コラム

 公開日: 2016-01-23 

作家を生かそう ─ファンとは?─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 1月22日の産経新聞は、図書館での新刊貸し出し問題をとりあげた。
 批判的立場から主張を展開したのは、新潮社常務の石井昴(タカシ)氏である。

「図書館を敵だと思ったことは一度もありません。
 図書館が購入することで成り立っている本もあるし、図書館で呼んだ本を糸口にして読書週間ができた人もいると思う。
 その面では大変感謝しています。
 ただ、出版社は増刷できる本で生計が立てられるので、著者と出版社が同意した新刊文芸書の貸し出しを猶与してほしいというお願いです。
 これには、書店の命運もかかっている。」

 出版市場は20年前の約2兆6千億円あったものが、昨年は1兆5千億円になった。
 書店は一日に2店舗が閉店している。

「ベストセラーの貸し出しについて『地方自治の原点だ』という人がいるが、卵をただで配ると皆喜ぶが、(もうからないから)育てる人はいなくなりニワトリは死ぬ。
 図書館の役割はストックであって、売れ筋文芸書を多数置いて住民ニーズに応えたり、普及が目的の文庫や新書をそろえたりすることではない。」

 図書館のはたらきを来館者数ではかり、賑わいぶりを競うのはいかがなものか。
 図書館にしかない本をじっくりと選べることこそ、図書館にしかない根本的な役割ではなかろうか。
 卵とニワトリの話は切実だ。
 ややもすると、目先を喜ぶ人々と目先だけ喜ばれればよい人々が生産の現場を崩壊させる。
 ニワトリを育てる現場の必要性やかけがえのなさを忘れるのは、TPPの議論に通じる危うさがある。
 今はもう、グローバル資本主義にすがっていかに儲けるか、ではなく、いかに蹂躙されずに守るべきものを守るか、が問われている段階ではなかろうか。
 このまま、富の寡占と格差の拡大が進むことを黙認できるはずはない。
 それと同じく、文化の根を枯らさないためには、放置ではなく〈工夫〉が不可欠だ。

「今回の要望は、作家の側から出てきた。
 ある著名な作家がパーティーで、ファンだという奥様から『あなたの本は全部読んでいます。でも待ち時間が長くて…』と言われたそうです。」

 真のファンならば、価値の創造者である相手のためになりたいと思うはずである。
 相手のために自分のできることは何だろうと考える。
 そうすれば、一冊の本を買うことこそが、ささやかではあるが自分にできる確かな方法であると気づくだろう。
 しかし、〈卵がただで配られる〉のが当然であれば、〈買う〉ことによる貢献は容易に忘れ去られる。

「公立図書館の問題点は、『本を読むのはタダだ』をいう意識を根付かせてしまうこと。
 作家の収入は印税だけ。
 1冊1500円の本が1初版万部で150万円。
 これでは生活できません。
 出版業はお金を出して買っていただく読者のおかげで成り立っている。
 本を買って初めてその作家を応援することになるという意識を、皆さんに持っていただけるとうれしい。」

 常々作家A氏などの話を聴いている者としては、石井常務が「作家の側」から出た切実な要望を代弁していることがよくわかる。
 もちろん、読みたいが買うお金がないという状況にある人々もおられる。
 しかし、読む方法はいくらでもある。
 それはかつて、タンポポやツクシまで食べながら生きた者として断言できる。
 本当に価値があると信じられる作家であり作品であると確信できるならば、自分の〈今の満足〉だけでなく、〈創造への貢献〉も考えてしかるべきではなかろうか。

 石井常務の「本を買って初めてその作家を応援することになる」は当たり前ながら切実な訴えだ。
 文化の根を枯らさぬよう、〈ニワトリ〉の存在を忘れぬようにしたい。

「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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