コラム

 公開日: 2016-07-15 

魂の行方は? ─供養のきっかけ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 私たちは人の死に際し、その魂の行方を気づかっているだろうか?
 死んだ途端になぜ、もう大丈夫、と言えるのだろう?

「これまでご苦労様でした。
 どうぞゆっくりお休みください」

 あの世へ行けば安寧が待っていると考える根拠は何か?
 ただ、そうあって欲しいと思うだけで、ことを済ませてはいないか?

 私たちはほとんど、この世でさんざんやらかし、結末をつけられないことごとを山ほど残してあの世へ旅立つ。
 子供の教育、夫婦の約束、仕事の責任、人間関係の信義などなどに関する問題行動や失敗は、真剣に数え始めたらきりがないはずだし、年をとれば無論、多くを忘れてしまってもいる。
 自分がそうなら、旅立つ人もあまり変わりはなかろう。
 だからこそ、お釈迦様の高弟で神通第一と称される目連尊者(モクレンソンジャ)は、亡き母親がいかなる境遇にあるか、気づかった。

 神通力で観たところ、意外にも餓鬼界(カキカイ)に堕ちており、自力では救いようのない尊者はお釈迦様に救済法を請い、雨季の修行を終える行者たちへ供養し、祈るよう指導された。
 それが現代にまで伝えられ、日本ではお盆の供養会とドッキングしているが、そもそも、尊者が〈魂の行方〉を気づかったことに由来するという事実は重い。

 たとえ愛憎こもごもあったとしても、哀惜を抱きつつ送るのならば、その行く先であるあの世を深く想わずにいられない。
 お大師様は愛弟子の死に際し、言葉を手向けた。

「覚りの朝(アシタ)には夢虎(ボウコ)無く、悟りの日には幻象(ゲンゾウ)莫(ナ)しと云うと雖(イエド)も、然れども猶(ナオ)夢夜(ボウヤ)の別れ不覚の涙に忍びず」

(覚れば、何があっても、夢で見る虎を恐れぬように心乱れず、目には見えていても所詮幻でしかない象を気にせぬように、眼前のものごとに心乱れることない。
 とは言うものの、貴男との死別がこの世のかりそめのできごととは解っていても、不覚にも涙が流れてならない)
 天皇の前で即身成仏(ソクシンジョウブツ)の法を結び、帰依(キエ)を受けたほどのお大師様であってなお、涙を流された。
 そして、貴人であれ庶民であれ、死者への供養を生涯、欠かさなかった。

 死んだからといって、善行(ゼンギョウ)も悪行(アクギョウ)もすべてがチャラになりはしない。
 私たちは、自分がやってきたことの結果が〈今〉、すべて出てはいないことを知っている。
 だから、〝あと少し〟と頑張れるし、〝まだ謝りに行っていない〟と倫理感を保てる。
 しかし、その〈今〉は永遠に続かず、否応なく、自分の意思とはほぼ無関係に終止符が打たれる。
 ──残りの結果はどうなるか?

 この〈未だ出ていない結果〉こそが、死に行く人の深い意識に蓄えられているものだろう。
 それを知っている目連尊者は、気づかい、怖れ、供養を行った。
 それを知っているお大師様は、気づかい、哀しみ、供養を行った。

 私たちは、亡き人をふと、想う。
 命日はもちろん、夕陽が空を橙色や紫色に染める時、ヒグラシが鳴き始める頃、お彼岸やお盆の時期。
 そして、気づかいが兆したならば、すなおに供養を行いたい。

 静かに合掌する、真言やお経を唱える、供養を申し込む、供養会に参加する。
 いずれであれ、魂の行方に想いをいたす時、それは私たちの仏心が動き、あの世の仏心と共鳴し、共に業(ゴウ)が清められる兆しなのだろう。
 ふとした〈その時〉を大切にしたい。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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