コラム

 公開日: 2012-05-29  最終更新日: 2014-06-04

悼む人は労(イタワ)る人になる ─介護に悩む方々へ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




http://3219.cc/img_server/co_img1/plusmarks/user/2009/m_fn-01.jpgをお借りして加工しました〉

 私たちは「心をいためています」とか、「心がいたんでなりません」などと言いますが、「いたむ」とはどういうことでしょうか?

1 痛
 体が痛いこと。「お腹が痛い」
 心が痛いこと。「痛い目に遭う」
 強く感じること。「痛感させられた」
2 傷
 体の傷が痛むこと。
 心の傷が痛むこと。
3 隠
 心底から哀れむこと。「惻隠(ソクイン)の情」
4 悼
 死者へ寄り添い、悲しみ、思いやること。

「1」と「2」は個人的な範囲で「いたい」と感じていますが、「3」と「4」は、相手との同感や共感となり、〈他人事〉と放ってはおけない心がはたらいています。
 天童荒太氏は小説『悼む人』へこう書いています。
「ばくは、亡くなった人を、ほかの人とは代えられない唯一の存在として覚えておきたいんです。
 それを〈悼む〉と呼んでいます。」
 この世を去った相手が、去る時に抱いていたであろう寂しさや悲しみや辛さ、あるいはこの世への願いやこの世に残る人々へかける希望などを〈我が事〉と感じるからこそ、簡単に忘れられません。
 去った人のいたみや思いは確かに在ったのであり、それが自分の心に響いた痕跡は消せません。
 去った人々にはそれぞれに、いたみや思いのパターンがありました。
 だから「唯一の存在」です。
 決して顔や人生だけが別々だったという意味ではありません。

 自分のいたみに向き合い、このいたみは誰しもにあり得るという想像力を持っていれば、実際にいたむものを抱えている人の思いに対する同感や共感が可能になります。
 想像力が「いたましい」「いたわしい」の「しい」であり、それは、こちらから相手へ架ける心の架け橋となります。
 それが積極度を増せば「いたわる」と「る」に転化し、明々と燃える火のパワーを生んで「勞」となります。
「労(イタワ)る」にはこうした背景があります。

 こんなことを書いたのは、老いも若きも介護に職を求め、介護の現場での心構えに関するご質問が増えたからです。
 介護は労る仕事です。
 人を人形のように思い、マニュアル通りに扱えば〈こと足れり〉というわけには行きません。
 相手が人形でなく意志を持つだけに大変な苦労もありますが、根本的に「労る」仕事であると肝に銘じておくことが大切ではないでしょうか。

 最近は還暦を過ぎてこの仕事にたずさわる方々もおられます。
 足腰の負担など肉体的には厳しい仕事でしょうが、人生の酸いも甘いも噛み分けた方々には、自分で数々の「いたみ」を体験し、他人の「いたみ」を思いやった歴史があります。
 それは必ず「労る」気持に結びつくはずです。
 また、人生体験の少ない方々には、年配者にはないパワーがあります。
 それを「勞」すなわち、かがり火のイメージで燃やせば、辛い現場を乗り切ることができるのではないでしょうか。
 かがり火は、闇の世界へ仏神に降りていただく目印でもあるのです。

 私たちはいつ、介護を必要とする身になるかわかりません。
 あるいは事故により、あるいは病気により、あるいは加齢により、最後は自分で自分の身を始末をできない身となってあの世へ旅立つしかありません。
 思いやり、労る人となり、み仏へ近づきつつ生きたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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