コラム

 公開日: 2012-03-24  最終更新日: 2014-06-04

「南無大師遍照金剛」とは何か? ─阿部翔人君と心にある宝もの─


http://image.rakuten.co.jp/fudasho0ban/cabinet/0101/1024wh1.jpgをお借りして加工しました〉

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 お遍路さんが必ず唱える「南無大師遍照金剛(ナムダイシヘンジョウコンゴウ)」とは何でしょうか?
 南無は「帰依(キエ)する」という意味です。
 帰依とは、信じた相手の前で心を裸にし、自分が無なる状態です。
 では、お大師様に帰依した結果は……。
 お大師様と一体になります。

 私たちの本体がみ仏であり、それに気づき、本来のみ仏になりきることが仏教の到達点であると明らかにしたお大師様は、天皇の前でも、そうなり切った姿を顕しました。
 即身成仏(ソクシンジョウブツ)を周囲の人々へ確信させたのです。
 いわば〈生き仏〉となった人を、仏教では応身仏(オウジンブツ)といいます。
 人間修行に応じて、み仏になった〈この世のみ仏〉です。
 こうした生き仏様に帰依すると、〈この世の〉という次元の先にある世界が感じ取れます。
 いわば「まごころ」そのものが広大な世界となって広がっているのです。

 たとえば、宮城県石巻工業高等学校野球部主将阿部翔人君が行った甲子園での選手宣誓と、試合での部員一丸となった活躍を考えてみましょう。

「東日本大震災から1年、日本は、復興の真っ最中です。
 被災をされた方々の中には、苦しくて心の整理がつかず、今も当時のことやなくなられた方を忘れられず、悲しみにくれている方が沢山居ます。
 人は誰でも答えのない哀しみを受け入れることは苦しくて、辛いことです。
 しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に、必ず大きなしあわせが待っていると、信じています。
 だからこそ、日本中に届けます。
 感動、勇気、そして笑顔を。
 見せましょう。
 日本の底力、絆を。
 我々高校球児ができること。
 それは全力で闘い抜き、最後まで諦めないことです。
 今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」

 彼らは津波によって個人的な悲劇に遭っただけでなく、野球チームとしても深刻な被害を受けました。
 しかし、グラウンドを埋め尽くした津波の泥を黙々と排除するところから始め、やがて宮城県内の大会で並み居る強豪を破るほどの力をつけ、今回の出場となりました。
 選手宣誓も見事、試合ぶりも見事でした。
 彼らは選手として輝いている時、生き仏だったのではないでしょうか。
 夢中で拍手し、涙し、歓喜した人々は、少年の姿を通じて〈それ以上〉の真実と出会っていたのではないでしょうか。
 涙する地元の方々の姿をテレビで観る私たちもまた涙する時、選手も地元の方々も私たちも、広大な「まごころ」で通じ合っていたのではないでしょうか。
 そして、まごころ体験は、霊性のはたらきを高め、いのちを活性化します。

 こうして、特定の宗教の特定の修行を手段とするのみでなく、私たちはいつでも、自分の身体と言葉と心がまごころそのものではたらく時、誰かのまごころに素直に感応した時、人間本来のみ仏になっています。
 お大師様は説かれました。

「ああ、自宝(ジホウ)を知らず、狂迷(キョウメイ)を覚(カク)といえり、愚にあらずして何ぞ」
(ああ、迷い惑う人々は、自分自身にあるみ仏からいただいた宝ものを知らない。
 そして狂い、迷っているにもかかわらず、自分は目覚めていると錯覚している。
 これを愚かと言わずして何と言えようか)

 私たちは、自分自身の心の奥へ入り、財宝のある扉を開ける方法が伝えられているにもかかわらず、宝ものを外へ求めてウロウロします。
 そして名誉欲などの欲たちを満足させてくれる対象を見つけて人生の真実をつかんだような気になったりもします。
 しかし、そうしたものたちは、無常の風が一陣吹けばたちまち粉々になり、何かをつかんだはずの手は空っぽに帰します。
 一方、心におわすみ仏と会い、即身成仏(ソクシンジョウブツ)を体験したならば、無常の鬼にも魂が揺るがされはしません。
 確かな宝ものは外にではなく、自心にこそあると気づきたいものです。

 お遍路さんは「南無大師遍照金剛」と唱えて四国を歩き、石巻工業高等学校野球部の少年たちは志をもって野球にうち込み、み仏へ近づきます。
 お大師様が、「この身このままでみ仏であることに気づく道は万人へ解放されている」と説かれたことをよく考えたいものです。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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