コラム

 公開日: 2016-05-17 

悪魔は誰か? ─ラーダの問いと映画『殿、利息でござる!』の話─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。


〈河北新報様よりお借りして加工しました〉

 ある時、行者ラーマがお釈迦様へ問いました。
「悪魔とは何でしょうか?」
 行者にとって、修行を妨害する魔ものは大敵です。
 お釈迦様は答えました。
「色、受、想、行、識である」

 まず、「色(シキ)」です。
 これは形あるモノ一般であり、自分の身体も含みます。
 車であれ、恋人であれ、自分に属すものがあると、とらわれます。
 また、死にたくないので、自分の身体にとらわれます。
 すべてが空(クウ)であり、滅する時を免れないのに、その真実を忘れて自分の思い通りにしようとしますが、そうはなりません。
 どうにもならない状況は恐ろしく、情けなく、怒りも起こります。
 こうして、心と生活の安寧を破る魔ものが現れます。

 次は、「受(ジュ)」です。
 感受作用です。
 これがなければ、世界は意味を持ちません。
 子供は活き活きし、花は美しく、猫はふんわりしていてこそ、この世です。
 信頼できる人の言葉には思いやりを感じ、嫌いな人の言葉には刺を感じます。
 一方、好きでもとらわれ、嫌いでもとらわれ、心は波立ちます。
 こうして、感受作用も又、魔ものになり得ます。

 次は、「想(ソウ)」です。
 表象作用です。
 何かを次々と想い受かべることによって、私たちは心がはたらき、自分がいる実感をつかめます。
 老いた親の面倒を見る時、子供時代の記憶をよみがえらせて頑張ります。
 しかし、時には、人を傷つけたり、傷つけられたりしたシーンなどのフラッシュバックに悩まされます。
 自分の意思とは何らの関係もなく次々と心に表れるものは時として、平安や集中を妨げる魔ものになります。

 次は、「行(ギョウ)」です。
 意思作用です。
 子供が元気で育って欲しいと願っているのに、病気に罹ったり、言うことをきないで怪我をしたりします。
 親切心で言葉をかけたら、とんでもない逆恨みを受けたりします。
 善き願いが叶う時もあり、叶わない時もあって一喜一憂させられます。
 意思しないではいられないのに、意思は常に裏切られる可能性があって不安定であり、いつ、魔ものとして自分を苦しめるかわかりません。

 次は、「識(シキ)」です。
 認識作用です。
 のんびりと昼寝している動物を見て、あっ、猫がいるとわかります。
 一方で、せっかく貴重な忠告をしてくれたのに、つまらぬプライドが邪魔をして相手が敵であると思い、怒ったり、憎んだり、恨んだりする場合もあります。
 見たくないものや聞きたくないものも不断にやってきて、耳目を刺激しつつ通り過ぎます。
 私たちは自分の意思で何かを認識するのではなく、生に付随した認識作用が不断にはたらいていればこそ、世界と自分の存在がわかり、保てます。
 これもまた、思い通りになってはおらず、いつ、魔ものとしてはたらくかわかりません。

 上記の5つを合わせて五蘊(ゴウン)といい、それらがうまくはたらいていればこそ、私たちのいのちと心は安定的に保たれます。
 しかし、それらはいつ、私たちを悩ます魔ものとしてはたらくかわかりません。
 だから大切なのは、常々、よきイメージを持って生きることです。
 五蘊が魔ものにならぬよう習慣づけることです。
 仏像に手を合わせるのも、お線香を捧げて精進を誓い、お花を捧げて忍耐を誓うのも、よきイメージづくりに役立ちます。
 また、『殿、利息でござる!』といった上質の映画を観ることなども、きっと役立つことでしょう。

 そう言えば、この映画で、庶民が救われる決め手になったのは、周囲から強突張(ゴウツクバ)りと思われていた親子の二代に渡る秘められた善行でした。
 善行を実践し、それを秘しておこうとする姿勢は、お釈迦様が説かれた「筏(イカダ)のたとえ」そのものです。
 お釈迦様は「法という筏によって迷いという大河を渡ったならば、その先を行くにはもう、筏を捨てるがいい」と説かれました。
 空(クウ)を説き、執着心を解き放つ仏法は救いの手だてです。
 そうして救われ、悟ったならば、仏法にすら執着してはなりません。
 だから、悟ったお釈迦様は他の宗教と争わず、悟ったお大師様も又、同様でした。
 真の悟りを得た聖者が争いを離れ、あらゆる階層の人々に受け入れられ、尊敬されるのには理由があるのです。
 この映画における胆(キモ)の一つは、「この行いを末代まで人様に自慢してはならない」という慎みの掟にあります。
 ぜひ、多くの方々に観ていただきたいと願っています。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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