コラム

 公開日: 2012-02-16  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その39)─揺るがずに生きる・名を留める─

波をかぶった観音様
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html



 江戸時代まで広く寺子屋で用いられていた教材『実語教・童子教』を見直しましょう。
 日常生活でも用いる警句などがふんだんに含まれています。

「善立ちて名流れ、寵(チョウ)極(キワマ)つて禍(ワザワイ)多し」

(善き行いが広く知られるようになり、誉められ可愛がられるようになると、思わぬ禍いもやってくるものである)
 善行は正しいからと無神経になっていては危険です。
 他から注目され称賛されるようになった時こそ、謙虚さを忘れず、他から認められず蔑まれて辛い思いをしている人々の気持への思いやりが必要です。
 酷い状態で頑張っている時は周囲から手が差し伸べられたのに、成功すると今度は周囲から足を引っぱられるなどは、この世の常のありさまです。
 古人は
「得意澹然(タンゼン)、失意泰然(タイゼン)」
と戒めています。
「ものごとがうまく行って嬉しい時は舞い上がらず、水がたゆたうようにゆったりとしていなさい。
 ものごとがうまく行かない時はむやみとガッカリしたり乱れたりせず、山のように動じないでいなさい」
 この世のすべては無常であり、有為転変の定めは変えられません。
 そこに別れや崩壊の悲しみもあれば、希望を持って理想へ向かう勇気も出てきて、この世はマンダラとなり、万華鏡ともなります。

 最近、産経新聞が調査したところによれば、大学で最も「伸ばすことに困難を感じている能力」は「粘り強さ・ストレス耐性」、次いで「環境への適応能力」です。
 企業が「採用する学生に特に求めたい能力」は「粘り強さ・ストレス耐性」がトップ、「コミュニケーション力」が続いています。
 変化に流されず、オタオタせず、避けられない変化へ強靱に、かつ柔軟に対応できる心構えこそが求められているのではないでしょうか。



「人は死して名を留め、虎は死して皮を留む」

(人は死んでからも名前をこの世へ残し、虎は死んでからもこの世へ皮を残す)
 人間は〈死ねば終わり〉ではありません。
 特定の名前を持ってこの世で活躍した生きざまは、身内や友人知己をはじめとする人々の心へ残ります。
 善きことをたくさん行った人の活躍ぶりは、死んだあとも人々の灯火となり、勇気づけ、誇りともなります。
 悪しきことをたくさん行った人の活躍ぶりは、死んだあとも人々の反面教師となるだけでなく、一族郎党が社会へ恥じる気持も起こさせます。
 
 この世は一人で生き抜けず、たくさんの人々のおかげで生涯をまっとうできるのと同じく、死もまた、自分だけのものではありません。
 周囲の人々の手を借りて死に、死んだあとも人々の手を借りなければ自分の始末はできません。
 そして、生きざまと同じく死にざまもまた、周囲の人々の心へ小さくない影響を与えます。

 この教えは、人間としての矜恃や良い意味の自尊心をきちんと保つべきことを教えるだけではありません。
「おかげさま」と感謝し、「恥知らず」とならず恩へ報いる生き方の大切さをも説いているのではないでしょうか。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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