コラム

 公開日: 2012-06-09  最終更新日: 2014-06-04

宗教は「困った時の神頼み」としてたち顕れる(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 心から神頼みをすれば、仏法僧の三宝がそれぞれに命綱となり得ます。
 では、命綱をつかんだ後はどうなるか?
 これも3つのケースがあります。

1 離れ、忘れる
2 何かの時にまた思い出して近づく
3 生き方を変える

 一つづつ考えてみましょう。

1 離れ、忘れる

 風邪をひいて近くの病院へ行ったらすぐに治り、あとは病院があること自体、ほとんど意識にのぼらない状態になったようなものです。

2 何かの時にまた思い出して近づく

 風邪の治療をきっかけに医師や病院の印象が強く残り、自分が何かと相談にでかけるだけでなく、頭痛に悩む友人を紹介したりする状態に似ています。

3 生き方を変える

 風邪の治療法だけでなく、聞いた予防法などにも関心を持ち、医師や病院の指導によって生活を変える状態に似ています。
 自分が風邪をひきやすいのは、小さな頃からの病弱な体質のせいだとばかり思っていたのに、先生の言葉がヒントとなり、生活習慣にこそ一番の問題があったことに気づいたりします。
 そのように、運勢がままならない方向へ行きがちなのは自分が生まれ育った条件や他人のせいだとばかり考え、自分自身のありようを冷静に省みていなかったことに愕然とすれば、生き方が変わります。
 五恩(国家社会・先祖や親・生きとし生けるもの・師・仏法僧の恩)を忘れない、四無量心(シムリョウシン)を意識する、六波羅蜜(ロッパラミツ)の修行を志すなど、命綱は荒海の燈火となり、四国遍路の同行二人のように人生の同伴者ともなります。

 次に、生き方を変えようと望む方のために、般若心経の説く「色即是空(シキソクゼクウ)」を考えてみましょう。
 ここで言う「色」とは、私たちの周囲に広がる現象世界です。
 それが「空」であるとは、不変の実体を持たないということです。
 人もネコもカラスも街も山も、すべては原因により、はたらきかける縁によって時々刻々と変化し続け、万物は無常です。
 つまり、現象世界という〈存在〉のありようを根本的に観れば、実体を持たないという〈状態〉にあるのです。
 
 こう言われても「だから何なの?」と疑問を持たれるかも知れません。
 私たちは、車はキーを廻せば走ると思い、友人は電話に出ると思い、明日は来ると思い、自分は確かにいると思って生活していて何の不便もありません。
 存在していると思われるものをそのまま信じつつ計画を立て、約束を守り、私たちはまっとうに生きられます。
 しかし、そうしているつもりなのに、どうにもならない事態に直面する場面は、長い人生のうちに必ずやってきます。

 最近、ある病院でエレベーターを待っていた時、携帯電話で会社に連絡をとっている青年の密やかな声が耳に入りました。
 がっしりした体格で陽に焼けた彼はこう告げていました。
「たいしたことないと思って検査に来たら、このまま入院しなさいと言われました。
 びっくりで、どうしたらよいかわかりません。
 とにかく、すみませんが、明日の予定はAさんに頼んでください。
 詳しい検査を受けてみないと、そのあとのことはわかりません。
 すみません……」
 昨日までと同じようにやってくるはずだった会社勤務は今日、突然止まり、明日から先の予定は吹き飛びました。
 それどころか、落ち着いた話しぶりの中にも戸惑いが隠せない彼のいのちがどうなるか、生活がどうなるか、先が見えず彼の人生は局面を大きく変えました。
 思いもよらず、不意に。
 あてになるはずだった〈存在〉が揺らぎ、やがて〈存在〉の〈状態〉が探られ始めます。
 健康なはずだった身体はどうしたのだろう、長い入院になったら仕事はどうなるのだろう。
 そして彼は、大病を抱え病院で日々を送るうちに、これまでの人生を初めて深々と振り返り、自分って一体何だろうと疑問を持つかも知れません。
 やがて〈状態〉が空(クウ)という本姿を現し、天地万物の空となっているありようがストンと腑に落ちれば、彼は病気に伴う苦を克服できるかも知れません。

 五恩を忘れない、四無量心を意識する、六波羅蜜の修行を志す、などが大切なのは、目の前に広がる〈存在〉をそのまま前提として最善を尽くしているうちに、空という〈状態〉もいつしか観えるようになるからです。
 そうして良く、あるいは善く、あるいは好く、あるいは佳く生きながら、同時に試練も乗り越えられる力をつけるのが仏法を命綱とする生き方です。
 どうでしょう。
 命綱をつかんだ経験のある方、あなたはその後、どうされますか?



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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