コラム

 公開日: 2012-05-04  最終更新日: 2014-06-04

傷ついた日本人へ(その3) ─仏教・哲学・科学─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 被災地を訪れたダライ・ラマ法王が高野山で行った講演の概要が『傷ついた日本人へ』という本になりました。

3 「仏教の教義を学ぶことは哲学や科学を学ぶのと同じようなことだといえます」

 仏教はどのような宗教であるかを特定する二つのポイントがあります。
 一つ目は「世界宗教」であることです。
 世界宗教は「普遍的な教義を持っており」「教えが教義という形で明確に示されているもの」です。
 それに対して「民族宗教」は「その土地の伝統や文化が混ざり合って自然に形成され」「普遍的な教義を持たないため他の民族にひろがりにくい」宗教です。
 世界宗教は仏教やキリスト教やイスラム教であり、ヒンドゥーなどは民俗宗教と言えます。
 二つ目は「世界を創造し支配する絶対的な存在」としての神の存在を認めていないことです。
 お釈迦様は悟りの境地へ入った〈人〉であり、誰しもがお釈迦様と同じ境地に入られる可能性を持っています。
 仏教徒とは、悟りの叡智に救われ、導かれ、叡智を開発しようと学び、実践する人々であり、皆、〈釈尊が至った悟りへの道〉を先になり、後になって歩む人々です。
 絶対神を頼りにはしません。
 神がいなければどうなるか。

「『神』がいればそれに従えばいいわけですが、仏教にはそういう存在がない。
 幸せとは何か、真実とは何か、その答は経典を学んだり修行をしたりしながら、自分で見つけなくてはならないのです。」

 つまり、仏教は哲学的であると言えます。
 釈尊の言葉。

「私の教えをあなた自身で疑い確かめなさい。
 疑問を抱いたりおかしいと思ったりするのであれば、私に従う必要はありません」

 チベット仏教に古くから伝えられている教え。

「場所が変われば違った先生がいる。
 先生が違えば教えも違う」

 だから、仏教は因果応報や輪廻転生や空(クウ)など、根幹となる教義は保ちながら、世界中で様々な色合いを持った宗教として発展し、そうした相違が元となって争い、戦うこともありません。
 たとえば、生活上の厳格で数多い戒律を守っている東南アジアの僧侶は日本に来て驚きますが、日本の仏教界のあり方を否定はしません。
 同じように、私は、タイやチベットなどの僧侶が持つ清浄な雰囲気に襟を正し、ヨーロッパの仏教徒が『チベットの死者の書』を救いとする様子に啓発されたりしています。

「仏教は、論理的に物事を捉えることで、真理にアプローチしようという宗教です。
 人間とは何か、心とは何か、幸せとは何か、その概念を見直し、徹底的に探求し、その中にある真理や法則を解き明かします。
 その上で、一人の人間としてどう生きていくべきかを見定める。
 だからこそ、自分だけでなく、仏教徒だけでもなく、全ての人間に当てはまる答に帰結するのです。」
「仏教の教えには論理性と普遍性があり、仏教徒でない皆さんに理解していただけ部分が多いのも、これが理由なのです。」

 だからこそ、当山で行っている人生相談やご祈祷なども成り立ちます。
 いかなる宗教宗派を信じておられる方とでも、その方が頑な過ぎる場合以外は、〈ものの道理〉をベースにした対話が行われ、互いに〈発見〉や〈共感〉に至ったりできるのです。

「仏教も科学も、この世界の真理に少しでも迫りたい、人間とは何かを知りたい、そういった共通の目標を持っています。」
「概念を疑ったり、論理的に検証したり、法則を導き出したりする姿勢も、仏教と科学は驚くほどよく似ています。
 科学はそれを数式や実験でもってアプローチし、われわれ仏教は精神や修行でもって説く。
 用いる道具は違いますが、目指している方向は同じなのです。」

 法王は、仏教の教義の根底には「人類共通の真理」「世界の道理」があると説きます。
 つまり、誰であれ、道理という尺度を持って教義に接すれば、仏教によって普遍的真理をつかめる可能性があるのです。
 当山も、〈学び〉と〈祈り〉を車の両輪としています。
 道理と言葉を橋として通じ合う魂同士は、祈りを通じて感応し合い、そこに互いの救いと向上が生まれます。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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