コラム

 公開日: 2016-04-20 

〈初めての行動〉を重ねる自衛隊

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 昨年来、自衛隊はもはや、〈自衛〉の軍隊という枠を取り払ったかのようである。
 政府と軍と軍需産業との一体的活動もまた、堂々と行われるようになった。

1 初めて行われた自衛隊と米豪軍の合同演習

 平成27年7月11日、自衛隊はアメリカ軍とオーストラリア軍の大規模な合同演習へ初めて参加した。
 根拠となったのは、4月に改訂した「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)である。
 これまでに制約となっていた「日本周辺」の言葉はなくなり、日米両国が第三国と連携を強めることになっている。
 自衛隊は、米軍とだけでなく、その同盟軍とも一緒に、地球上どこででも戦争を行う軍隊になった。
 豪ニューサウスウェールズ大のアラン・デュポン教授は指摘した。

「日豪は米国を挟んだあいまいな友人から、機密を共有する明確な盟友になった。
 中国の台頭や、米軍事予算の削減からくる自立の必要性がある。
 その集大成が両国の潜水艦技術の協力である。」

 初の大規模演習参加は、オーストラリア軍が導入予定の潜水艦12隻を売りつけようとしている日本の軍需産業に対する強い後押しとなったに違いない。

2 初めて行われた自衛隊のカムランワン寄港

 平成28年4月12日、自衛隊の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」が、南シナ海に面するベトナムの軍事要衝カムラン湾の国際港に初めて寄港した。
 両軍は共同操艦訓練を行う予定。
 根拠となったのは、昨年の11月に行われた中谷元・防衛相とベトナムのフン・クアン・タイン国防相(当時)との寄港合意である。
 中谷氏は12日の記者会見で言った。

「わが国にとって南シナの航行の自由やシーレーン(海上交通路)の安全確保は重要な関心事項である。
 今後も米国や豪州とも連携しつつ、南シナ海周辺国との関係強化に向けた努力を積み重ねたい」

 2隻は、この直前にフィリピンのスービック港へ潜水艦を伴って寄港している。
 理由はこう語られている。

「最近の周辺国の状況に対応するため」

 一連の行動は、、アメリカ軍、オーストラリア軍はもちろん、フィリピン軍やベトナム軍とも一緒に中国を相手に戦うという決意表明以外の何ものでもない。
 そして、日本はフィリピンとベトナムへ巡視船の供与を進めている。

3 初めて行われた自衛隊の潜水艦の豪州寄港

 平成28年4月15日、海上自衛隊の潜水艦と護衛艦2隻は初めてオーストラリアのシドニー港へ寄港した。
 潜水艦はそうりゅう型の「はくりゅう」、護衛艦は「あさゆき」と「うみぎり」。
 太平洋戦争で奇襲攻撃を行った日本軍の寄港は「日本の潜水艦が歴史的な寄港」と大きな話題になったという。
 目的は共同訓練である。
 また、豪政府が目ざしている最新鋭潜水艦の調達に関し、日本政府は豪州政府へ伝えている。

「そうりゅう型に基づく建造計画案がリスクが低く、豪州の要求に合ったものである。」

 ドイツ、フランスと受注を争う日本の軍需産業への大きな後押しが行われた。

4 知らぬ間の変質

 日本の国民はいったい、いつ、こうした自衛隊の変質を望んだのだろう?
 また、いつ、政治と軍と産業との一体的活動を求めたのだろう?
 もちろん、国防は相手があってのことであり、中国や北朝鮮などの動きに影響されることは子供でもわかる話だが、問題は、〈いかなる状況の変化により、いかなる対応をせねばならないか〉という肝心な点が国会ですら事実上隠されたまま、自衛隊が米軍などと同じ〈普通の〉〈日本軍〉として世界中へ進出しつつあるという事態の重大さにある。
 そして、それを産業界が待ち望んでいるという事態は、ゆゆしきことと言わざるを得ない。

 明治から昭和にかけて戦争の恐ろしさを知った日本人は、軍隊の海外進出を止めたはずではなかったか?
 軍需産業と一体化する政治を止めたはずではなかったか?
 今から約半世紀前、戦勝国アメリカのアイゼンハワー大統領は退任演説において、軍需産業の必要性を認めながらも、政治的・軍事的・経済的複合体ができつつある状況に対して強烈な警告を発した、

「我々は、政府の委員会等において、それが意図されたものであろうとなかろうと、軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません。
 誤って与えられた権力の出現がもたらすかも知れない悲劇の可能性は存在し、また存在し続けるでしょう。
 この軍産複合体の影響力が、我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません。」

 しかし、アメリカの軍産複合体は膨張し、今や政府支出の2割前後を占めるとされる軍事予算は国家財政を締め付けている。

 ところで、建築家の磯崎新氏(84才)は、新国立競技場の旧計画案を作ったザハ氏と安保法制の関係につき、小生が抱いていた疑念を明確に示した。

「五輪は本来、都市の祭典で、国が表に出てくる必要はない。
 国家の五輪としてはナチス政権下の36年のベルリン五輪が典型だが、今回も国が前面に立ったために、大きければいい、派手ならいい、という国や政治家たちの意向が働いたのではないか。
 もはや建築の議論ではなかった。

 旧計画の白紙撤回が表明された昨年7月17日は、安保関連法案が衆院本会議で採決された翌日。
 競技場問題で安保法制の隠蔽(インペイ)をはかったという見方もあったと思う。
 2度目の公募への参加申請が締め切られた翌日に、参院本会議で安保関連法が可決・成立した。
 そして、施行の2日後にザハが亡くなった。

 この奇妙な符合に、彼女は日本の戦争と平和を巡る議論に巻き込まれたように感じた。」(4月18日付朝日新聞)

 現在、私たちが最も関心を持っている(持たされている)ものは何だろう?
 そして、秘されたまま進んでいるものは何だろう?
 国民一人一人がよく考えてみる必要があると思う。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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