コラム

 公開日: 2016-08-08 

写経の功徳とは? ─生き仏になる体験─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 室内の温度計は36・5度という酷暑の中、髙橋香温先生のご指導のもとで、参加者の皆さんは熱心に書道を学び、いつものように『理趣経(リシュキョウ) 百字偈(ゲ)』の写経も行いました。
 メンバーのお一人が引っ越しで今回が最後の参加となり、新しいメンバーも入ったので、5分程、写経の功徳についてお話をしました。
 写経で有名なのは、弘仁9年(818)、旱魃(カンバツ)、飢饉、疫病という大災害に見舞われたおり、嵯峨天皇が御所を離れて3日間、持仏堂へ籠もり、般若心経を書写されたできごとです。
 天皇は、こう述べられました。

「朕(チン)の不徳にして多衆に何の罪かあらん」

(大災害が起こるのは、国を統べる自分の不徳のいたすところであり、民衆には何の罪もない)

 写経を行うと共に、お大師様から般若心経についての講話を受けられました。
 そこで用いられたのが『般若心経秘鍵(ヒケン)』です。
 世の中の苦しみは徳の不足によって起こるのだから、責任ある立場にある者ほど、我が身を振り返り、徳行に勉めねばならないと、天皇自らが身を謹まれたのです。
 ものごとが目論見(モクロミ)どおりの結果とならなかった場合、あるいは思いも寄らぬほどよからぬ結果となった場合、今でも「不徳のいたすところです」と口にはします。
 しかし、その〈不足〉を補うべき徳行がどうなされたかは、なかなかわかりません。
 天変地異と天皇の責任がどうかという物理的な因果関係の詮索はさておき、責任を感じた嵯峨天皇がひたすら写経し、講話も受けたお姿には学ぶところ大なるものがあります。

 この一件でわかるとおり、写経は、万人を救うみ仏のお力をいただくための徳行であり、その功徳は、書く本人はもとより、万人へ行き渡ります。
 だから、当山では、納経されたお経の一巻一巻に書かれたそれぞれのご心願が成就するよう祈ると共に、功徳があまねく世界を救うよう重ねて祈っています。
 そうした意味では、写経の功徳は、仏像を造る功徳に通じていると言えるかも知れません。
 たとえば、誰かの病気が治るよう願いを込めながら懸命に彫った仏像に、他の誰かが手を合わせる時、「あなたのために彫ったのではありません」と拒否することはありえないのです。

 また、一心不乱に書くという作業は、身体のはたらきをみ仏の世界に合わせている状態です。
 そして、書き上がった経文を読むのは、言葉のはたらきをみ仏の世界に合わせている状態です。
 さらに、経文の内容に心を向ければ、心のはたらきをみ仏の世界に合わせている状態です。
 こうして、身口意(シンクイ)が自己中心的な業(ゴウ)をつくる日常的な状態から離れれば、それは生き仏になっていると言えるのではないでしょうか。

 写経を終えて帰られる皆さんはどなたも生き仏です。
 合掌して送り出す小生はありがたくてなりません。

 お盆でお寺へ出かけられる時、納経をされてはいかがでしょうか?

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

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TEL:022-346-2106

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