コラム

 公開日: 2016-01-10 

漢文『法句経』を読んでみる(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 寺院や寺子屋ではもちろん、戦前までよく読まれていた漢文の『法句経(ホックキョウ)』を読んでみたい。
 戦場へ赴く若者が懐へ忍ばせていたという話も聴いている。
 当山でも学びの柱として欠かせない。

【無常品(ムジョウホン)第一】

○無常品とは、寤欲(ゴヨク)昏乱(コンラン)し、栄命(エイミョウ)保ち難く、唯(タダ)道のみ是(コ)れ真なり。

 無常品は説く。悟りへの強い希望を持っていても智慧は暗く、思い乱れているうちに輝く生命力は衰えてしまう。ただ、仏道のみが真理なのに。

〔一〕睡眠(スイメン)解寤(ゲゴ)すれば、宜(ヨロ)しく思いを歓喜すべし、我が説く所を聴き、仏言を撰記(センキ))せよ。

 心を塞ぎ眠気を催させるものから離れて悟りを求め、心を喜ばせ、仏の説法を聴いて言葉を選び取り記憶せよ。

〔二〕所行(ショギョウ)は非常なり、謂(イ)わく興衰(コウスイ)の法なり、夫(ソ)れ生ずれば輒(スナワ)ち死す、此の滅を楽と為(ナ)す。

 現象世界にある変化して止まないものたちは無常であり、起こっては衰える性質を持っている。生じたものは必ず死ぬ。生死から脱すれば真の安楽である。

〔三〕譬(タト)えば陶家(トウケ)の、埴(ウツワ)を埏(コ)ね器を作るも、一切は必ず壊るるが如(ゴト)し。人命(ニンミョウ)も亦(マ)た然(シカ)なり。

 例えば陶工が粘土をこねて器を作っても、すべてはいつか必ず壊れるようなものである。人の命も同様に無常である。

〔四〕河の駛(ハヤ)く流れて、往きて返らざるが如(ゴト)く、人命(ニンミョウ)も是(カク)の如(ゴト)し。逝きし者は還らず。

 川の水が早く流れ去って元の流れが戻らないように、人のいのちもまた、たちまちに去ってしまう。逝った者は二度と還ってこない。

〔五〕譬(タト)えば、人、杖を操(ト)りて、行牧(ギョウボク)して牛を食せしむるがごとく、老と死も猶(ナ)お然(シカ)り。亦(マ)た命を養うも去る。

 例えば牛飼いが杖を使って牛を牧場へ追い立て、草を食べさせるように、老いと死も私たちを追い立て、いかにいのちを大切にしていたとて、必ずあの世へ至らしめさせられる。

〔六〕千、百にして一に非ざる、族姓(ゾクセイ)の男女(ナンニョ)、財産を貯聚(チョジュウ)するも、衰喪(スイソウ)せざること無し。

 同族も異なる姓の男女も、いかに財物を蓄えようと必ず死によって失うことは、千に一つの例外もない。

〔七〕生ある者は日夜(ニチヤ)に、命を自ら攻め削り、寿(イノチ)の消尽(ショウジン)すること、煢穽水(ケイセイスイ)の如(ゴト)し。

 いのちのある者は日夜に自分でいのちをくしけずり、いのちが必ず消え尽きるのは、わずかな水がたちまち干上がるようなものだ。

〔八〕常なる者も皆な尽き、高き者も亦(マ)た堕(オ)つ。合会(ゴウカイ)に離(リ)有り、生者(ショウジャ)には死有り。

 いつも集まっていようと最後にはすべて死に絶え、高い地位にある者も最後には地へ還る。会う者には必ず別れがあり、生きている者には必ず死が待っている。

〔九〕衆生(シュジョウ)相剋(ソウコク)して、以(モッ)て其(ソ)の命を喪(ウシナ)う。行いに随いて堕する所、自(ミ)ずから殃福(オウフク)を受く。

 人びとは争いながら、限られたいのちを喪いつつある。善悪の行いに応じて災いの世界、あるいは福多き世界へと転生する。

〔一〇〕老いては苦痛を見、死しては則ち意(ココロ)去る。家を楽しみて獄に縛せられ、世を貪りて断ぜず。

 老いれば苦を増し、死ねば心はどこかへ行ってしまう。それなのに日常生活の迷いに縛りつけられたままで、世間的楽しみを追い求め、苦の根源を断とうとしない。

 無常品はご葬儀などでも用いる。
 川の水が流れ去る教えは、『方丈記』の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」などに通じているのではなかろうか。
 わずかな水しかないところに棲む魚の教えは凄まじい。
 酷暑のインドにあっては、いかなる恐怖をもって聴かれたのか。 

「おん あらはしゃのう」
 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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