コラム

 公開日: 2012-03-04  最終更新日: 2014-06-04

恐怖・不安・安心

生花の水がおいしいことを知ってしまった彼
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。
 また、当山へかずかずの温かいご支援をくださった方々へ、深く深くお礼申し上げます。
 来る3月11日には「般若心経百万巻」の供養をしましょう。(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3107.html



 いかなる職業に就いていても、いかなる境遇で生きていても、「この世をどう生きるか」という一点で〈生の芯〉になるものが宗教です。
 人間として絶対の〈安心(アンジン)〉を持つことが経典を読誦し、写経を行い、修行する大きな目的です。
 自己中心を離れ菩薩(ボサツ)道を歩む人として欠かせないのは、他への慈悲心であり、自己の安心です。
 安心があってこそ、ライフセーバーの揺るがぬストロークに似た行動が可能になります。

 安心とは、泥棒が逃げおおせてほっとしたり、受験勉強から解放されてほっとしたり、死ぬまで使い切れないほどのお金を得てほっとしたりすることではありません。
 不安も恐怖もなく、満足感と到達感を伴った深い安心(アンシン)です。
 これさえあれば、「どう生きるか?」「なぜ生きるか?」といった疑問がなくなります。
 泥棒は、悪しきことを行ったという自分自身の後ろめたさから逃げることはできません。
 受験勉強が終わっても、もっと過酷な競争社会が待っています。
 どんなにお金があっても、使えば減るし、お金で買えないものがあり、お金があるばかりに余計な心配もせねばなりません。
 しかし、〈安心〉には良心の呵責するところはないし、襲ってくる苦はないし、破壊される心配もありません。

 迷いは、恐怖や不安となって現われます。
 特定の対象があれば恐怖になり、特定の対象がなければ不安になります。
 意識が対象に集中すれば恐怖になるし、漠然としていれば不安になります。
 対象から逃れたくなったり、対象を攻撃しないでいられなくなれば恐怖であり、無力感に苛まれれば不安になります。
 相手を合理的にとらえれば恐怖になるし、不合理と感じ理解できなければ不安になります。
 ある時が過ぎればいったん恐怖は去りますが、不安はいつまで続くかわかりません。

 このような恐怖や不安にとりつかれると、いのちの勢いがなくなり、煩悩すら薄れます。
 強く欲求せず、腹の底から怒らず、独自の考えが持てず、逃避や忍従が習い性になってしまいます。
 また、迷いは、未知なるものや、仮想世界などたやすく現実から逃れさせてくれるものへ魅力を感じさせることもあります。
 満足はなく小さな世界に閉じこもって何となく現状維持で時を過ごしますが、内面には「いらいら」「空しさ」「頼りなさ」「やりきれなさ」などがヘドロのように静かに積もります。
 そして、外見は「まじめそう」「おとなしそう」でありながら、予期せぬ危機に遭遇すると、とっさに爆発的な行動に走る場合があります。
 それは、ブレーキを持たない車が突然、アクセルを踏まれたようなものです。
 これまでは、アクセルを踏む力が出なかったので、目立たぬ存在だったのに、力がこめられたばかりに狂気を発し凶器となってしまうのです。
 世間は、何と〈普通の人〉の暴発的まちがいにあふれていることでしょうか。
 何と、「えっ、あの人が」という驚きに満ちていることでしょうか。

 歴史の波に鍛えられ、幾多の行者たちによって磨かれた宗教には〈安心〉を持つ方法が人類の叡智として伝えられています。
 祖先が残してくださった宝ものを大切にしようではありませんか。

(この文章は平成17年に書きました。もうネットで読んでいただけない古い綴りの中から行者高橋里佳さんがピックアップしたものを加筆修正の上、再掲しています)



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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