コラム

 公開日: 2012-07-01  最終更新日: 2014-06-04

私たちが心から求めるものとは?(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈善男善女の願いをこめ護摩法で捧げられる護摩木です〉

 私たちは、「困った時の神頼み」をします。
 困った時とは、何かが無くなったり、無くなりそうになったりして追いつめられた時です。
 お金がなかったり、恋人を失ったり、いのちがなくなりそうになったり……。
 では、困っていない時とはどういう時でしょうか?

 お大師様の徳を讃える『弘法大師和讃』は、常々の祈りがもたらすご利益、つまり、私たちが困らない人生の姿を説いています。
 常々、信じて祈るのは「転ばぬ先の杖を持つ」こと、とも言えそうです。

 では、お大師様への祈りがもたらす「8つの救済」とは?

5 智慧

 順調な世渡りのために必要な思考を「知恵」、人としてまことを尽くすために必要な思考を「智慧」としておきましょう。
 標題は「智慧」となっていますが、上記の二つを含むと考えられます。
 私たちが社会的動物として生きて行く以上、二つとも欠かせないからです。
 では、違いはどこにあるか?
 見聞きするものが〈在る〉という前提で最善を尽くすために用いるのが知恵、見聞きするものが〈空(クウ)〉であると観て生きるために用いるのが智慧です。

 たとえば、2か月後を決済日とした約束手形による取引は、2か月後にも会社が健在で決済できるという見通しのもとに振り出し、それを信じて受け取ることによって成立します。
 これが〈在る〉という前提で行われる普通のやりとりであり、振出人も受取人も先を見通した知恵ある行動をとっています。
 しかし、もしも圧倒的な存在感で指揮してきた社長か急逝し、会社の業績が一気に落ちて不渡りになったならどうでしょうか?
 不渡り手形が手元に残った側は法的手続きをとっても回収は期待できず、窮地に陥るかも知れません。
 人が死ぬという何の不思議もない当然のことが起こったに過ぎないのに、すべての歯車はすっかり狂ってしまいました。
 最善を尽くして亡くなった相手を責められず、さりとて自分も危うくなってどうしようもない時、人は死ぬものであり、自分もまた一瞬後にこの世を去り得る者であるということが深く実感できるかも知れません。
 当惑する人たちの前で、〈在る〉はずの世界が、実は〈空(クウ)〉であるという真実か明らかになっています。

 だから、私たちは〈空(クウ)〉を観ながら、〈在る〉世界へ誠実に対応することが求められます。
 たとえば、手形はあらゆる事態を想定して発行し、受け取りたいものです。
 たとえば、諍いでにっちもさっちも行かなくなったなら、相手の老・病・死と自分の老・病・死という逃れられない宿命を考え、それらに襲われた状態を明らかに想像して視点を変え、悔いのない言動をとりたいものです。

 ところで、智慧の反対は愚癡(グチ)です。
 だから、愚癡とは〈空(クウ)〉が観えない状態です。
 過去にとらわれてやまない、いわゆるグチはなぜ愚かなのか?
 一つは、もはや変えようのない過去にこだわり、無意義に自分の人生の時間を浪費するだけでなく、相手をする人の時間をも浪費させるからです。
 もう一つは、過去を固定した実体としてあれこれ考え、言う姿勢が、今の自分や見聞きするものをも固定した実体あるものととらえさせ、決して〈空(クウ)〉の真実がわからないからです。
 そして、〈空(クウ)〉が観えない人は、自分が何かを失って悲しいというだけでない真の哀しみを知らず、往々にして自分の正義だけを主張し、あるいは自分の過去を美化し、真の慈悲心が起こりにくいからです。
 こうした愚癡は自他の人生を暗い方向へと導きかねません。
 だから、人生の〈毒〉と称されるのです。

 お大師様は、帰依(キエ)する者への約束の一つとして智慧を示されました。
 仏法に学び、賢人に学び、お大師様に祈り、ご縁の仏神へ祈って、知恵がだけでなく智慧も豊かな人になりたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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