コラム

 公開日: 2012-05-14  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(その99)─天空村落構想─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 真言宗智山派管長阿部龍文猊下(ゲイカ)が『密教メッセージ』第17号(3月31日発行)で「天空村落構想」を提案されました。
 目立たぬ姿で何度も被災地を訪れた猊下は、大震災後2カ月ほど経ったある日、NHKテレビを観ていたおりに岩手県の道路に掲げられた標語を目にし、構想がひらめいたそうです。
『岩手は、子供も大人も手をつなぐ一つの大きな輪』
 この標語に、猊下は、「隣近所の人は皆、お互いに助け合いながらいっしょに生活をしたい」と願っておられる以上、津波に流された地域近くで安全に村落を再興するのが一番ではないかと考えられました。
 以下、同稿から抜粋・紹介します。

◆天空村落とは
 大津波の被災地の上部に、高さ三十メートルの津波が襲ったところは三十メートル以上、四十メートルの津波が襲ったところはそれ以上を天空地盤として、「天空村落」を造ることである。

◆数多い「天空村落」建造の利点
 第一に、再度、高さ三十メートル、四十メートルの大津波が襲ってもこれなら大丈夫。
 第二に、被災の市町村落が被災した地域の上部三、四十メートルに被災前の街並での復興が可能である。
 第三に、この天空村落では予め共同溝を布設するので、電柱も電話線の柱もないすっきりとした景観になる。また、共同溝で防火用水も完備。消火栓は街の至る所に設置し、上下水道や排雪用水も完備するので快適な生活が営める。
 第四に、高地から湧水を引いて村落の中に小川を流し、小さな湖沼を造ることも可能である。
 第五に、市役所や町役場などは、地上から天空地盤の上五階でも六階でも可能である。
 第六に、望楼を造り平素は漁業等のために活かし、非常の際は半鐘を鳴らし、火災や津波の緊急情報を伝えるようにする。
 第七に、学校や病院や公民館などの公共施設にしても、同じ考え方で建築すればよい。
 第八に、旧地盤から地上村落へは、二十人乗り、四十人乗りのエレベーターやエスカレーターで上下出来るし、歩道・車道は充分に設け非常の際に何の心配もない様にする。
 第九に、地上階のは防護服を充分に備え、また万一津波が来たときは連結した浮ボールの用意も。
 第十に、建物やエレベーターなどの電力は、太陽光などのエコ発電も積極的に利用を勧める。

◆被災地の経済をうるおす巨大プロジェクト
「天空村落」の建造は、岩手・宮城両県にまたがる巨大プロジェクトである。

◆新しい観光資源としての壮大な「天空村落」の景観
 淡路島の地震の震源断層が、観光バスも停まる観光名所となっている。
 地盤を支える構造は種々なデザインが並び、世界にも類のない建築美は日本の新しい「観光名所」になる。
 津波にさらわれた松林や、白砂の砂浜は早くに再現する。
 これは被災者の心をなぐさめる。

◆可能な放射能汚染土の利用
 岩手・宮城の人々の了解を得なければならないのは言うまでもないが、「天空村落」の基礎工事で掘削した部分に汚染土を敷き込み、四方何れへも放射線が漏れぬ様に封じ込める。

 5月13日付の河北新報に、弁護士阿部泰隆氏(神戸市在住)が「がれき活用 築山造成を」を発表されました。
 氏の提案です。
「一時の感情にとらわれず、費用と時間、リスク、住民の人生の要素を考慮して、本当に人間の生活を再建し、何百年でも安全に暮らせる工夫をする必要がある。
 従前の平地に、どの住家からでも約10分で行ける所(1600メートルごと)に、大津波に耐えるようにひし形でそれなりの高さの築山を造るのがよい。」
「がれきと近くの山の土、塩分が染み込んで使えなくなった農地の土を優先利用して造る。」
「このように非難の方法を用意すれば、一石二鳥である。
 住民は速やかに従前の自分の土地に自宅を建てることができるので、その生活も街も戻る。
 高台造成やがれき処理の費用も大幅に節約できる。」
「高台移転は、築山プランが成り立たず、従前地は永久に利用しないと言える地域に限るべきだと考える。」

 5月4日付の朝日新聞は、『復興 土が足りない』と書きました。
「土の需要増に伴い、被災地で土の値段が上がっている。」
 宮城県の担当者は危機感を募らせています。
「圧倒的に土が足りない。
 人件費も運搬費も上昇し、市町村レベルでは調達できない。」
 宮城県は「がれきから出るコンクリート廃材などを再利用する方法を視野に入れる。」
 国交省も、「仙台市沿岸部に残る泥土など津波堆積物を再利用しようと土の質を調べる試験も進めている。」

 確実なことは何点かあります。
・人は高い場所に住むか、万が一の際には確実に高い場所へ避難できねばならない。
・津波の被害に遭った場所で〈そのまま〉住むことはできない。
・どこであれ、必要なのは〈高さ〉である。
・高さを確保するには膨大な土が必要である。
・津波堆積物・放射能汚染土の処分は困難を極めている。
・復興には国家的規模の力が必要である。
 人生で大事なものを失ってもなお、立ち上がりつつある方々がおられる一方、希望の火を保ち難くなっておられる方々も日々、増えています。
 確かな事実を前に、確かな方策が強力に進められる日が一日も早く来るよう日々、祈っています。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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