コラム

 公開日: 2016-04-10 

あらためて、原発(核発電)の非人間性を想う ─身近な現実─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈お大師様へ過去の罪業を詫びて許される衛門三郎〉

 四国から帰山して早々、原発に関する生々しい話を聴き、あらためてその非人間性を想わされた。

1 身近な現実

 Aさんは太陽光発電を計画し、土地の取得をはじめ許認可などの手はずを整えた。
 着手するため、最終的な見積作業に入ったところ、とんでもない事態が待っていた。
 システムから電線を伸ばす電柱を建てるための費用が、当初の数倍に膨れ上がっていた。
 電力会社とかけあっても「資材などの高騰」という決まり文句が返ってくるだけで埒があかない。
 Aさんは、一般からの電力を買いたくない、ソーラーをやらせたくないという電力会社の強い意志をあらためて痛感させられた。
 そして、その後盾となっている政府の原発稼働という方針に強い憤りを感じたという。 
 Aさんは、福島原発が事故を起こして間もなく、ドイツのメルケル首相が語った言葉を忘れられない。 
 
「極めて高度な科学技術を持つ国で福島のような事故が起きたのを目の当たりにし、原発には予想しないリスクが生じることを認識した」

 そしてドイツは脱原発に舵を切った。
 安全神話が崩れた日本でも同様な受けとめ方が広がったはずなのに、オリンピック騒動やカジノ構想などの華々しい花火によって、被災者以外の人々の頭から「リスク」の恐ろしさが忘れられつつある。
 企業家であり義侠心もあるAさんは、自分がやらねばと立ち上がったものの、巨大な壁を前にして重大な決断を迫られている。

 Bさんは知人から「どうしても」と頼まれ、社員を福島の事故現場へ派遣した。
 団結力の強い社員たちは、一言の文句も不安も口にせず、でかけた。
 しかし、間もなく、古参幹部から切実な情報が寄せられた。

「社長、実は、福島へ行くと家族に言えない者が何人もいます。
 毎日、別な現場へ行くと言ってでかける彼らの気持を考えるとたまりません。
 社長もおわかりのとおり、現場で一緒にはたらく人々の雰囲気も、あまりに異様です。
 科学的にどの程度、被曝するかという事実よりも、被曝への不安と、事故を起こした原発ではたらかねばならないところまで追いつめられた作業員の切迫感が尋常ではありません。
 被曝など身体の問題はもちろんですが、きっと、心がやられる者が出てきます。
 部下たちがあまりに不憫なので、申し上げました。」

 Bさんは、ただちに派遣を中止したという。

2 河合弘之弁護士の戦略

 テーブルを囲んでの勉強会で河合弘之弁護士から聴いた脱原発への〈戦略〉を思い出した。

○省エネに励もう

 私たちがエネルギーの消費量を減らせば、その分だけ発電施設を用いず、施設を造らないのと同じことにになる。
 アメリカで最も電力を使っているのはペンタゴンであり、30パーセントの削減命令が出されている。
 軍事上の被害のうち30パーセントは燃料補給の段階で発生しているので、限りなく現地調達を目ざしている。
 世界の歴史を眺めれば、資源の奪い合いが大戦争の原因になっており、エネルギーの争いがなくなれば、戦争原因も除去できる。
 現在、諸外国の現状を視察した結果をまとめて、映画「自然エネルギー ─未来からの光と風─」を制作中である。

○自然エネルギーを進めよう

 自然エネルギー産業への労働吸収力を増やせば、原発ジプシーと呼ばれる危険で不安定な雇用の労働者に頼らない経済が確立できる。
 ドイツでは自然エネルギーへの信頼が高まり、すでに、供給電力の30パーセントを超えている。
 自然エネルギー産業儲かる分野として育成し、爆発的発展を引き寄せたい。

○運転を差し止める訴訟を起こし、危険な再稼働を遅らせよう

 東日本大震災前の差し止め訴訟は20連敗だった。
 半世紀にわたって行われてきた「安全安心キャンペーン」が裁判所にも染みついていた。
 福島原発の事故という現実によって、裁判所の気配も変わってきた。
 原発は安全なものとして扱うことができないというあまりにも明らかな事実が認識されるよう訴え続ける。
 また、具体的避難準備ができないうちに再稼働させるのは非人道的であることも重大だ。

3 ジャーナリスト山岡俊介氏の告発

 40年以上にわたって世界中の原発労働者被曝問題を取材してきた山岡俊介氏が福島原発事故から半年後に現場を取材した『福島第一原発潜入記』は、作業員としてはたらく人々の真実を述べている。
 そのエピローグである。

「ボクが原発作業員の生の声にこだわったのは、原子力発電は、事故のときだけでなく、日常的に作業員の被曝リスクのうえに成り立っているという現実を知ってほしかったからだ。」

 上記のBさんの証言も、あまりに生々しい。
 人間の肉体も精神も蝕みつつ発電した電力で、私たちはいったい、いかなる幸せがつかめようか?
 現代人の倫理観が厳しく問われている。
 今回の事故で膨大な被害者が出たように、子々孫々へいったい、どれだけのツケが回ることか……。
 考えるだに恐ろしいではないか。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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