コラム

 公開日: 2012-06-22  最終更新日: 2014-06-04

亡き人への恩返し ─修行としての供養─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 私たちは親を亡くすと往々にして悔いが残るものです。
「ああ、もっと親孝行しておけばよかった」
 それほど親不孝でなかった人も、自分が親不孝した点を指折り数えたりします。
 枕経の後で、お戒名をご本尊様から授かるために「故人はどういう方だったのですか?」とお訊ねする時、ご家族が涙ながらに話されます。
「気丈な母には反抗ばかりで、ずっと心配かけ通しでした」
と肩を震わせながら嗚咽をこらえる白髪交じりの娘さん。
「子供の頃、仕事一辺倒の親父に遊んでもらった記憶はほとんどなく、ありがとうを言わないで送ってしまいました」
とあまりに早い別れで呆然としている30代の息子さん。
 私などは今でも、高倉健の唄った『唐獅子牡丹』の一節が忘れられません。
「♪積もり重ねた不幸の数を何と詫びようかおふくろに 背中(セナ)で泣いてる唐獅子牡丹」

 しかし、心配は要りません。
 親や恩人を送ってからもしっかり恩返しはできます。
 それには、〈修行としての供養〉を行うことです。

 過日も、ご遺族からご質問がありました。
「お仏壇を用意してから毎日、ご先祖様にご飯を欠かさないできました。
 今回、家族を亡くしたのだからしばらくお仏壇を閉じておかねばならないと言われました。
 いったい、何日、拝めなくなるのでしょうか?」
 お答えしました。
「確かに、地方による言い伝えなど習俗はいろいろあるようです。
 しかし、仏法上、ご不幸によって仏壇を閉じねばならない理由はありません。
 今度逝かれた故人をお導きくださり、呼吸をとぎれさせない私たちを一瞬も欠かさずお守りくださっているのがご本尊様であり、ご先祖様だからです。
 また、毎日ご飯を捧げておられるようですが、その深い意義は、私たちへ自分のいのちを与えて食べものとなる生きものに感謝し、心身を調え、人間としてちゃんと生きて行く決心を捧げるところにあるからです。
 そうして感謝の心を忘れず、食べものや飲みものを大切にし、奪い合わず、落ち着いて毎日を送る姿を見ていただけば、故人もご先祖様もご本尊様も、きっと安心し、喜ばれることでしょう。
 ご飯と一緒に感謝の心もお供えしてこそ、真の供養です。
 真の供養は自分自身の修行でもあります。
 さらに言えば、先に逝かれた方は私たちへ修行の機会を与えてくださったのですから、恩返しをしたいならば、きちんと機会を生かして修行せねばなりません。
 これが最高の恩返しです」
 つまり、お線香を捧げて精進を誓い、実際に精進して生きることなど、六波羅蜜(ロッパラミツ)の供養と修行を行うことによって、いつまでも恩返しができるのです。

 また、恩返しの相手は特定の故人だけではなく、時間的空間的に拡がりもします。
 何かを捧げ、誓う相手をご本尊様へ、あらゆる御霊へと拡げることによって、その功徳は対象を選ばなくなり、真の菩薩(ボサツ)行となります。
 修行によって自分を高めれば、その生き方は縁となる人々へ必ずよき影響を及ぼします。
 お線香のように精進する人、花のように忍耐する人、水のように布施の心で奉仕する人、こうした人々の功徳は知らぬ間に対象を選ばずに福徳をもたらし、真の菩薩(ボサツ)行となります。

 こうして、修行としての供養は無限の恩返しとなります。
 決して「もう、遅い」のではありません。
 さあ、実践しましょう。
 


 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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