コラム

 公開日: 2016-05-15 

お戒名に救われた話 ─お見通しのご本尊様─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈ペット供養墓『一心』〉

 寒い日のご葬儀が終わってしばらくたち、境内地がすっかり緑色の輝きに包まれたある日、ご遺族のお一人Aさんがひょっこり訪ねて来られました。
 人生相談のお申し込みでしたが、お礼に参上したと言われます。
 お話には驚きました。
 お戒名が故人の人格的な問題をすっかり補っていたと言うのです。

 突然、申し込まれたご葬儀で、亡くなられた方ももちろん存じ上げず、とにかくご本尊様へ祈って降りたお戒名によって果たしたお務めでした。
 ご遺族皆さんに感謝されましたが、そこにはいつもの光景を離れた気配があったわけではありません。
 しかし、Aさんは涙ながらに言われました。

「私たちは、他人様からわかられにくい故人の心の問題にずっと苦しんで来ました。
 あれが病気であったかどうか、今となっては調べようもありませんが、少なくとも私にはそう考えるしかない状態でした。
 病気と考え、心から同情しつつ過ごした年月でした。
 次は、どうかそこを埋めた円満な人格で生まれ変わって欲しいと幾度、神仏へ祈ったかわかりません。
 お通夜の席で住職は、『院号は魂の色合いを表す』と言われましたね。
 あの院号にこそ、補われた人格が示されていたのです。
 そしてまた、『最後の熟語は僧名と同じ法名で、生まれ変わる姿を表す』とも言われましたね。
 あそこにこそ、私がこうあって欲しいと願っていた姿が示されていました。
 故人は、住職が言われたとおり、他の人と同じく、み仏の子として生まれていながら、何かの因縁で仏性が強く覆われた人として生まれ、仏性を充分に発揮できずぬまま、この世を去りました。
 しかし、それは、素晴らしいものがなかったのではなく、きちんと持っていたことを院号が示してくれました。
 私が拝んでいたとおり、来世ではきっと法名通りの生き方をして、この世で発揮できなかった徳にあふれた人生を送ることでしょう。
 私の永年の苦しみが救われ、故人も救われました。
 お通夜の夜、救いの道筋を確認した私は今までにないほどの安心感をもって眠れました。
 本当にありがとうございました。」

 お戒名を届けて皆さんに感謝されるのは、亡くなられた方の持っていた徳が表れているからです。
 しかし、今回は初めて、欠けていたものが補われるという形になっていました。
 もちろん、小生は何ら気づかず、降りたお戒名をお届けしたに過ぎません。
 ご本尊様のおはらかいに絶句するしかありませんでした。

 ところで、ある講演会でご質問を受けました。
「戒名は江戸時代の名残ではありませんか?
 どうお考えかお聞かせください。」
 暗に、本来不要だったはずの戒名をつけて大金を請求するのはおかしいと批判しておられます。
 お答えしました。
「私たちは今の世に生き、文化的な伝統を承けて生活しています。
 仏教は、お釈迦様が初めて真理を明確に説かれ、その悟った方法と内容が2500年に渡って探求され、追体験を望まれて来たものです。
 誰かのお告げでなく、道理の宗教である仏教は、時代や地域や風俗などに溶け込みながら、祈る形などを多種多様に変化させつつ、変わらぬ真理を示して来ました。
 魂にかかわる戒名も当然、その時代なりに用いられてきた道具の一つであり、そこに宗教的真実が宿っている限りは存在し続け、真実の表現でなくなれば、消えてゆくことでしょう。
 宗教者として今を生きる小生は、承け継いだ宗教的伝統に則った方法でご本尊様から戒名をいただき、それを手にした方々はそこに何らかの真実を感じてくださっています。
 それだけのことです。
 ただし、戒名が何であり、どのように授かるかは必要に応じてご説明しますが、決して強制はしません。
 自分は戒名なしで逝きたい、あるいは名前も一切、形に残したくない、とご自身の信念を述べつつ、当山へ万が一の場合を託す方々もたくさんおられます。
 戒名料を含めたご葬儀一式のお布施をくださり、「これで安心です」と清々した表情で帰る方々もおられます。
 当山は、ご依頼に応じて求められる役割を果たすのみであり、相手様の信仰や信条、あるいはお布施の金額によって分け隔てすることは一切ありません。」

 お戒名は決して売り買いするものでなければ、強制的に付けさせられるものでもなく、この世で親から名前を授かるのと同じく、あの世に旅立つ時、もしくはこの世で生き直しをして仏法にそった生き方をしたいと決心する時に、縁のご本尊様からいただくものです。
 真摯な宗教行為として尊べば、そこにさまざまな救いがあるのは当然だと考えています。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

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TEL:022-346-2106

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