コラム

 公開日: 2016-01-08 

オバマ大統領の涙に想う ─知性の回復─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈ニューズウィーク様からお借りして加工しました〉

 1月5日、アメリカのオバマ大統領はホワイトハウスでテレビ演説を行った。
 以下、1月6日付のニューズウィークである。

「オバマ大統領がテレビ演説で涙、大統領令で銃規制強化へ ─規制反対の共和党が多数を占める議会承認が不要な形で実施─

 オバマ米大統領は5日、ホワイトハウスからのテレビ演説で、議会の承認を必要としない大統領令による新たな銃規制強化策を発表した。
 また、銃支持派の候補者に投票しないよう国民に呼び掛けた。
 新たな規制では、オンラインや展示会などで銃を販売する業者にも免許取得を義務付けるほか、銃購入希望者の身元調査を拡大する。
 大統領は、任期中に現在の銃規制法が変更されるとは考えていないと明言した上で、11月の次期大統領選挙までの期間は銃規制を争点とするために全力を尽くす、と誓った。
 また、米憲法修正第2条に定められる武器所有の権利は、祈りを捧げ、平和に集い、生活を営むための権利との調和を保つ必要があると述べた。
 大統領は演説の途中、2012年にコネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件の犠牲者に言及し、涙を流す場面もあった。
 大統領は来週12日の一般教書演説でも銃暴力を取り上げる予定。

 共和党は大統領の銃規制強化策に反発。次期大統領選に出馬している共和党候補者の大半は大統領に選出された場合にはオバマ氏の政策を覆すとしている。
 一方、民主党の候補者は規制強化を歓迎した。

 全米ライフル協会(NRA)の幹部、クリス・コックス氏は声明で、規制強化策は悪用される恐れがあると指摘し、NRAは米国民の憲法上の権利を守るために闘い続ける、と語った。

 米株市場では、ホワイトハウスが銃規制強化策を発表した4日以降、銃販売が増加するとの期待感から銃器メーカーのスミス・アンド・ウェッソン・ホールディングとスターム・ルガーの株価が上昇。
 5日にはスミス・アンド・ウェッソンは11.1%高、スターム・ルガーは6.8%高で取引を終えた。」

 以下は、各メディアが報道した大統領の言葉である。

「議会の動きを待てない」
「銃乱射による大量殺人事件がこれほど頻繁に起きるのは先進国では米国だけだ」
「銃乱射事件は侵されざるべき生命、自由及び幸福の追求に対する権利を奪ってきた」
「銃によって命を奪われた子どもたちのことを考えるたび怒りが込み上げてくる」
「(銃規制に反対する)ロビー団体は議会を人質に取っても、米国を人質にすることはできない」
「愛すべき自分の子供が凶弾に倒れるなどと誰が想像できるか、子供のことを考えるとおかしくなりそうだ」

 大統領の涙は知性の涙である。
 真の知性は常に〈全体性〉を持っている。
 自己を絶対視できないのが知性の姿である。

 翻訳家池田香代子氏は1月7日付朝日新聞におけるインタビュー記事でこのことを指摘している。

「パリにいる友達に聞いたら、デモで掲げられたスローガンの中に『あなたたちの戦争、私たちの死体』というのがあった。
『あなたたち』はIS(過激派集団『イスラム国』)やテロリストだけでなく、『報復だ』と拳を上げる人も含んでいるんですね。
 そして、『私たち』は、パリ市民だけでなく、様々なテロや政府軍の空爆なんかで倒れている各国の市民たちも含まれる。
 私はその話にぐっときました」

 拳を振り上げて〈悪の殲滅〉を叫ぶだけの人には、このことがよくわかっていないかも知れない。
 自分を含む殺し合う人間たち全体が観えていないように思える。
 
 ペンシルベニア大学教授ロジャーズ・スミス氏は指摘する。

「困難な環境下で戦った植民地の人々は、欧州から来た移民で、キリスト教徒でした。
 彼らは、新たに築いた自分たちの国家のアイデンティティーについて、次のような物語をつくりあげたのです。
 神と自然と歴史によって、地上で最も偉大な国になるべく運命づけられているのだという物語です。」(平成27年12月22日付朝日新聞『米国どこへ行く』より)

「予言の成就は、国民の心理に問題をもたらしました。
 米国はいつも正しい。
 米国はすべての問題を単独で解決する能力がある。
 米国の利益は世界の利益でもある。
 そう考える強い傾向があります。
 この傾向は、米国が国際社会で建設的な役割を果たすことをさまたげているのです。」

「たとえ共和党の指名が得られても、本選挙で当選することはないでしょう。
 バラク・オバマを2度も大統領に選んだ米国民がそういう選択をすることはありえません。
 しかし、トランプ氏の人気が示している米国政治の病理は、これからも続くでしょう。」

「すべての社会に、自己を特別視する例外論はあるのです。
 ただし、米国は世界最大の経済・軍事大国です。
 その事実が米国の例外主義を例外的に重要なものにしているのです。」

 教授の言う「病理」は今、日本を含め、世界へ拡散しているのではないか?
 自分の国を特別視する視点は、アイデンティティ―に根差す心理がバックにあり、どの国の国民もそれぞれに持っている。
 問題は、〈それぞれに〉という真実を忘れないかどうかにある。
 忘れさせないものが知性ではなかろうか?
 大統領の涙は、自分が率いるアメリカ国民のアイデンティティ―と銃の保持が密接につながっていることをよくよく承知した上で、自らの倫理観がそこを壊さずにはいられないところに立ち至り、決断せざるを得ないでギリギリの状況において流されたものではなかろうか。
 子供の死、被害者の家族たちが流す涙を見捨てられない大統領の倫理観が知性によってとらえられた世界を動かそうとしている。
 願わくば、大統領が暗殺されませんように。
 願わくば、世界の指導者たちが真の意味で知性を取り戻し、世界が「病理」を克服できますように。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃまりぼり そわか」
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ