コラム

 公開日: 2012-01-26  最終更新日: 2014-06-04

宗教って何? ─被災地に生まれつつある小さな霊場や聖地─

やはり、あれは、すでに、墓標だったのです
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。



 最近は、若い学生さんの間で心理学と哲学が人気だそうです。
 学生が教授へ質問しました。
「哲学と宗教はどう違うのですか?」
 教授は答えました。
「宗教には物語がつきものなのです」
 この話を聞き、教授の本も読んだBさんは釈然としません。
 Bさんは常々、向学心が旺盛なご婦人です。
 そこで旧知のCさんへ電話しました。
「物語があれば宗教だと聞いたけれど、そうかしらねえ」
 80才になるCさんは即座に答えました。
「祈りがあるのが宗教よ」
 Bさんはとても納得しました。

 明治以来、仏教の研究は主として哲学的に、あるいは社会運動の視点から研究されるようになり、庶民の祈りを実現するといった面は一段レベルが低いがごとき扱いでした。
 しかし、〈切ない祈り〉こそが、他の分野では引き受けようのない宗教の核です。

 東北学を提唱した赤坂憲雄氏は1月23日産経新聞へ「なぜ、いま、民族芸能なのか」を書きました。
 氏は、震災後、南三陸町で出会った60才代の男性の話を紹介しています。
 津波ですっかりやられた男性は、2か月かけて瓦礫の山を探し回り、二つの大切なものを発見しました。
 一つは、海で拾った貝を加工して奥さんへ送った指輪です。
 もう一つは、鹿踊りの太鼓と衣装でした。
 きれいに洗い、生き残った仲間たちと避難所で踊ったら、お婆ちゃんたちが泣いたそうです。
 鎮魂と供養は、芸能の復活として表れているだけではありません。

「海沿いを歩くと、いたるところに、小さな霊場や聖地が生まれつつあります。
 草むらの中に卒塔婆が立っていたり、堤防の脇に花やお菓子がそなえられている。
 一瞬にして奪われたたくさんの命、それぞれの思いや記憶が行き場もなく浮遊しているのです」

 私も、托鉢でお世話になった海沿いの地域をもう一度、つぶさに歩くつもりです。
 かつて、娑婆で何もかも失った私は、見知らぬ集落の一軒一軒を訪ね歩き、地域の方々から生きる糧を与えられ、いかなる僧侶、いかなる寺院であるべきかも教えていただき、今に至りました。
 あちらの集落からも、こちらの集落からも山ほど授かった私は、〈小さな霊場〉で漂っておられる方々へ鎮魂の祈りを捧げ、小さな恩返しをしたいと思います。
 それが、赤坂憲雄氏の言う「広い意味での宗教のありようが、いま深いところから問われようとしている」状況への、自分なりのささやかなかかわりようです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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