コラム

 公開日: 2012-02-03  最終更新日: 2014-06-04

あらためて十善戒を考える(その5) ─日にいよいよ新たなり─

 闇を払う小さく確かな明かり
おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。



 年のはじめに、あらためて「十善戒」を考えています。

6 不悪口(フアック)

 これはいわゆる「わるくち」だけではなく、怒鳴ったり喚いたりする粗暴な言葉遣い一般をも含む戒めです。
 言葉に憎悪や怒気が含まれている時は、相手を痛めつけるつもりでいながら、自分の人格を深く痛めつけているものです。
 その反対が、慈雲尊者の説かれた柔語(ニュウゴ…穏やかで思いやりのある言葉)です。
 柔語を心がけ、不悪口の戒めを守ればどうなるか。
 慈雲尊者の説かれた極楽です。

「家も和睦し、四海も泰平に、草木まで花果うるはしき、この戒の徳なり」

 家庭は円満で、世界中が争わず、自然の移り変わりも順調になります。
 そうすると、家庭がギスギスし、世界で争いが絶えず、地球全体で自然が猛威となっているのは、現代人の心のありようと無関係ではないのかも知れません。

 さて、2月2日のNHKテレビ「クローズアップ現代」では、「〝究極の味〟を求めて~科学が開く料理のトビラ~」を放映しました。
 科学者と料理人が互いの智慧を出し合って新しい料理法を編み出そうとしています。
 素材が持つ本来の力を格段に発揮させる科学技術は、日本料理を含むさまざまな調理法へ新たな魅力を加え、若い世代の日本料理離れに歯止めをかけることも期待できるとは何と嬉しいことでしょうか。

 鮎料理で名高い店の調理師が目を輝かせながら次のステップへの期待を口にしている場面を観て、戦前に活躍した故松井元興(モトオキ)博士の言葉を思い出しました。

「無限大に続く闇路を調査研究しながら通り行くものが自然科学の仕事であって、その間に思いがけない副産物を産み出すところの光明を伴いつつ、永久の闇路を次から次へ彷徨して行くのが自然科学の本然の姿だと私は確信しております」

 調理師が感じていた行き詰まりはまさに〈闇路〉だったのでしょう。
 科学とのコラボレーションによって、そこに光明が差したのです。

 お大師様の言葉も思い出しました。

「霧をかかげて光を見るに無尽の宝あり。
 自他受用、日にいよいよ新たなり」

(学び実践して迷いの霧をとり除けば、心いっぱいに光があふれ、そこに無限の宝ものが見いだせる。
 宝ものは自分のためにも、他人のためにも役立ち、皆が日々を新鮮に生きられるようになる)

 料理といい、科学といい、宗教といい、進取の精神は、一日一日といのちを費やす私たちへ新たな喜びをもたらします。
 魂がこうして震えている時、もはや悪口の出る幕はありません。
 他を貶める時間など、入り込む余地はありません。

 自分の高慢心によってしか〈自分〉を確認できなくなった心の貧しさが他人への刃となって悪口をもたらします。
 いかに心を豊かにするか。
 それは自分の生き方が決めます。
 不可欠なのは魂のレベルで感応する心の瑞々しさを保つ努力ではないでしょうか。
 自分の言葉に憎悪や怒気が含まれていると気づいた時は、チェックしたいものです。

 


 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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