コラム

 公開日: 2012-05-08  最終更新日: 2014-06-04

傷ついた日本人へ(その7) ─本当の幸せとは何か?(その4)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 被災地を訪れたダライ・ラマ法王が高野山で行った講演の概要が『傷ついた日本人へ』という本になりました。
 それを読み解く稿の第7回目です。

 前回の到達点です。

「人間は生物の中でもとりわけ愛情を与えられ、深い絆の中で育てられるのですから、その分他人へも愛情を与えることができるはずです。」

 自己中心でなく、誰かの〈おかげ〉になれる自信を持ち、次のステップへ進みましょう。

「親から与えられた愛情を、私たちはどう他人への愛や慈悲に変えていけばよいのでしょうか。
 まず最初に、しっかりと自分自身に愛情を向けてみましょう。
 そして自分という存在を大事にする。
 自分を大事にできない人が、他人を気づかったり優しくしたりするというのは無理があります。」

 法王の説かれる「自分自身に愛情を向けて」とは、決して自分を甘やかし自分だけを可愛がるという意味ではありません。
 誰かのためになるとは、誰かを大事にするということです。
 たとえば、独り暮らしをしている隣のお年寄りに声をかけてみる時は、お年寄りを大事にしています。
 この〈大事にする〉という感覚は、自分が労(イタワ)られ、そして自分を労ってみなければわかりません。
 ケガをし、早くよくなってはたらきたい一心で養生していた時の心を忘れない人が、ケガで苦しむ人を見た時、労りの心が起きます。

 貴乃花親方は横綱を拝命した時、「不惜身命(フシャクシンミョウ)で努めます」と口上を述べました。
 いのちも惜しまぬほどすべてをかけて立場をまっとうするという意味です。
『法華経』にあるこの言葉に道元禅師が「但(タ)だ身命(シンミョウ)を惜しむ」と続けたことはブログ「不惜身命(フシャクシンミョウ)と但惜身命(タンジャクシンミョウ)」に書きました。
http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-1179.html
 本当にいのちがけでものごとにあたろうとする人は、必ず、全身全霊をかけられる自分をつくろうとします。
 それが但惜身命であり、法王が説かれた「自分自身に愛情を向けて」の意味がここにあります。
 たとえば、イチロー選手は徹底した自己管理で知られていますが、彼は決して利己主義者ではありません。
 なぜなら、同僚選手たちもまた、それぞれに厳しい自己管理に励んでいることを知悉しており、イチロー選手はそうした同僚の姿勢を尊び、お互いに自己管理できる環境を守ろうとはしても、決して誰かの邪魔をしてまでも自分本位の行動をとろうなどとは思わないからです。
 真の意味で「自分自身に愛情を向けて」いれば、他人が「自分自身に愛情を向けて」いることを理解し、気づかわないではいられません。

 こうして自分を大事にする時、すぐ身近に、自分と同じくそれぞれ自分を大事にし、誰かも大事にしようとしている人々がいることがわかります。
 それが家族です。

「次に家族を慈しみましょう。
 家族はもっとも近しい他人であり、最も小さい組織です。
 家族を愛することこそ、他者への愛情のスタートです。」

 家族は最小単位の社会であり、そこで人間としてのふるまいを学び、「他人への愛情が自分の幸福になる」というかけがえのない体験を得ます。
 親は子供の成長を無条件に喜び、子供は親孝行をして親が喜べば自分も嬉しくなるではありませんか。

「自分の家族に抱く愛情や思いやりを、身の周りや組織の人に、地域や社会の人に、少しづつ広げていきましょう。
 自分から他人に愛情をかければ、相手の反応が変わってくるのがすぐわかるはずです。
 その輪が広がれば、ゆくゆくは社会全体、世界全体にまで拡大します。
 一人一人の愛情が全体を包みこみ、それが人間関係そのものとなるのです。
 そのとき本当の平和が訪れるのではないかと思っています。」

 最近の人生相談で多いのは、人間関係に関するものです。
 ここで説かれる、お互いに愛情を持ち愛情で接し合うという関わり方が「人間関係そのもの」となれば、人間関係についてのすべての問題は霧消するに違いありません。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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