コラム

 公開日: 2012-04-21  最終更新日: 2014-06-04

欲をなくすイメージは不要 ─欲に悩むまじめな方々へ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 まじめな方からの欲に関するご相談は絶えません。
 欲について復習しておきましょう。
 仏法は人にそなわっている欲として「五欲(ゴヨク)」を説きます。
 そして、人の道を踏み外すのは欲の暴走によるから、智慧をもって制御せよと説きます。
 注意せねばならないのは、「欲を消滅させよ」ではないことです。
 ここを勘違いすると、若者や壮年にとって仏法は無縁なものとなりかねず、無用な世捨て人を生みかねません。
 五欲を考えてみましょう。

○睡眠欲
 眠るとは、活力を保つための休息です。
 眠くなることを軽視すれば寝不足になり、生活する力が出ません。
 きちんと、その人なりの睡眠を確保できてはじめて、日々が活き活きと送られます。

○食欲
 食べるとは、他の生きもののいのちをもらって自分のいのちを輝かせることであり、生きるいのちのエネルギーは生きものからもらわねばなりません。
 いのちを捧げてくれる生きものたちに感謝しつつエネルギーをバランスよく充分に補給し、励まねば生まれてきた甲斐がありません。
 また、食べものの好き嫌いは性格にも影響するので、子供を円満な性格に育てるためには、好き嫌いを放置してはなりません。

○色欲
 性的なものはいのちのバトンタッチに欠かせません。
 夫婦和合・子孫繁栄は人として自然に求める満足と安心と喜びの元です。
 また、性は文化を彩る重要なファクターでもあります。

○財欲
 財物は志の具現化に大きな力を発揮します。
 古人は「智慧相応にものは集まる」と説きました。
 また、智慧なくしてモノは守れず、志もまた一片の〈思い〉でしかなくなります。

○名誉欲
 名誉とは社会的評価がもたらすラベルであり、人を客観的に評価する際、一定の役割を果たします。 
 志を果たすために不可欠な信用に大きくかかわりもします。
 名誉を軽んずる人々の中には、信用の重さを考えずたやすく悪行をなすタイプの人もいます。

 五欲のどれをとっても、充実感の伴う人生を活き活きと生きようとするならば、欠かせないものばかりです。
 私たちが欲で迷うのは、欲を満足させる過程に智慧が伴わないことに起因しているのであり、欲そのものが悪ではありません。
 一定期間、色欲を離れて修行する、得た財を困窮者へ惜しげもなく布施する、誇りは一心にあればよいとして叙勲を拒否する、などの行為をも含め、〈智慧ある制御〉によって欲はは生かされます。
 年をとるとは、いのちから活性が奪われることであり、社会的役割から解放され死の準備を行うことでもあります。
 だから、当然、欲全体が薄れます。
 それは必ずしも悟りへ近づいたことを意味しません。
 善を行うパワーと同時に悪を行うパワーもなくなっただけであり、人生の仕上げをめざす智慧をもって生きているかどうかはその人次第です。

 仏法は、菩薩(ボサツ)を人の理想像であると説き、菩薩として生きるための具体的な方法も説いています。
 菩薩とは、自分のいのちの火を自己中心でなく燃やす存在です。
 松明から松明へ火を移しても火は決して減らないように、菩薩の清浄な意欲は決して減衰しません。
 地蔵菩薩ならぬ私たち人間は、老いればいのちの勢いが落ち、やがては死を迎えますが、その過程相応の意欲を保ち続けることは可能です。
 そして清浄な意欲は、輪廻転生の先に生まれる新たないのちへと引き継がれ、前世の最後に弱ったかと見えた火は再び強く燃え上がります。

 み仏の教えに学び、菩薩となる方法を実践し、慈悲ある智慧によって欲を清浄な大欲(タイヨク)として生かしながら菩薩道を歩もうではありませんか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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