コラム

 公開日: 2016-05-14 

平等・智慧・布施の世界 ─映画『殿、利息でござる!』を観て─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。


〈河北新報様よりお借りして加工しました〉


〈お焚きあげの不動堂〉


〈笹倉山と永代供養自然墓『法楽の郷』〉


〈笹倉山と個別型永代供養樹木葬『法楽陵』〉


〈横幅30メートルに及ぶ十三仏守護の永代供養共同墓『法楽の礎』〉

 当山のある宮城県黒川郡大和町は、映画『殿、利息でござる!』でもちきりだ。
 何しろ、大和町の中心部吉岡地区で実際にあったできごとをもとにして創られ、子孫たちにとっては、ご先祖様方の隠れた善行が陽の目を見るという、ほとんど信じがたい作品なのである。
 全国公開に先がけて観られる当地の映画館は老若男女でいっぱいだ。
 特にお年寄りの姿が目立つ。
 仙台市の北部に隣接する黒川郡全体としてはトヨタ自動車などの工場進出でめざましい動きがあっても、さびれる一方の吉岡や周辺地域の人々にとって文字どおり、快哉を叫びたくなるできごとだからだ。

 KHBによれば、話はおおよそ以下のとおり。

 金欠の仙台藩は百姓町人へ容赦なく重税を課し、破産と夜逃げが相次いでいた。
 さびれ果てた小さな宿場町・吉岡藩で、故郷の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)から宿場復興の秘策を打ち明けられる。
 それは、藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。
 計画が明るみに出れば打ち首確実。
 三億円相当の大金を水面下で集める前代未聞の頭脳戦が始まった。
「この行いを末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟”を自らに課しながら、十三郎とその弟の甚内(妻夫木聡)、そして宿場町の仲間たちは、己を捨てて、ただ人のために私財を投げ打ち悲願に挑む!
『武士の家計簿』の原作者が取材した実話を基に、『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』の監督が贈る痛快歴史エンターテインメント超大作。

 僧侶の身としては、他のため、皆のためになろうとする〈布施〉の精神はもちろんだが、仏教的観点からの〈平等〉が描かれていることに最も感心した。
 地域を救うため、貧しい庶民が、地域の有力者やお金持ちへ堂々と出資を説くシーンには涙が出た。
 皆のためという誠心に身分や貧富による違いはない。
 自分のためではなく、皆のためであればこそ、お金を出したくないという執着心に対して、「それでいいのか?」「恥ずかしくないのか?」と問いかけることができる。
 自分の執着心であろうと、他人の執着心であろうと。
 むろん、人はそれぞれなりに、他人にはわからない事情というものを抱えており、布施は決して強制されるべきではない。
 本当の布施の心は平等にはたらき、布施をする時、一切の差別は消え、人間として真の平等が実現する。

 私たちが普段、意識している「平等」とは、ほとんど「チャンスにおいて不公平でない」という意味である。
 いわゆる「機会の平等」だ。
 しかし、仏教における平等、すなわち差別(シャベツ)を離れた心は違う。
 我欲(ガヨク…自己中心的な自分へのこだわり)や我慢(ガマン…自己意識から起こる慢心)から離れ、自分と他人とを差別しないのが〈平等〉である。
 平等の心から他人の苦を見捨てられず、それを何とかしないではいられずにはたらくのが〈智慧(チエ…自己中心でなく最善の方法を考える心)〉であり、そこで行われる実践が〈布施〉である。
 ここにおいて、本人は執着心から離れて真の自由を得、相手は苦が消される。
 だから、平等な意識で智慧がはたらき、行われる布施は清浄な行為であり、滅罪への道とされる。

 いかに史実に基づくとは言え、この映画はあくまでも娯楽作品である。
 伊達家の殿様やフィギュアスケートの羽生結弦選手が効果的に使われ、人々は皆、善人として描かれる。
 映画を観て、そんなことはなかろう、と思う方もおられようが、〈布施〉と〈智慧〉と〈平等〉が救いをもたらす世界の価値を多くの方々に感じとっていただきたいと願ってやまない。
 ご覧になられればきっと、性欲・暴力・恐怖といった刺激に頼らない良質の映画に安心されることだろう。
 
「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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遠藤龍地

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TEL:022-346-2106

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