コラム

 公開日: 2012-02-23 

死に神の恐怖に耐えられるか?

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html




 Aさんは頼りにしていたはたらき者のお兄さんをガンで亡くされました。
 お兄さんは、自分の生き死にを見つめる間もなく仕事に追われていました。
 気づいた時はもう手遅れといった状況にあって、ようやく自分をふり返り、Aさんからみ仏の教えを少しづつ聞き始めていた矢先のご逝去でした。
 Aさんは言われます。
「宣告にも驚かずとてもしっかりした様子で、このまましっかり生き抜くのだろうと思っていましたが、ある日を境に人が変わったようになりました。
 とにかく怯え、兄とは別人のような狼狽ぶりで、医師から付き添いを強く要請されました。
 とうとう安心を取り戻すことなく旅立ってしまいましたが、最期の様子は耐え難く、私にも恐怖感が乗り移ったようにすら思えます。
 私は法楽寺で学び、自分なりに死を迎える心構えが徐々にできているような気がしていますが、兄の記憶があまりに強烈で、自信を持てなくなってきました。
 死の恐怖は、凡人には耐えられないのでしょうか?
 高僧が死にたくないと言い残したとされてもいますし……」

 お答えしました。
「お釈迦様は『法句経』でくり返し説かれています。
『どんなに長生きをしても、正しい教えを学ばなければ、学び実践したわずか一日にも及ばない』
 ここで言う『学び実践する』とは、教えがストンと腑に落ち、文字どおり自分の血肉になることまでを含んでいます。
 また『善行に勤しむ者には快眠と爽やかな寝覚めが待っている』と説くのは、日々の修行を勧めると同時に、精進していれば死を自然に受け入れられ、死後の心配もないという意味も含んでいそうです。
 良き生き方をイメージして生きれば生は良き形をとるのと同じく、良き死に方をイメージして生きれば死も又、良き形をとるはずです。
 この〈形〉とは、見栄や高慢心など余計なものがはさまらず、イメージそのもののなった時、自ずから成ると考えられます。
 それはちょうど、『不殺生』の戒めが心の深いところへ届いていれば、自ずからアリ一匹をも踏めなくなるのと同じです。
 当山は持戒という修行のイメージとして、『浄戒そのものになりはてる』ことを説いています。
 殺すことができない人、盗むことができない人になる以上の持戒という生き方はありません。
 これが〈形〉の意味です。
 Aさんはまじめにイメージの方向へと励んでおられるから〈その時〉の心配は要りません。
 お兄さんはお気の毒なことをしましたが、それも一つの死をかけた教えととらえましょう。
 当山は常に、『人は誰でも自分の死をもって最後の仕事をする。それは周囲の人々を立ち止まらせることである』とお話ししています。
 まっとうな人ならば、身近な人などの死に遭えば厳粛な気持になり、忙しく流れゆく日常の心のはたらきを止め、生や死そのものと向かい合う心になります。
 亡くなった方がいかなる方であり、いかなる死に方をしようとも。
 お兄さんは、Aさんへ自分の励みようをふり返らせるという大事な大事な仕事をしてくださいました。
 感謝し、学んだことを肝に銘じてやりましょう。
 結果はその先に自ずと決まるはずであり、そこはご本尊様へお任せしましょう。
 縁を生かし、努力をしたならば、あとは仏神へお任せするしかないではありませんか。
 これが自力にも、他力にもかたよらない自然な生き方です。
 安心を得る道は自覚し努力しているところに〈すでに在る〉はずですから、どうぞこのまままっすぐにお進みください」
 高僧の話は、誰であってもわけへだて無く最後は地が出るということ以上でも以下でもないでしょう。
 チューブだらけでベッドに横たわっているうちに決心し、黙ってチューブを引き抜いて従容と逝った方もおられます。
 死を迎える時は裸の一人間として逝くしかなく、平等に、その人、その人なのです」




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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