コラム

 公開日: 2016-08-10 

お化けはいるのか? ─お子さんから質問されたら─ 

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈松井冬子氏の作品をお借りして加工しました〉

 毎年、この時期になると、お子さんたちから訊ねられます。
「お化けっているの?」
 今の時代は、小学生低学年の子供でも、夜中の内にお土産を用意しておいてくれるサンタクロースがお父さんやお母さんであることを知っています。
 それでも、薄暗いあたりに何かの気配を感じる感覚は残っているようです。

 日本人が生んだ世界的天才の一人である南方熊楠(ミナカタクマクス)は、何でも自分で確かめる人でした。
 たった一人で那智山に入り、日中は動植物を観察して図や文章に書きとめ、夜は心理学を研究しつつ気づきました。

「幽霊が現わるるときは、見るものの身体の位置の如何(イカン)に関せず、地平に垂直にあらわれ申し候(ソウロウ)。
 しかるに、うつつは見るものの顔面に平行してあらわれ候。」

 幽霊は、どこでどういう姿勢でいても、必ず地面に垂直に立ち現れます。
 その一方で、幻は、自分の顔に平行な形で現れるというのです。
 彼は、誰かから「幽霊を見た」と聞いてはそこへ出向き、何度も幽霊を確認しました。
 同時に、そうした異次元の入り交じる場所で、珍しい生きものをも発見したようです。

 それにしても、正確に観ようとする人の目は鋭いものです。
 言われてみれば幽霊は地中や水中から現れるので必ず垂直に出てくるはずですが、私たちはこんな当たり前なことになかなか気づきません。
 〝あっ、出た!〟と思えばもう、恐ろしく、早く逃げるか、もしくは金縛りで動けなくなるか、いずれにしても心臓は早鐘を打ち、冷静な観察眼や判断力がはたらかないからです。
 だから、夜道に落ちている縄を見つけて〝ヘビだ!〟とびっくりしますが、南方熊楠なら、何でできた何㎝の縄であるかまで即座にわかることでしょう。

 ちなみに、彼はこんなことも書いています。

「小生が旅行して帰宅する夜は、別に電信など出さないのに妻はその用意をする。
 これは rapport(ラッポール)と申し、特別に連絡の厚い者にこちらの思いが通ずるので、帰宅する前、妻の枕頭に小生が現われ呼び起こすのだ。」

 いわゆる夢枕を意識的に現出させるのです。
 普通に言う夢枕は不吉な知らせがほとんどで、戦地に行っている息子が夢枕に立ったその日に戦死していたなどは典型的なものです。
 当山にご葬儀やご供養を依頼される方々の中にも、夢枕の体験を語る方は幾人もおられます。

 さて、幽霊のほとんどは未成仏霊であると思われます。
 悲しいことですが、東日本大震災の後、たくさんの方々がこの問題でご来山し、ご供養や、ご加持や、ご祈祷を行い、また、一般家屋、事務所、ビル、浜辺、橋、樹木など〈現場〉へ出かけての修法も行いました。
 南方熊楠のように垂直に立っている幽霊には会わずじまいでしたが、ありありと気配を感じたことは数限りありません。
 凍っているような闇も、何かが動くような柔らかな空気もありました。

 ただし、急いでつけ加えておかねばならないことがあります。
 未成仏霊は必ずしも、おどろおどろしい雰囲気を伴っているとは限りません。
 平成28年の春、東北学院大学で社会学を学ぶゼミの学生たちが、石巻市のタクシー運転手から聞き取り調査した卒論には、乗せたはずのお客様がいなくなっていた話なども書かれていますが、皆さん揃って、出会った〈幽霊〉に対して畏敬の念を持ち、大切な体験として記憶に留めておられます。
 津波で身内を亡くした方などはこう言いました。
「こんなことがあっても不思議ではない。
 また乗せるよ」
 
 お子さんから「お化けっているの?」と訊かれたらこんなふうに答えるのも一法でしょう。
「そうだね。
 亡くなってまだ、あの世にすっかり行けないままの人もいるかも知れないね。
 目に見えないのに誰かがいるような気がしたら、合掌して〝早く、安心の世界へ行ってください〟と祈ってあげましょう。
 でも、本当に誰かが隠れていたら大変だから、注意しましょうね」

「おん ばざら たらま きりく」
 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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大師山 法楽寺 [ホームページ]

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