コラム

 公開日: 2012-03-21  最終更新日: 2014-06-04

よく理解できない般若心経を唱えると悪いことが起きるか?

絵文字の般若心経
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 ご主人を亡くし、送って以後、当山で発行している経典を毎日欠かさず唱えていた筈のAさんが、久方ぶりにご来山されました。
 せっかく彼岸法会のお勤めへ参加されたのに、心なしか浮かぬ顔をしておられます。
「ご住職さんにお訊ねしたいことがあるんですが、いいですか?」
 おずおずと話し出した内容には驚きました。
 Aさんが信頼しているB氏の著書に、よく意味もわからないで般若心経を唱えていると良くないことが起きると書かれていたので、毎日のお勤めから般若心経のところだけ抜くようにしているが、違和感が否めなくて困っていたと言われます。

 お大師様がこう教えてくださっていることをお伝えしました。

「般若心経を唱えたり、所持したり、講義したり、み仏や御霊へお供えしたりすれば、苦は抜かれ楽が与えられる」

 また、国難に際しては、お寺だけでなく、神社や普通の家々でもこの経典が読誦された歴史が続いてきたことをお伝えしました。
 また、江戸時代などには、絵文字の般若心経が広く用いられていたこともお伝えしました。
 江戸は当時、世界一の識字率を誇っていましたが、それでもなお文字の読めないご先祖様方がおられ、そうした方々も共にこの経典を読んで人の道を踏み外さないよう、悪事・凶事から救われるよう祈ったのです。
 また、出家得度すると、まず、至心に読経することから修行が始まることもお伝えしました。
 自己中心的な〈はからい〉を離れ、み仏へ帰依(キエ)し、お任せする身としてせねばならぬことの第一は、経典を研究することではありません。
 他心なく、み仏のおわす前で全身全霊を挙げて読誦してこそ、道が開けるのです。
 また、般若心経を読み解いたもので最高レベルとされている書物の中で、お大師様はこう示されたこともお伝えしました。

「般若心経にある文字の一つ一つにはとても言葉では解き明かせないほど深い真理が含まれている。
 表現や意味について極め尽くすことは、いかにたくさんのみ仏方がおやりになっても不可能である」

 つまり、この経典は、み仏の世界を表すみ仏の言葉で書かれているので、最も大切なのは、私たちが確実にできる方法として至心に唱え、写経することなのです。

「これで安心しました。
 住職さんのCDを聴きながら、また、経典全部を読んでお勤めします」
 以前は読誦して救われていたAさんに嬉しそうな笑顔が戻り、自分が救われた思いになりました。
 それにしても、玉石混交となってうねる情報の海で溺れかけている方々がいかに多いことか……。
 タブーをつくって怖れさせ、ひれ伏させようとする人々のいかに跋扈(バッコ…はびこること)していることか……。
 南無大日大聖不動明王、その智慧の火で蘊魔(ウンマ…あり過ぎて生じる魔もの)を祓いたまえ。

 なお、「声を出さず、心で唱えても功徳はあるか?」というお問い合わせも時たま、あります。

 お大師様は、音声は文字であり、文字には真実があると説かれました。
 事実、私たちはウグイスの声を「ホーホケキョ」と聞き、たった一声に鳥がいることを知るだけでなく、春を実感し、自然の広がりも意識に上ったりします。
 そうした心が深まれば、耳にするものすべてに、み仏の言葉となった文字、すなわち教えを聴き、み仏の世界に抱かれていることがわかります。
 この体感こそが、修行の根幹です。

 また、文字としての言葉が心に映し取られる時、そこには無音の音声が流れています。
 見ることによって得られる情報も、聞くことによって得られる情報も、心では文字となり無音の音声となって、意味を持ちます。
 だから、声を出して読むことには、文字を見る効果と自分の声を聞く効果との二つがあり、声を出さなければ耳から聞く効果はなくなりますが、しっかり文字を読めば心に刻まれる文字が言葉となってはたらくことに問題はありません。
 また、真言などは、ひとまとまりの音声としての言葉そのものに、み仏の世界の扉を開ける力が具わっているので、心中に文字を描いたり、あるいは百返千返と心中で唱えたりしつつ修法します。
 皆さんの目の前で導師が無言のまま座っているからといって、何もしていないのではありません。

 問いへの答はもちろん「あります」です。
 事実、声を出せなくなった方が、読誦する方々と一緒になって熱心に法会などに参加しておられるお姿を目にすると、「ああ、仏様」と手を合わせる気持になります。
 声を出せる時は出し、出せない時は出さず、ぜひ経典を手にし、目にしてください。
 きっと、み仏の言葉が文字となって心に流れ、み仏の世界への扉が開くことでしょう。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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