コラム

 公開日: 2016-01-11 

イラク戦争と靖国神社への祈り(その5) ─運勢の相談、ご葬儀での合唱など─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈真善美は光の三原色となってダイヤモンドのような霊性を輝かせる〉


〈貪り、怒り、愚かさは色の三原色となって悲しみや苦しみに満ちた黯(クロ)い地獄へ導く〉

 平成16年1月、自衛隊のイラク派兵に鑑み、小生は、仏神と祖霊のご加護で自衛隊員の無事帰還をはかるべく、靖国神社へ向かって托鉢行を始めた。
 世界の情勢が急変を見せ始めた今、そのおりの記録を加筆訂正しながら再掲しておきたい。
 不戦日本の願いを込めて。

○ご意見(2月4日)

 早朝からご祈祷と法話の法務があり、NHK文化センターの講座『法句経を読む』を終えて帰山したら午後1時を過ぎていた。
 ひき続き墓地での打ち合わせやお葬式のご相談などがあり、あっという間に夕方である。
 
 講座で、終戦当時に中学生だった女性Aさんからご意見をいただいた。
「テレビを見ると昔、若い人を戦争に送り出した時と同じ光景ですよね。
 どんなことをしても、孫たちをああやって戦地へは行かせたくないと思いました。
 外国から出兵を頼まれても憲法があるのだからと断れるはずではないでしょうか。
 どこの国の人だって、いのちを一番大事にするのは当たり前のことですよね。
 日本は自ら出兵をせず、『戦争はしてはいけないものだ』と世界へ訴えるべきではないでしょうか」
 午後に来山されたBさんは、きっぱりと言われた。
「日本の現状は、すべて戦後の年月が生みだしたのですから、敗戦を境にして何が失われたか、何を得たのかを問う住職の考えに同感です。
 特に50代60代の人々がこの57年間をふり返って懺悔すべきは懺悔し、学ぶべきは学び、やらねばならないことをしっかりとやらなければなりません」
 いじめや授業の様子などにはっきりと現われている子供たちの精神と振舞の荒廃。
 そこに代表される日本の衰運に対して、大人が責任を感じ行動を起こさねばならない。
 足元が崩れていながら外国へ出兵してどうなることだろうか。

○運気の弱い場合には(2月5日)

 人生相談や打ち合わせが重なり、お通夜までびっしりだった。
 明日のお葬式が終るまで再出発はできない。
 これもまたみ仏のお導きなのだろう。

 自分の力が出にくい運勢の方からのご相談があったので、その対処法を記しておきたい。
 運勢はバイオリズムである。
 智慧でそれを活かす人は自力で運命を創りながら生きられる。
 ただ怖れたり流されたりする人は、運勢に翻弄され、いつも山と谷を行ったり来たりして人生を過ごす。
 さて、誰にでも〝自分ではがんばっているつもりなのに、どうも力が出ないなあ、どうしたんだろう〟という時期がある。
 力がなくなったのではなく、何ものかに吸収されてしまう。
 こんな時に自分の力を過信して無理をすると、間に合うはずのものが間に合わなくて失敗する。
 年配者が若い時代に持っていたジャンプ力を過信して沢を渡ろうとすれば、川に落ちてずぶ濡れになってしまうようなものである。
 目的地へ向かう力が出ないなら、焦らず深呼吸をして、まず、たとえ小さなことでも他のためになることを実行したい。
 他へ与え、喜ぶ姿を見て自分も喜べることが大切である。
 この「お互い様」は「おかげ様」である。
 お互いが徳を積めば、それが陰の力となって必ずお互いを救う。
「お互い様」「おかげ様」はありがたい教えである。
 
 護摩の火で眼鏡がひび割れたままなので、よく見えない状態だったが、どうにかお通夜の修法を終えた。
 かつて師僧から「行者は、印を結び真言を唱え観想をして法を行うが、最後は、たとえ布団の上で動けない状態になっても瞬時に法を結べるようでなければならない」と教えていただいたことが初めて実感さた。
 若いうちは若いなりの修行、年をとればそれなりの修行があるものだ。
 一生、一行者でありたいとの思いを新たにさせられた。

○お葬式(2月6日)

 お葬式で合唱が入るという初体験をした。
 故人も喪主も合唱が趣味なのでお別れの言葉に代えて合唱を行いたいという。
 お焼香をする前に、20人ほどが導師・職衆を半円形に囲み、指揮者が端に立ってモーツァルトの「アヴェ ヴェルム コルプス」を演奏した。
 歌詞は、以下のとおりである。
「めでたし、まことの御体
 おとめマリアの御子として生まれたお人
 真の試練を受け、人間の罪のため十字架にかけられた
 引き裂かれた脇腹から流れ出る血
 私たちのため、先に最後の審判をお受けください」(インターネットの「クラシック音楽夜話」による)
 正装した善男善女の歌声は、すすり泣きを交えながらも凛としていて、魂を揺すられる思いがした。

 修法が終っての法話で、「先ほどのように清らかな魂の震えを共有できるならば、きっと争いや戦いのない世の中になることでしょう」と申し上げた。
 真・善・美を追究する哲学や科学、宗教や道徳、芸術は、微妙にずれながらもどこかで重なり合っている。
 真実に発するものは人生にとってよきものであり、美しいものでもあるはずだ。
 重いだけになりがちのお葬式が魂の共振をもたらす、すばらしい企画だった。

○問い(2月7日)

 今日も朝から予約がびっしり。
 地鎮祭の相談に来られたAさんから「お釈迦様の教えだから、どの宗派も結局は同じなんですよね?」と問われた。
 これまで幾度となくいただいたご質問である。
 こういう問いを発する方は、ほとんど例外なく「仏教」を自分の向こう側においていろいろ読んだり聴いたりしているだけで、一つの行に打ち込むといった実践をしておられない。
 み仏の教えと法の中に〈この身このままで〉飛び込んでおられない場合が多い。
 正式な作法で真言を唱えるなり、経典を読誦するなり、瞑想をするなり、経典を書き写すなりして何かをつかんだ方は、〈漠然とした問い〉があまり出なくなる。
 問いは具体性を帯び、回答を受けて心と行が深まり、また一歩、お釈迦様の悟りへ近づくきっかけとなる。
 
 行者として冒頭の問いに答えるならば、「花一輪を捧げる場合、見た目には同じ行為でも、いかなる心で行うかによって、得られる境地という行為の結果はさまざまになります」ということになる。
 たとえば、お葬式の後で必ず行う五種供養の法話を聴き、花を手向ける意味と意義が、「美しいもので飾ってあげましょう」だけではないのだと魂で受けとめた方は、眼の輝きが変わる。
 その方が次に花を捧げる機会があれば、以前とは異なったレベルの心で行われることだろう。
 見た目には同じ作法、同じ行為だが内容は別ものである。
 そのように、どの宗派もお釈迦様の悟られた境地を目ざすが、方法は千差万別であり、方法という〈原因〉が異なれば得られる境地である〈結果〉も違うのは因果の理法どおりである。
 仏教を心の柱としたいのなら、とにかく、縁となった教えを実践することがすべてである。
 すべての宗派におけるご本尊様を尊ぶのがマンダラの教えと法なので、お大師様は生涯、他の宗教宗派と争われなかった。
 当然、当山も同じである。
 仏教徒の根本姿勢は、他の宗教宗派と争わず、縁となった教えを実践することである。

 略式礼服のまま、午後7時から開いている居合の道場へ駆け込んだ。
 帰山後、NHKテレビで、日本を剣道団体戦で世界一に導いた〈無心の一撃〉を眺めながら食事をし、一日が終った。

「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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