コラム

 公開日: 2016-07-11 

「私の八月十五日」を読む(第三回) ─死んだ母親─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 仙台市泉区長命ヶ丘に「ほっといっぷく」という高齢者のサークルがある。
 それぞれの体験談が冊子「私の八月十五日」にまとめられた。
 ネットでのご披露をお許しいただいた。
 順次、転載したい。
 願わくば「不戦日本」が揺るぎなきものでありますよう。

○私の八月十五日(I・H S12 女性)

 私は父の仕事の関係で、当時、秋田におりました。
 まだ、幼かったので、当時のことは何も覚えていないのですが、ひとつだけ鮮烈な印象として残っていることがあります。
 ちょうど土崎の港が爆撃を受けたとき、私たちも逃げました。
 母に手を引かれて走る途中、激しい赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。
 見ると、血だらけになったお母さんが、塀かコンクリートか何かに凭れて地面にべったりと座っていました。
 赤ん坊は、そのお母さんの腕の中で泣いていたのです。
 たぶん、あのお母さんは息絶えていたのでしょう。
 みんなみんな、自分の逃げることに必死だったのだと、いま思います。
 あの赤ん坊が生きておられれば、もう六十才近くになられたはずです。

 7月6日、イギリスの独立調査委員会(チルコット委員会)は、イラク戦争に参戦して200人近い英軍戦死者を出した当時の状況について発表した。
 開戦から13年、真摯な検証により実態が明らかになった。

「(フセイン政権の)武装解除の平和的な方策を尽くす前に侵攻に参加した。
 軍事行動は当時、最後の手段ではなかった」

 すでに知られているとおり、アメリカが開戦の理由として挙げた「イラクフセイン政権下で、化学・生物兵器の開発が続いているとの情報」について、疑うべき充分な理由があったと断じている。
 イラクにおける戦乱の行方や戦後の成り行きなどについては「侵攻の結果を過小評価していた」と手厳しい。
 そして、当時のブレア首相が当時のブッシュ米大統領に対し、秘密裏に戦争への協調を約束していたことも判明した。

「何があっても行動を共にする」

 元北アイルランド省次官のジョン・チルコット氏が率いる独立調査委は、戦争の正当性を疑問視する国民の声に押されて戦争の6年後に設置された。
 委員は歴史学者ら5人、調査した文書は15万件以上、証言者はブレア氏を含め150人以上に上った。
 内容は、不確実な情報を根拠としたアメリカ軍のイラク侵攻に追随したブレア氏の政権へ厳しい結果となった。
 しかし、7月6日、ブレア氏は報告書の公表を受けて会見し、情報処理の過ちや多大な犠牲者を出したことには謝罪しつつも、開戦は「正しかった」と主張した。

 あの当時、アメリカ軍は、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有していることを理由にイラクへ侵攻した。
 当時の小泉首相もイギリス同様、兄弟ブッシュの要請によって自衛隊を派兵した。
 平和憲法によって自衛隊は外国の戦闘へ参加できず、イラクのどこが具体的な非戦闘地域であるか、国会で問われた小泉氏は平然と答えた。
「自衛隊が行くところだから非戦闘地域です」
 根拠を示さず、権力者である政権の判断だから正しいと言い切ったに等しい。

 そして、根拠なき開戦が明らかになったイラク戦争に関し、出兵した同盟国日本では何らの検証も行われず、事実は風化しつつある。
 膨大な人々がいのちを失い、テロが世界へ拡散するきっかけとなり、今なお戦闘が続いているイラク……。
 私たち日本人には何の責任もないのだろうか?

 7月1日にバングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件。
 日本人7名が殺されたおり「私は日本人だ」と三度、叫んだ人がいた。
 彼は、日本人である以上、こうして殺されるいわれはない、と信じていたのだろう。
 残念ながら、営々として築き上げてきた「戦争をしない日本人」というブランドは風前の灯火となった。

 それでもなお中村哲医師は、武器によってでなく、住民の信頼に護られつつ、パキスタンからアフガニスタンにかけて医療や灌漑など多様な活動を展開している。

「この火急の折、つまらない争いや議論に巻き込まれず、着実に進みたいと考えています。
 健康な者に医者は要りません。
 本当に窮している今でこそ、力添えが必要だからです。
 殺伐な話が多い中、ここには希望と人間らしい喜びがあります。
 困った人々を救済するという美談ではありません。
 私たちもまた、人の温もりに触れ、自然の恵みを知り、生きる気力を養ってきました。」

 何としても「不戦日本」を貫きたい。

「おん さん ざん ざん さく そわか」

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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