コラム

 公開日: 2012-03-03  最終更新日: 2014-06-04

光トポグラフィー検査でうつ病は治るか?

野良猫のエサを狙って周囲に注意をこらす小さないのち
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html




 NHK総合テレビの「NHKスペシャル」は2月12日、「ここまで来た!うつ病治療」を放映しました。
 そこで最新技術の一つとして紹介されたのが、脳の血流を測定する光トポグラフィー(NIRS)による検査です。
 うつ病には多様なタイプがあり、当然、タイプ別に適切な治療が求められますが、これまで、タイプを見分けるための物理的方法はなく、医師は問診に頼ってきました。
 ところが光トポグラフィーによれば正確に判断できるというのです。

 そこで、光トポグラフィーで大きな成果をあげているという福島県立医科大学附属病院をお訪ねしました。
 担当してくださった医師からお聞きした大切なポイントを述べておきます。

1 光トポグラフィーはMRIなどと同じく検査法の一つであり、そのデータを分析して診断と治療に用いるのはあくまでも主治医の役割であること。

 テレビではもちろん、光トポグラフィーがうつ病の識別に神のごとき役割を果たすとは言っていませんが、視聴者の多くが「この方法によって、うつ病の実態は正しくわかる」と飛躍した期待を持ったことは予想されます。
 つまり、検査してもらえれば、そのまま診断がくだされると考えたのです。
 しかし、そうではありません。
 検査はあくまでも検査であり、診断するのは、患者さんへ対して第一義的に責任を持つ主治医の役割です。
 検査を受ければ。そこですぐに結果がわかると期待してはなりません。
 まして、初めて病院にかかるか、あるいは病院を変えたい場合以外は、検査を受けた病院で結果に応じた治療法まで示されることはありません。
 だから、どこかで治療を受けている患者さんが検査を受けるには、主治医の紹介状を持参することが条件になっています。

2 現在の光トポグラフィー技術は、うつ的症状全般に対して病名の判断ができるところまでは行っておらず、3つのタイプを分けるのに役立つのみであること。

 うつ的症状をもたらす原因は数多くあり、症状を示す病気も多様です。
 光トポグラフィーは、そのうち、「うつ病」と「躁うつ病」と「統合失調症」を見分けるのに役立ちます。
 それを、同病院ではこう示しています。

「本検査は『国際疾病分類第10版 (ICD-10)においてF2(統合失調症・統合失調症型障害および妄想性障害)に分類される疾病 及び F3(気分(感情)障害)に分類される疾病のいずれかの疾病の患者であることが強く疑われるうつ症状の者(器質的疾患に起因するうつ症状の者を除く)に係るものに限る。』として、先進医療に認可されています。
(注)対象となる疾病でない場合は光トポグラフィ検査を受けられませんので、ご注意ください。対象疾病であるかどうかは、主治医にご確認ください。」

 だから、前項に書いたとおり、主治医の紹介状が必要になるのです。
 どうして素人が「対象疾病であるかどうか」を判断できましょうか。

3 結論。

 こうして現場を確認すると、番組を観て「もしかすると光トポグラフィーをやれば病気の真実がわかり、劇的に治るかも知れない」と考えている方は大きな幻想を持っていると言わざるを得ません。
 まず、これが検査法でしかないことをはっきりと認識し、検査を受けてみる必要があるかどうかを主治医へ相談しましょう。
 気分の落ち込んでいる状態が、うつ病・躁うつ病・統合失調症のいずれかである、もしくはいずれでもないことがはっきりしていれば、受けてみてもあまり意味はありません。
 番組の放映以降、同病院へは光トポグラフィーに関する質問が殺到し、検査の予約は11月まで埋まっているという状況です。
 もしも患者さんが「自分はうつ病であると診断されているが、統合失調症かも知れない」などと思ったならば、主治医へ率直に尋ねてみましょう。

 対応してくださったA医師は言われました。

「今は時代が変わりました。何でも主治医へ話すことです。質問されて嫌がる医師などいません」

 また、こうも言われました。

「私は非力です。
(自分も光トポグラフィーも)これからです」
「(病気を治すのに)大切なのは患者さんと医師との信頼関係です。
 それを壊さぬよう、(技術を用いるには)細心の注意が必要です」
 
 A医師の揺るがぬ表情と、本診の前にいろいろ聞いてくださった医学生Bさんの穏やかな顔を思い浮かべながら帰山する車中で、ふと、遠い記憶がよみがえりました。
 ある時、Cさんが体調を崩して検査を受けたら写真に大きな腫瘍があると指摘され、遺書まで考えました。
 ところが写真を見た別の医師が疑義を持ち、よく調べてみたところ病気ではなかったのです。
 もちろん、Cさんは今も元気です。
 検査する器械、判断する人間、医師への信頼、テレビ番組のありよう……、考えさせられるところの多い出張でした。





 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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