コラム

 公開日: 2012-05-07  最終更新日: 2014-06-04

傷ついた日本人へ(その6) ─本当の幸せとは何か?(その3)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈大粒の雹を交えて地上のものたちを叩く突発的な豪雨〉

 被災地を訪れたダライ・ラマ法王が高野山で行った講演の概要が『傷ついた日本人へ』という本になりました。
 それを読み解く稿の第6回目です。

 前回の到達点です。

「本当に『幸せ』になるにはどうしたらいいのでしょうか。
 そのためには、これまでの固定観念を大きく転換させ、正反対の道筋をたどってみることです。
 正反対の道筋とは、欲望やエゴの放棄です。」
「他人に思いやりを持ち、広い視野で物事を見つめる。
 利他的な行動をとり、自分が今持っているもので満足する。
 人を信頼して正直に生き、他人への思いやりや優しさを人間関係の基本にする──。
 そうすれば渇きや争いから解放され、心が平穏になることを感じるでしょう。他人への恐れや後ろめたい感情は消え、自分のことを自分で信じられるようになるはずです。
 このとき心の中には、これまでと別の種類の幸福感が生まれてくるはずです。
 刺激による心の高まりとは違う、静かで穏やかな『心の平和』です。
 これこそが私たちが追い求めてきた『幸せ』の本当のありようだったのです。」
「一人一人の心の中に平和があってこそ、グローバルなレベルでの平和が達成できるのです。」

 もし、ここまでの内容に納得された方も、では具体的にどうすれば良いのかとなると、途方に暮れるのではないでしょうか。
 何かの記念日に美味しいものを食べたり、お金を貯めて車を買ったりするのはそれほど困難でない一方、心から見ず知らずの人のためになろうとするのは容易ではありません。
 私たちの周囲は欲望を刺激する情報に満ちあふれています。
 自分で自分の心を管理する意識がなければ、たちまち目や耳などに心地よいものの方向へと引きずられます。
 よくよく考えてみると、自己コントロールなどできないと思う方もおられることでしょう。

 法王は8世紀に書かれた仏典の言葉を示されます。

「この世のあらゆる楽。それらはすべて他者の楽を望むことから生ずる。
 この世のあらゆる苦、それらはすべて自らの楽を望むことから生ずる。」

 そして、自分の過去を思い返せば、誰しもが他人への思いやりや愛情を持っていることがわかり、他者の楽を望む気持が自分にもあるという自信が持てると説かれます。

「自分がどのように生まれ育てられてきたのかという『自分の起源』を思い返してください。
 すると人は誰でも愛情によって育てられたことに気づくはずです。
 生まれたての赤ちゃんは、1人で食べることもできず、生きていくことさえできない状態です。
 それでも、そんな状態でこの世に生まれてくるのは、誰かが必ず愛情をかけて育ててくれると信じているからなのです。
 その前提に立って、私たちは生まれてきたのです。」

 私たちは、ともすると「人間なんか一皮むけば皆、エゴイストさ」と嘯(ウソブ)きたくなる時があります。
 まじめにやっていてもなかなか報いられず、居直ってしまいたい場合もあります。
 しかし、本当に皆が自分のことしか考えない生きものであれば、誰も自分以外の人の手を借りて育つことはできなかったはずです。
 現実はどうか?
 今こうして生きている私たち全員、例外なく、親を初めとし、数知れない人々の〈おかげ〉で生をつなぎつつ、ここまで来ています。
 この〈おかげ〉こそが愛情であり慈悲心です。
 こうした慈しむ愛情のようなものは人間のみならず、すべての生きものにも行き渡っています。
 人間は、生まれてすぐに立ち上がる馬など、野の者たちに比べて極めて弱い生まれをしており、たくさんの愛情をかけられなければまっとうには育てません。
 私たちが明らかに〈おかげ〉の中で育てられ、生きている現実は、私たち自身に誰かにとっての〈おかげ〉となれる可能性が備わっていることを意味します。

「生命の営みは、その根幹を愛情によって支えられているのです。」
「人間は生物の中でもとりわけ愛情を与えられ、深い絆の中で育てられるのですから、その分他人へも愛情を与えることができるはずです。」

 私たちは「他人に思いやりを持ち」「利他的な行動をとり」ながら生きられるはずなのです。
 性悪説へ逃げず、可能性を信じ、自信を持ちましょう。


〈『法楽の会』会員さんをはじめ皆さんのおかげで、5月6日も例祭の護摩法を行いました〉




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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