コラム

 公開日: 2012-04-02  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その41)─郷に入らば郷に随え─

新たな配置での護摩法
 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 江戸時代まで広く寺子屋で用いられていた教材『実語教・童子教』を見直しましょう。
 日常生活でも用いる警句などがふんだんに含まれています。

「境(キョウ)に入(イ)つては禁(イマシメ)を問い  
 国に入(イ)つては国を問え
 郷(ゴウ)に入(イ)つては郷(ゴウ)に随い
 俗に入(イ)つては俗に随え」

(国境を越える時はその国の決まりごとを問い、他国へ入ったなら国柄を問いなさい。
 他の地域へ行ったなら地域のやり方に従い、そこの人々と交わる際はそこの風俗や慣習に従いなさい)

「お国ぶり」という言葉があります。
 その国や地方などの独特なありようを指し、どこかそれを重んずる響きを伴っています。
 なぜ重んずるか?
 それは、そこに住む人びとによって時間をかけつつ磨かれ、育てられ、守られてきた豊かな心の表現だからです。
 生まれも考えも異なる人々が同じ風土の中で生き死にしつつ、いつしか形成された形、そこに込められた無垢な願いや思いやまことは、人々が生きることそのものにつながっています。

 さて、自分をふり返ってみれば、生まれ育った環境がいかに自分を自分たらしめている要素へ深く関わっているか、気づくはずです。
 それは言葉だけではありません。
 私たちは初めて会った人へ「どちらのお生まれですか?」と尋ねます。
 そして、「私も同じです」などとなれば、たったそれだけで二人の距離はずいぶん縮まったと思ったりもします。
 同じなのが出身校などだったりすれば、もう、二人は先輩と後輩の間柄であり、他人ではない気分になったりもします。
 こうして、互いに生まれ育った環境へ敬意を払い尊重するのは、〈そうしてしか〉今の相手も自分もここにはいられなかったからです。
 お互いの心をわかり合うことは簡単ではありませんが、お互いにお互いを〈染めているもの〉を認め合うのは、縁の糸への誠意ある姿勢というものです。

 私たちがどこかの地へ足を踏み入れるとは、そこで生活する人々の魂を染めている精神風土に触れることを意味します。
 自分にとっての好き嫌いを離れてまず、それを尊重しなければ、自分を尊重しないでくださいと言うに等しく、当然、人々から尊重されはしません。
 盲目に迎合すればよい、あるいは合わせているふりをすればよいのではなく、心から尊重せねばなりません。
 もちろん、明らかにものの道理から逸脱した部分や、あまりに自分の人生観とぶつかるやり方もありましょう。
 そこをどうするかは、第二段の話です。
 この教えには、互いのルーツを心から認め合うという、社会的差別を離れるための重要な要素が含まれています。
 親も子も、よく考えたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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