コラム

 公開日: 2016-08-14 

天皇陛下のお言葉に想う ─〈プロ〉の視点から─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 天皇陛下のお言葉によって、私たちはあらためて〈天皇〉というものを考えさせられた。
 以下のお言葉が問題の中心ではないか。
 
「既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。」

 要は、一人間として、置かれた立場なりの任務をまっとうすることが難しくなってきたので、役割を果たせる人間にバトンタッチできる態勢をとって欲しいという当たり前のご希望である。
 市井の者なら、辞職するなり、店をたたむなり、後継者へ継がせるなり、自分の意思で出処進退を決められるが、天皇はそういうわけにはゆかない。
 そして、恐れ多いことだが、陛下がお考えになられる天皇として果たすべき役割に比して、年齢と体調に合わせた仕事が決められつつあることに慚愧(ザンキ)の念を持っておられるのではないかと思う。
 立場に立つことが第一ではなく、役割を果たすことが第一と考える誠意あるプロとしては、耐えきれないところまできておられるのではないか?

 2度の大手術を経、リハビリによって現場復帰を果たした陛下は、「幸いに健康であるとは申せ」と言われた。
 決していわゆる無病息災の健康体ではないにもかかわらず、難病を抱えた方々や、大災害に見舞われた被災地の方々、あるいは戦争で身内を亡くされた方々、そして戦死したままジャングルや大海原で眠っておられる御霊方と接してこられた陛下としては、ご自身を「健康」とおっしゃるしかなかったのだろう。

 畏れながら、托鉢から仏道へ入り、托鉢先で皆さんの生(ナマ)の声に接した体験を宝ものとしている小生にとって、陛下のお言葉は涙なしには読めない。

「皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。」

 陛下はいつも人々と同じ目線で、皇后様共々、床や地面に膝を接して、お言葉を交わされた。
 陛下にとって「国民」のイメージは、「共同体を地道に支える市井の人々」にあるのではなかろうか?
 傘寿(サンジュ)を越え、その体験をふまえた日々の務めにつき、過去形で語られるお心を忖度すると、涙が流れる。
 ぜひ、関係者各位には、陛下が長年にわたって私たちのために尽くされた誠意に対し、心から「ご苦労様でした」「ありがとうございました」と具体的にお応えできるよう、最善を尽くしていただきたいと願ってやまない。
 プロとして、真にプロたり得ないまま、その立場に止まるようになるならば、畏れながら、死ぬよりお辛いのではなかろうか……。
 今こそ、国民のレベルが問われていると思う。
 
「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0

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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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