コラム

 公開日: 2016-08-15 

蔑視と怨念で滅んだ釈迦族 ─争い、戦争を起こさぬために─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 お釈迦様は晩年、釈迦族の滅亡を体験された。
 お釈迦様は三度、隣国の軍隊を待ち受け、引き返させたが、四度目はかなわなかった。

 ことの起こりは、釈迦族が隣国の瑠璃太子(ルリタイシ)を侮辱した事件にあった。
 太子は8才の時から深い怨みを抱き、王になったら釈迦族を滅ぼすとの誓いを立てた。
 両親がお釈迦様の教えを聞きにいった留守中、クーデターを起こした太子は瑠璃王となり、釈迦族を討つために出発した。
 それを知ったお釈迦様は、道端の枯樹の下で瞑想し、待ち受けた。
 さしもの瑠璃王も三度はがまんした。
 以下、武者小路実篤著『釈迦』よりの抜粋である。
 (漢字や仮名遣いは現代風に変えています)

「昔から兵を用いて出征する時、沙門(シャモン)に遇わば軍をかえして還れと云われている。
 まして仏陀(ブッダ)に遇ったのだ、進むわけにはゆかない。」

 精舎(ショウジャ)に戻ったお釈迦様は沈んでおられ、弟子のアーナンダは心配する。

「私は世尊のおそばにいて数十年になりますが、こんなに御元気のないのを始(※ママ)めて見ます。」

「あと七日で釈迦族のものは皆、傷つき倒れるだろう。
 如来の顔の変をあらわすのは、家中の為に喪に服するのだ。」

「釈迦族には宿世の罪の報いを受けなければならない因縁があるのだ。
 代わってこれをうけることは誰もできない」

 アーナンダは、救済法を訊ねる。
 お釈迦様は簡潔に答えられた。

「もし釈種の人が心を一つにし、外敵にくみするものがなければ国は亡びない。」

 やがて来襲した瑠璃王の軍に取り囲まれたカピラ城内ではなかなか方針がまとまらず、ついに開城となったが、おおぜいが殺され、三万人もが捕虜となった。
 瑠璃王が捕虜たちの足を土に埋めて象に踏み殺させようとした時、王の祖父に当たる釈迦族のマカナンは言う。

「私が今、この庭の池の水底に潜っている間、皆を逃がして下さい。
 私が水を出るのを合図に皆をお殺しになって下さい。」

 王は承知し、マカナンは池へ入ったが、いつまでたっても出て来ない。
 とうとう全員が逃げてしまったので、水中を調べたところ、マカナンは髪の毛を樹木の根に縛りつけ、息絶えていた。
 王は暗澹(アンタン)とする。

「私の祖父が死んだのは、他の人々の生命を助けるためだった。
 惜しいことをした。
 殺すのではなかった。」

 こうして釈迦族は滅んだ。
 発端は、他国への蔑視であり、侮蔑を許せない怨みだった。
 因縁は長い時を待って熟し、結果が出た。
 その流れを変える新しく強力な縁がはたらけば、結果は変えられたかも知れない。
 お釈迦様は、不可能は承知の上で、一致団結と自立とを説かれた。
 この二つに必要なものは智慧と方便(ホウベン…適切な手段)である。

 最後は、因縁の発端に関与したマカナンが身を捨てて多くの人々を救った。
 私たち凡夫にできることは、第一に、高慢心を離れ、他者を敬うことである。
 そして、軽蔑されたならば相手の心性を哀れみ、怒らないこと、そして怨まないことである。
 たとえいかなる富や地位を誇ろうとも、慢心し、他者を軽蔑する人の心は貧しく、哀れである。
 慢心している人の顔には品性がなく、隠しようもなく卑しい。
 怨んでいる人の顔には陰の気がまといつき、臭気を放つ。
 個人も国家も同じである。
 争いを避けるために、戦争を避けるために、まず蔑視をやめ、怨念を捨てたい。
 何としても「不戦日本」であり続けたい。 

 今日の10時から恒例のお盆供養会を行います。
 自由参加です。
 護摩の火に身を近づけ、しっかり祈ろうではありませんか。
 
「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0

 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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