コラム

 公開日: 2016-05-06 

生かされている不思議 ─スマホの毒─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。


〈伐られしものの肌は温かかった〉

 お大師様の聖語です。

「如来(ニョライ)威神(イジン)の力を離るれば、十地(ジュッチ)の菩薩(ボサツ)もその境界(キョウガイ)にあらず、いわんや生死(ショウジ)の人(ニン)をや」

 意訳です。
「如来(ニョライ)の持つ不思議なお力がなくなれば、高い位にある菩薩(ボサツ)といえども、その世界に安住することはできません。
 ましてや、生き死にの輪廻転生(リンネテンショウ)に迷う私たちはなおさらです。」

 私たちは、み仏の不思議なお力に守られていればこそ、日常生活をつつがなく送られます。
 もちろん、四苦八苦(シクハック)は否応なくやってきますが、それにしても、車を運転中に何百台の車とすれ違ってもぶつからないこと、切符を買って電車に乗れば目的地へ連れて行ってもらえること、コンビニのおにぎりできちんと空腹が満たされること、いずれも、考えてみれば〈自分の力〉の果たす役割は小さく、無限のよき縁が重なってこその現象です。
 他の車がぶつかってこない、電車が脱線せずに目的地へ行く、おにぎりに毒が入っていない、いずれも「ありがたい」というしかありません。

 もっとも、ここでは、そうした日常的な場面ではなく、決心して仏道を歩むという行為が、み仏のご加護なくしては行われ得ないという状況について述べています。
 み仏のご加護を「加(カ)」と言い、私たちがそれをいただいて救われることを「持(ジ)」と言い、合わせて加持になります。
 不安でたまらない方や体調不良の方、あるいは変なものに取り憑かれたような気がする方などが「ご加持」を受けにご来山されれば、加持法という特殊な修法を行いますが、加持が意味するものはそれだけではありません。
 上記のように、365日、24時間にわたってご加護をいただいているのが真実であり、それに気づく人は「ありがたい」という感謝と共に生きられます。
 実に、「加」も「持」も真実なのです。

 守本尊利益経は説きます。

「子年千手観世音菩薩、丑寅年虚空蔵菩薩、卯年文殊菩薩、辰巳年普賢菩薩、午年勢至菩薩、未申年大日如来、酉年不動明王、戌亥年阿弥陀如来となりて守り、
 月にては十二か月四季折々の物を授け守り、
 日は三百六十五日昼夜を見守り、
 時は一刻の休みなく八方天地十方世界を守る」

 今日は早朝からA家の出棺・火葬、B家のご葬儀、C家のお通夜と続き、寺へ戻る余裕がありません。
 この世での役割を終え、み仏の世界へ還って行く方々をお送りする者としては、死を想う気持が深まる一方です。
 また、死に待たれているがゆえに生が輝いているという真実も、深く、深く心に迫ってきます。
 私たちの生は文字どおり〈束の間〉です。
 ゆめゆめ、仇(アダ)やおろそかにすることはできません。
 偽り、ごまかし、放恣で過ごす時間の恐ろしさが実感されます。

 国立青少年教育振興機構の発表によれば、「スマホ熱中度」と「生活慣習の乱れ」には強い関連があります。
 熱中度の高い層は、朝食や歯磨きなどの基本的生活習慣が、薄い層の半分ほどしかできていません。
 恐ろしいではありませんか。
 もはやとっくに言い古されたことですが、人間が人間の発明したものによって支配され、魂が壊されつつあります。
 自然や生きものや人間の輝きが心の目に瑞々しく映っているか?
 自分の頭で、魂が感応するものへの意識を深めているか?
 スマホに取り憑かれ、自分の意識と人生の時間を奪われてはいないか?
 取り返しのつかないことにならぬよう、よくよく振り返ってみたいものです。

 私たちは、魂の世界の親であるみ仏に守られつつこの世を過ごす息子であり娘です。
 恩知らずや親不孝にならぬよう、生を充実させながら生きたいものです。

「おん ばざら たらま きりく」
 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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