コラム

 公開日: 2012-02-15  最終更新日: 2014-06-04

老後の仕事は〈生き仏〉になるのが一番(その2)


 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。





 前回、書きました。
「気ままに生きようとするか、それとも人間として生きるべきように生きることを考えるか」
「身体の健康管理と同時に、心を清めてこそ、賢明な生き方と言えるのではないでしょうか」
「仏様になって生きる即身成仏(ソクシンジョウブツ)こそ、お年寄りの一番の仕事ではないでしょうか」
「お釈迦様は、誰にでもすぐにできる方法を説かれました」

 肝腎の〈方法〉です。
 実は、仏教の全歴史は聖者や行者によるこの方法の探求にあったと言っても過言ではなく、8万4千の法門つまり道があるとされています。
 ここでは、文字どおり誰にでもできる二つの方法「無財の七施」と「比丘(ビク)の四法」を挙げておきます。

1 無財の七施

「生き仏になる」とは、自己中心をやめて誰かの何かのためになりならが生きるという意味です。
 それは言い方を変えれば、布施に生きることです。
 布施とは、見返りを求めない奉仕です。
 そして真の布施であるためには3つが清浄でなければなりません。
 布施をする人の心、布施を受ける人の心、二人の間でやりとりされるモノや心や労力など。
 たとえば、ボランティア活動を鼻にかけたり、他に目的があったりしてはなりません。
 たとえば、受ける人に、相手をうまく利用してやろうという気持があってはなりません。
 たとえば、いくら困っている人々のためにといっても、ネズミ小僧次郎吉や石川五右衛門のように奪い取ったものを与えるのは布施と言えません。

 では、布施として相手へ何を与えられるか?
 まず考えられるのは、東日本大震災における義援金のように財物を差し出すことです。
 これを「財施(ザイ)」といいます。
 また、肩を寄せ合って不安な日々を過ごす方々がお互いに励まし合い、あるいは慰問するなど、恐怖心を取り除く行為です。
 これを「無畏施(ムイセ)」といいます。
 また、どうしたらよいかわからない人へみ仏の教えを説くことです。
 これを「法施(ホウセ)」といいます。
 でも、自分自身が貧窮していたら財施は厳しく、現場へ行かないでは無畏施も難しく、法施も簡単ではありません。
 こうなると〈誰にでもすぐにできる〉布施はなくなってしまいそうですが、そうではありません。
「無財の七施」があるのです。

 以下が、財物を伴わなくてもできる布施行です。
○眼施(ガンセ)
 思いやりのある優しいまなざしで相手を見ることです。
 眼は口ほどにものを言うのです。
○和顔悦色施(ワゲンエツジキセ)
 和やかさと笑みを含んだ相貌で相手と接することです。
 医師の穏やかな顔と接するだけで気持が落ち着いたり、孫の笑顔を見るだけで励まされたりします。
○言辞施(ゴンジセ)
 思いやりを含んだ言葉を相手へ届けることです。
「ありがとう」や「おかげさま」や「おたがいさま」が心を和ませ、勇気づけ、励まし、いのちの力を引き出すことは驚異的なほどです。
○身施(シンセ)
 身体を使って相手へ何かをさせてもらうことです。
 東日本大震災で、どれだけの汗が流されたことでしょうか。
○心施(シンセ)
 相手を思いやり、心配りをすることです。
 相手の立場や気持を思いやって心を配り、気を配るところから布施行は始まります。
○床座施(ショウザセ)
 相手へ座る所を提供することです。
 乗り物の席を譲る光景は例外なく美しいものです。
○房舎施(ボウシャセ)
 相手へ雨風をしのぐ場を提供することです。
 傘のない人へ傘を貸すこともどれだけの救いになることでしょうか。

2 比丘の四法

 比丘とは男性の出家修行者を指しますが、人としての修行にそうした区別があるわけではありません。
 この教えは、他人との関係が険悪になり人の道を外れそうな場合の心がけを説くものです。
○相手を非難しても、二度とは非難しない たとえば相手から理不尽な非難を受けた時、思わず「お前こそ!」と反応し、速射砲のように非難の言葉が口をついて出たりします。
 この〈思わず〉動くのが煩悩(ボンノウ)であり、凡夫はここで苦をつくってしまいます。
 この先を煩悩に任せるか、それとも智慧で抑えるかによってその人の人生は大きく異なります。
 およそ仏道を歩もうとする者ならば、いったんは煩悩が頭を出しても、モグラ叩きのようにすぐ、叩いてしまわねばなりません。
 これをくり返すことによって悪しき〈モグラ〉はだんだんに頭を出す力を失うことでしょう。
○相手へ怒っても、二度とは怒らない
○相手へ暴力的にふるまっても、二度とは暴力的にふるまわない
○相手の過失を暴いても、二度とは暴かない

 相手からの刺激によって自分の心が乱れた場合、〈相手に原因がある〉として相手を攻撃するのが煩悩に負ける凡夫の世界です。
 怒りが渦巻いているのは自分の心であり、それは自分そのもの以外の誰もコントロールできず、誰も責任を負えないことを忘れます。
 行者は、外からいかなる情報がやってきても、それにいかに反応するかは自分の問題であり、心が乱れたならば、乱れる心になっている自分が未熟であると考えます。
 だから、心が乱された時、「これ以上乱すな!」と相手へ向かわず「あっ、乱れてしまった」と自分を省み、乱れを収めるのです。

 今回挙げた「無財の七施」と「比丘の四法」は誰にでも実践できます。
 ましてや、人生経験を重ねたお年寄りには得意とする分野に思えます。
 お年寄りがいつでも、どこでも、こうした生き方をするならば、若い人々へ対する人生の先輩からの無言の贈りものになるのではないでしょうか。
「今の若いものは……」という愚癡は止めましょう。
 それよりも、生き仏として生き、死んで行くさまを見せようではありませんか。
 それが私たち年寄りのこの世で最後の務めではないでしょうか。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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