コラム

 公開日: 2012-04-12  最終更新日: 2014-06-04

五眼とは何か? ─観るべきものを観る五つの眼─ 

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 仏法は五眼(ゴゲン)を説いています。

1 肉眼(ニクゲン)…人間の眼
2 天眼(テンゲン)…天人の眼
3 慧眼(エゲン)……ラカンの眼
4 法眼(ホウゲン)…菩薩(ボサツ)の眼
5 仏眼(ブツゲン)…仏の眼

 こうしてみると「2」から「5」までは私たちとは無縁な世界のようですが、果たしてそうでしょうか?
 み仏は「5」を具えておられるからこそ、私たちを救うことができるとされています。
 ならば、自他共に愚かさと苦から脱したいと願う私たちも、そこをめざしたいものです。
 聖なる世界のイメージを持てば、幾ばくかは見透せることもあるのではないでしょうか?

1 肉眼

 人間の眼はモノを写します。
 しかし、カメラと同じではありません。
 180度の視野を持ってはいても実際に見えている範囲はとても狭く、しかも、関心の度合いによって見られるものが最初からより分けられています。
 街角の光景は、ファッション好きな人にとっては格好の発見の場になることでしょうが、車好きな人にとっては新車を初めて見る場になり、それぞれ、車と衣装はほとんど見えていないものです。

2 天眼

 天界の神々は三世(サンゼ)十方(ジッポウ)を観るとされています。
 三世は過去・現在・未来であり、十方は、四方八方と上下すべての方位です。
 時間と空間のすべてを観るとはいかなる意味でしょうか?
 たとえば、一つの掛け軸を眺めた場合、鑑定眼を持たない人は「きれいだな」「ずいぶん古いな」「しっかり作ってあるな」などと思います。
 しかし、テレビの人気番組『なんでも鑑定団』の常連である中島誠之助氏などは、いつ、どこで作られたものか、たちどころに指摘します。
 私たちも、モノをよく観、人と会ってはその人の歩んできた人生を想い、光景や記事などを眺めては過去と未来、そして世界を考えたいものです。

3 慧眼

 この眼を持つラカンさんとは、空(クウ)の真理から世界を眺められるようになった方々です。
 仏法で説く智慧はまず、因果応報として理解され、すべてを無常の宿命にあるものと観るところから深まります。
 ありとあらゆるものは因と縁によって今、存在しているだけであり、自力で存在し続けるものは何一つありません。
 私たちもまた、こうした心の眼力を持てば、つまらぬことでくよくよしたり、角を突き合わせたり、あるいは憎悪や怨みや執着心をつのらせて心を曇らせたりせずに暮らせるのではないでしょうか。

4 法眼

 ものごとをありのままに観るのが、衆生済度(シュジョウサイド…ありとあらゆるものを救う)を存在意義とする菩薩(ボサツ)の眼です。
 その象徴が千手観音様です。
 千は無限を意味しており、千手観音様はすべてを見落とさず、ありとあらゆる生きとし生けるものを見捨てずに救いの手を差し伸べてくださいます。
 私たちは「1」の状態が現実であり、時には「見て見ぬ振り」もします。
 電車の座席に腰掛けている若者が、目の前にご老人が立ったとしても寝たふりをする光景は珍しくありません。
 ちなみに、私はもう立派な〈老人〉でも、よほど空いていない限り、なるべくドアの近くで立つようにしています。
 私よりも優先して座るべき人が必ずどこかに立っておられるからです。
 ある選挙の個人演説会場へ行ったおり、座りきれずに立つ人も現れたので、私は壁際に立って席を譲りました。
 それを見た候補者A氏はご自身も立たれ、同じく前方で腰掛けていた幹部の方々も立ち始め、やがてイスが追加して運び込まれたために、事態はおさまりました。
 A氏の頭は充分に白く、疲労も半端ではなかったはずです。
 A氏の選挙結果はすばらしいものでした。
 混雑している会場で関係者に混じって立つ人を見つけ、我が身を可愛がらずただちにご自身も立たれた光景を心に刻みました。

5 仏眼

 み仏方は、すべてのレベルの眼を具えているとされています。
 そして、限りないお慈悲からご加護をお与えくださいます。
 み仏のお心には、優しさも、厳しさも、正しさも、優雅さも、尊さも円かに具わっています。
 私たちも心の冷たさや、弛(タル)みや、歪みや、偏(カタヨ)りや、刺(トゲ)などを離れれば、いくばくかはこうした尊い眼に近い力で見透せるかも知れません。
 学び、イメージし、観るべきものをきんと観られる心をつくりたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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