コラム

 公開日: 2012-04-28  最終更新日: 2014-06-04

私たちが心から求めるものとは?(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 私たちは、「困った時の神頼み」をします。
 困った時とは、何かが無くなったり、無くなりそうになったりして追いつめられた時です。
 お金がなかったり、恋人を失ったり、いのちがなくなりそうになったり……。
 では、困っていない時とはどういう時でしょうか?

 お大師様の徳を讃える『弘法大師和讃』は、常々の祈りがもたらすご利益、つまり、私たちが困らない人生の姿を説いています。
 常々、信じて祈るのは「転ばぬ先の杖を持つ」こと、とも言えそうです。

 では、お大師様への祈りがもたらす「8つの救済」とは?

1 食べものをもたらす実り

 私たちは、食べものはいつでも買えると思っていますが、米でも、野菜でも、魚でも、肉でも、すべていのちあるものは、誰かが環境を守り、それらを育て、集め、流通過程に乗せてくれるからこそ、食卓に並べられます。
 農耕文化をベースとする私たちは、自然が守られ、食べ物が得られるよう、常に五穀豊穣(ゴコクホウジョウ)を祈ってきました。
 托鉢で歩いていた日々、冷夏の里へ行けば、お百姓さんが空を眺めている背中を見ては心で祈り、荒れ模様の日が続く海辺の集落へ行けば、海を眺めている漁師さんの背中を見ては心で祈ったものです。
 食べ物がない所には必ず争いが起き、戦争にもなります。
 平和の基はここにあると言って過言ではありません。

2 恵まれた経済生活

 世界からが戦争がなくならない大きな要因は貧困にあります。
 困窮の日々は、持てる者への不満や憎悪をもたらし、破壊を伴う挑戦に走らせる可能性を高めます。
 3月に東大を退職した山内昌之教授は、最後の公開講演会「中東大変動の構造と力学-世界史から見た『アラブの春』」において、アラブの春と言われている動乱の原因は急増した若年層の失業や貧困にあると指摘しました。
 私たちが観念的に考える「抑圧された市民による人間性回復のための反乱」などではなく、人口構成から発生する貧困であるとの講義内容は広く流布しました。
 私同様、眼を醒まさせられた方も多かったのではないでしょうか。

3 人間として尊重される人生

 出世したり有名人になったりすることでなく、人々から人間として尊重されることは心の平安に欠かせません。
 私たちは、誰しもがいわゆる人間扱いされて当然と思っていますが、それは必ずしも自動的に保証されるものではなく、互いに尊重し合う心の共有がもたらしています。
 世界では依然として人種差別が横行し、日本にもまた穢多非人(エタヒニン)の歴史があり、部落問題、同和問題など、私たちは自覚的にこうした心の闇を克服しつつここまできました。
 いつの時代も、どこの国でも社会は階層的になっており、生まれにより、行動により、人が生きている位置はさまざまです。
 お互い、因縁によりたまたま今の状況にあるだけで、誰と入れ替わっていても不思議ではないことを銘記しておきたいものです。
 また、互いに、み仏の子として平等であるという〈魂を観る視点〉も忘れないようにしましょう。
 そこに相互礼拝・相互供養が成り立ち、この世が極楽となる可能性が開けます。

4 子孫の繁栄

 一家であっても、一地方であっても、あるいは一国であっても、美しく存続して行って欲しいと願うのは自然で尊い心です。
 大震災や原発事故で被災された方々の多くは「故郷へ帰りたい」と言われます。
 もちろん、美しかった故郷へ。
 若い方はそれを守り、発展させたいと願い、年配者はそこで眠って子々孫々を見守りたいと願います。
 過去の因縁の悪しく苦しい部分を克服し、発展する一家一族であって欲しいと願い、地域の向上をもくろみます。
 子供たちを自分や一族のものだけではなく、社会の宝と考えて守り育てる心は、いつの時代も変わらぬ良心です。

 これらの願いは皆、世間的なものではないか、どこに宗教があるのかと問うならば、それは「自他共にの心」一つが答となります。
 自己中心を離れ、互いに良かれと願う時、世間的な煩悩(ボンノウ)は菩薩(ボサツ)の大欲(タイヨク)へと昇華します。
 お互いが食べられ、貧しくなく、尊重し合い、いのちがつながるよう協力するならば、この世はそのまま極楽です。
 


 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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