コラム

 公開日: 2012-02-26  最終更新日: 2014-06-04

見過ごせない思い ─「日本数学界」の調査結果について─


 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html




 2月25日付産経新聞は「日本数学界」が24日に発表した大学生数学基本調査をとりあげました。
 調査は、昨年の4月から7月にかけて全国48大学に合格したばかりの学生を中心とした約6千人を対象に行われました。
 偏差値群から東大・京大など最難関国立大を「国立S」、難関を「国公A]、中堅を「国公B]、私立もSからCまでの4グループに分け、文系・理系でも分析しました。
 その結果は──。

1 小学校6年生の時に習う「平均」という概念についての問題と正答率は以下のとおりです。

【問題】
 ある中学校の三年生の生徒100 人の身長を測り、その平均を計算すると163.5cm になりました。
 この結果から確実に正しいと言えることには○を、そうでないものには×を、左側の空欄に記入してください。
□ (1) 身長が163.5 cm よりも高い生徒と低い生徒は、それぞれ50 人ずついる。
□ (2) 100 人の生徒全員の身長をたすと、163.5 cm × 100 = 16350 cm になる。
□ (3) 身長を10 cm ごとに「130 cm 以上で140 cm 未満の生徒」「140 cm 以上で150 cm 未満の生徒」・・・というように区分けすると、「160 cm 以上で170 cm 未満の生徒」が最も多い。

 ○は(2)だけです。
 ○と×をすべて正しくつけられた正答率は全体で76・0パーセントです。
 「国立S」で94・8パーセントが正答を選び、「私立B」と「私立C」では半数が不正解(!)です。

2 中学校2年生の時に習う「偶数と奇数」という概念についての問題と正答率は以下のとおりです。

【問題】
 偶数と奇数をたすと、答えはどうなるでしょうか。
 次の選択肢のうち正しいものに○を記入し、そうなる理由を下の空欄で説明してください。
□ (a) いつも必ず偶数になる。
□ (b) いつも必ず奇数になる。
□ (c) 奇数になることも偶数になることもある。

 ○は(b)です。
 ○を正しくつけられたの正答率は、「ほぼ正答」を合わせても全体で33・9パーセントでした。
 「国立S」ですら76・6パーセント、私立に至っては早大や慶大などの「私立S]ですら27・8パーセント(!)しか正答を選べませんでした。

 暗澹としながら、たまたま出会った高校の校長先生に感想をお訊きしました。
「そうですねえ。
 生徒たちは、自分が感心のある分野についてはどんどん調べて熱心にやりますが、途中で基本に戻ったりはあまりしないのではないでしょうか。
 たとえば、工業系の高校だと、かけ算や割り算があまりできなくても、『それは計算機の仕事』と割り切って次に進むようです。
 実際、生徒たちの計算機やパソコンを繰るスピードは凄いものです」

 同日の同紙における「世界鳥瞰」の欄では、国際協力銀行・国際経営企画部長の前田匡史氏が紹介していました。
○日本の一人当たりGDPは、2000年に世界第3位、08年には23位。
○交際競争力は、90年に第1位、08年には22位。
「世界で覇を競う必要があるのか?」という疑問はありますが、世界ランクは〈結果〉と考えれば、こうした結果にはいかなる原因があったのか、そこに問題とし憂慮すべき点はなかったのか、また、それは私たちが本当にこうありたいと望み、願って生きた結果だったのかと問う必要性はあります。
 日本全体で、小学生や中学生の頃にはこのレベルまでは脳のはたらきを高めておこうと指導したはずなのに、驚くほど成果が上がっていなかったことと、世界内における私たちの生活レベルの低下は、これからの日本を考える上で重要なファクターではないでしょうか。

 橋下徹・大阪市長の政治姿勢については触れませんが、彼の端的な指摘には鋭いものがあります。
「競争を忌避し、付加価値を創出するための努力をしないなら、今の生活のレベルはどんどん落ちます。
 このまま落ちて、東南アジアレベルの生活になった方がいいんですか?
 所得の再配分で敗者を救い、子供たちに最高の教育を無料で受けさせることによって格差を世代間で固定させない。
 これで、競争と社会正義は両立するのではありませんか」

 確かに、子供たちの長所を伸ばしてやれば何とかなるのでしょう。
 数学ができなくても画がうまければ、あるいは跳び箱が得意ならば、そこを誉められることによって子供はあまり曲がらずに大人になれるかも知れません。
 しかし社会人になれば、相手の言葉と心を理解したり、自分の考えを正確に伝える言葉や態度を身につけておいたりする必要があります。
 そこができていないならば、どうやって自他を活き活きと生きさせるコミュニケーションを行えるのでしょうか。
 また、社会人になれば、自分を客観視したり、自他を平等に観たり、集団や地域あるいは国全体を眺める視点を持ったりする必要があります。
 そこができていないならば、どうやって国政選挙の投票権を行使するのでしょうか。
 やはり、〈読み書きそろばん〉は脳が発達するしかるべき時期にきちんとやっておきたいものです。
 言葉を理解し表現力を身につけ、他人とのやりとりの中で自他ともに納得できる地点をめざす論理的思考をある程度、行えてこそ社会人としてのふるまいができるのではないでしょうか。
 
 今回の「日本数学界」の調査結果が示すところには、大なるものがあると思えてなりません。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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