ったことを最初に懺悔せねばならない。
 教育をはじめとして子供たちの抱える問題も、イラク派兵の問題も、この根本に立たねば真の方策は見つからないのではなかろうか。

 新聞社の取材もあり、仙台泊まりになった。
 明日からスピードを上げたい。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃまりぼり そわか」
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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