コラム

 公開日: 2012-04-09  最終更新日: 2014-06-04

よく生きるには ─因果応報とトルストイの水車─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。


1 善行がなかなか報いられず、苦しい運命を生きている方

 それは、過去世の悪行の結果と考えられます。
 ここで愚癡を言い、不平不満をすべて世の中や誰かのせいにしてしまうのはいかがなものでしょうか。
 自分に起こっている過酷な運命の余波を周囲へも及ぼし、苦の種を飛散させ、ますます道を切り拓くのが難しくなったりしかねません。
 苦しくとも悪行へ走らず、周囲のため、子孫のため、自分の後世のために精進しているのであると心を定め、じっと善行を続けましょう。
 もちろん、悪行は個人的なものもあり、社会的なものもあります。
 だから、善行は個人的に、あるいは社会的に考え、実践したいものです。

2 悪行に潰されず、楽な運命を生きている方

 それは、前世の善行の結果と考えられます。
 ここでますます良い気になり、実力や運気の強さを過信したりするのはいかがなものでしょうか。
 過去世の善行は決して〈打ち出の小槌〉ではなく、いつ、運気が反転し、悪行が表面化して罪相応の罰がくだるかわかりません。
 自分が行った悪行への知らぬふりをやめ、早く、これまでの悪しき因縁を清める生き方へと転換しましょう。
 もちろん、悪しき因縁は個人的に生じるものもあり、社会的な面を持つものもあります。
 だから、悪しき因縁は個人的に、あるいは社会的に清めて行きたいものです。


3 善行も悪行も、業(ゴウ)となって溜め込まれる心の器

 善きにつけ、悪しきにつけ、身口意(シンクイ…身体・口・意識)をはたらかせて過ごした時間は巻き戻せません。
 身体で善きことを行えば善き業が心の器へ積まれ、口で悪しき言葉を吐けば悪しき業が心の器へ積まれます。
 やがて時間の経過と共に器から業があふれ出し、善き業は善き因となって善き果をもたらし、悪しき業は悪しき因となって悪しき結果をもたらします。

 私たち凡夫は誰しも、意図するとしないとにかかわらず悪しき業を積んでいます。
 それが自他へ悪しき果をもたらさないようにするためには、心を温かくし、智慧をもって徳を積みながら生きることで悪業のはたらきを抑えるのです。
 身口意で偽りのない生き方をし、徳の力で悪業のはたらきを消滅させるのです。
 そうしていれば、もしも過去の悪業の果がたった今、現れたとしても懺悔をもって受けとめられ、運命転化がしやすくなります。

4 トルストイと水車屋

 トルストイは、『人生論』の冒頭で有名なたとえ話をしています。
 昔、水車屋が粉をひいていた時代がありました。
 代々成功していた水車屋は、伝統的に水車と粉ひき機の扱い方を知っていたので一族が生きてこられました。
 ところがある時、後を嗣いだ男が機械そのものに興味を持ち、構造の研究を始めました。
 そのうちに、そのうちに関心は水門や堤へと拡大し、ついに川そのものの研究に没頭するようになり、とうとう巧みな扱い方は忘れ去られました。
 周囲の人々は注意しましたが、水車屋は自分の考え方が正しいと譲りませんでした。
 そこでトルストイは言います。
「有意義な活動と無意味な活動を区別することは、重要さの程度に従って配列された論証によるほかない」
「粉屋の目的は良い粉を作るのにある。
 この目的からして、他の車輪、堤、川についての彼の推理の最も明確な配置や順序を決定すべきであろう」
「人生は人が研究しようとする水車に等しい。
 人生はこれを善くせんがためにのみ必要である。
 で、人はただ、人生を善くせんがためにのみ、これを研究する」

5 よく生きる

 私たちは自然に「よく生きたい」と思います。
 その「よく」の内容は人それぞれです。
「佳」であれば味わいのある人生であり、「良」であれ恵まれた人生であり、「善」であれば正しい人生でしょうか。
 また、「義」であればまっとうな人生であり、「吉」であれば幸せな人生であり、「好」であれば自由な人生でしょうか。
 中には「酔」のイメージを持っている方もおられることでしょう。
 いずれにしても、私たちは自分なりの〈水車〉をきちんとしておかねばなりません。
 さもないと、イメージの方向へは逝けません。
 ここに書いた1と2と3は、どこへ向かう場合にも通じる、み仏の示された思考法です。
 一孝し、よく生きるために役立てていただきたいと願っています。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ