コラム

 公開日: 2012-02-27  最終更新日: 2014-06-04

お葬式は不要か ─歯をくいしばり「おかげさまにて~」と腹から声を絞り出す喪主さんたちのために─

土砂加持法を行います
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html




 お葬式関係の修法がすべて終わると、喪主さんが挨拶します。
「おかげさまにて、~を滞りなく送り出すことができました。
 きっと安心の世界へ旅立ったものと信じております」
 こうした一連の儀式を〈形式的〉であると批判する方々もおられます。
 批判の論理に耳をかたむけつつ、「では、み仏の前にぬかづく伝統的な儀式に代わり得るだけの重みを持つ何があるのか?」とも問います。

 大恩ある母親を亡くされた方も、最愛の夫を亡くされた方も、あるいは我が子を失い身代わりになってやれなかった事を悔いる方も、歯を食いしばって数日の儀式をやり終えます。
 順番と覚悟していながら、いざとなると惜別の思いに項垂れてしまう息子。
 この世の支えを失い、自分も一緒に行きたかったとご遺体にとりすがる妻。
 突然、娘を失い、蒼白の顔面で唇をわななかせながら喪主の挨拶をする若い父親。
 み仏と、皆さんと、自分と、三者が一体になる修法を行う身としては、こうした方々は皆、自分自身です。
「よく勤めたね」と若い父親の小刻みに震える肩を叩きつつ抱きしめたくなる時、父親と私に何の区別がありましょうか。

 悄然として帰山する車の中で考えます。
「こうした儀式がなかったならば、身の置きどころがないあの若夫婦は、いったい、いつまで、涙の乾く日を待つことになったことだろう。
『私たちは、手を取り合って何とか生きて行きます。
 これからも未熟な私たちをご指導ください』
 あの、社会性を持った決意の言葉を口にする瞬間がなかったならば、夫婦は底がない悲嘆の海に手を取り合って沈んでしまうしかなかったかも知れない……。
 これからくり返し、とてつもない寂寥感に襲われるだろうが、皆の前で別れの儀式を終えたという体験は、心に区切りがつくために小さくない力となることだろう。
 母を亡くした私もそうだった……。
 きっと彼も……」

 最近は少人数のお葬式が増えました。
 賑々しくなくひっそりと、でも確かに、送りたいのです。
 お葬式は要らないと公言する人々はむしろ、送ってくれるはずの仲間がたくさんいたりします。
 見知らぬご夫婦が必死の表情で訪ねてきます。
「何も要らないよと言っていた父親がもう危ないのですが、引導を渡してもらわなければ息子としての役割を果たせません。
 向こうへきちんと送らないでは気がすまないのです」
 実に、自分が死んだ後の始末は自分ではできず、その瞬間と後の処置にこそ〈逝く自分の人生〉が反映されるものです。

 お釈迦様が説法を始められた時は、社会の〈異端者〉でした。
 聖徳太子が仏法を選んだ時は、政界まで巻き込み、国中が仏教か神道かで争っていました。
 お大師様がインドで最後の仏教となった密教を日本へ持ち込んだ時は、九州で足止めされました。
 今の仏教界はいろいろ言われていますが、まがりなりにも仏教国であるはずの日本で正統な伝授を受け、お勤めができる自分はとてつもなく恵まれていると感じています。
 生き方に迷う方々と共に考え、祈って「この世の幸せ」を求め、「あの世の安心」を願う方々に確かな修法で心の区切りをつけるお手伝いをし、生きとし生けるものとあの世の御霊の安心のために、今日も法務に励みます。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。

 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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