コラム

 公開日: 2012-07-07  最終更新日: 2014-06-04

すべては「今」からしか始まらない

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 故杉山平一の詩集『希望』に『いま』があります。

もうおそい ということは
人生にはないのだ

おくれて
行列のうしろに立ったのに
ふと 気がつくと
うしろにもう行列が続いている

終わりはいつも はじまりである
人生にあるのは
いつも 今である
今だ

 お葬式は、亡くなった方が安心してみ仏のおそばへ行けるよう、この世で体験しこびりついた苦や垢からすっかり離れられるよう、〈出家〉していただくために行うものです。
 このことは、ブログ『お葬式の導師は仏様の髪を剃っている!?』に書きました。
 えっ、出家っていつでもできるのですか、という声が聞こえてきそうです。
 そうです。
 自他へ苦を与える生き方から根本的に離れようとする出家は、いつでもできます。
 杉山平一が書いたように「もうおそい」ということはありません。

 孔子は、「四十にして惑わず」と言いました。
 人生40年も生きれば、もう、、あれこれと惑わないものであるとされるこの頃、私は出家しました。
 孔子は、「三十にして立つ」とも言っているので、ここにおける「惑わない」は、30才の頃に思い定めて決めた道がようやくしっかり固まってくるという感じであり、どんでんがえしのように、それまでとまったく異なる方向へ向かうことではありません。
 だから、娑婆で無一文になり、仏道へ入った私は、孔子の教えとは違う意味で「惑わず」となりました。

 仏道における「惑わず」は永遠の真実です。
 発心(ホッシン)と呼ばれる出家の決心は、永遠に変わらないからです。
 何歳でこの道に入り、何歳まで修行を続けても、行者は常に未熟者です。
 み仏そのものになろう、菩薩(ボサツ)道をまっとうしようとすれば、瞬間的には即身成仏(ソクシンジョウブツ…この身このままでみ仏になりきること)ができても、お釈迦様やお大師様のようにはなれません。
 だから、発心には無限の歩みが伴います。
 一周忌や三回忌を行うとおり、輪廻転生(リンネテンショウ…生まれ変わり)の中で、その歩みは続いて行きます。

 こうした出家だけでなく、私たちが「必ず達成しよう」と真実を求めて行う決心には、「もうおそい」はありません。

 杉山平一の「終わりはいつも はじまりである」には、幾多の苦難を乗り越えて100才近くまで生き抜いた人の、本当に前向きな姿勢が表れています。
 長い人生にはいったい、どれほどの挫折や失敗や困難があったことでしょうか。
 いったい何度「もう、これまで」あるいは「ようやくここまで来たか」などという「終わり」の体験があったことでしょうか。
 しかし、生きている限り、意欲を失わない限り、「終わり」には必ず新たな「はじまり」が続きました。
 ──それが自分を楽へ導こうと、苦へ導こうと。
 
 私たちに新たな始まりをもたらすもの、何かに区切りをつけて次の人生のステージへ進める可能性を保証するもの、それが「今」です。
 杉山平一は巻頭の詩『希望』を「負けるな」で締めくくり、『いま』を「今だ」で締めくくりました。
 両方とも、紙面には書かれていない「!」が付いています。
 よく、心が弱っている場合の励ましは無用、逆効果、禁句などと言われていますが、この二篇の詩は、どんな場合であれ心の片隅に置いてもかまわないのではないでしょうか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ