コラム

 公開日: 2012-07-14  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい(その1) ─今の仕事に今からかかれ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 昭和6年1月1日に大日本雄辯會講談社(ダイニホニュウベンカイコウダンシャ…講談社の前身)が『立身出世金言手帳』を発行しています。
 横8・5センチメートル、縦14センチメートルのもので、月刊『少年倶楽部』新年号の付録です。
 その第一ページです。
「人間は誰でも偉くなれるのです。
 しかし一ぺんにえらくなる事は出来ません。
 少年の時から、偉くならう、えらくならうと、一生けん命に心がけて、自分をみがく人だけが偉くなれるのです。
 あなたが偉い人物になる様にと、至誠天地の神々に祈って、この金言手帳を差上げます。
 どうぞ、この中のいくつでもよろしいから實行して下さい。
(裏の方には、あなたの好きな金言格言を書き入れて下さい)」
 漢字にはすべてフリガナがついており、最後の13ページは「僕の好きな金言」とあって空白です。

 戦後に生まれた世代としては、立身出世という言葉に対する入り組んだ思いがあります。
 身を立て(自分をしっかりした一人前の人間にする)、世に出る(社会的な役割を果たせるひとかどの人間になる)こと自体は、否定されるべきものを含んでいません。
 東洋の小さな国でありながら、世界を制覇をもくろむ西洋列国の属国にならず、がんばろうとしたご先祖様方が人間形成をする上で、この言葉が核となったことはよくわかります。
 団塊の世代にはまだ、その気配が残っていました。
 団塊の世代を育てた親たちは戦後、占領軍の日本弱体化政策によって、公的な意味での道徳教育の根幹は捨てさせられましたが、自分が育ってきた過程で身につけた価値観は簡単に捨てられるはずもなかったからです。
 親たちが血と汗で復興させた日本の余慶を受けながら生きてきた団塊の世代は、すでに甘くなり始めています。
〈社会のためになる〉という価値観が〈自分の好きなことが一番〉という価値観に取って代わられつつ、一生を終えようとしています。

 もしかすると、いかなる文明も、この二つの価値観の間を揺れながら歴史を創ってきたのかも知れません。
 人間もまた、克己心と享楽心の間で生きています。
 今の日本で、克己心を喚起する姿勢が受け容れられるかどうかはわかりません。
 しかし、この小冊子の一ページ一ページには、その場しのぎをやってきた自分がちょっと脇へ置いたままになっている金言が、変わらぬ光で〈やましい心〉を照らします。
 やましい部分をあぶり出されるのは辛い。
 しかし、それをやっておかねばならないという思いが強く、恥を忍んで書くことにしました。

 決しておもしろくはありません。
 よくぞ「おもしろくてためになる」本を作ろうとしてきた講談社さんが遺してくれたと感謝しつつ、読んでみます。

1 「い」 今の仕事に今からかかれ

 仕事を追って仕事に追はれるな。
 今日の勉強は今日中にせよ。
 これが少年の奮闘だ。
 今日の仕事を明日に延ばすのは弱い証拠だ。

 私の父は小学校しか出ていない農家の次男です。
 しかし、この言葉を口癖にし、軍隊でも教えられたことは必ずその日のうちに復習したので、何をやっても同輩にひけをとらなかったそうです。
 忙しいと口にする私は堕落者ですが、仏法の師から伝授されたことだけは必ずその日の夜にメモを整理しました。
 今、信念をもって修法し、居合の道場で伝授をできるのも、すべてメモのおかげです。
 しかし、仕事に追われる情けない状況にあるので、いわゆるお説教をする資格はありません。
 それでもなお、この金言は書いておく価値があると信じ、紹介しました。

2 「ろ」 労苦は僕の膽試(キモダメ)しだ

 楽な仕事を喜ぶな。
 苦しい仕事で膽(キモ)を練れ。
 高い山ほど上ったら愉快だ。
 がんばる所で膽を養へ。

 膽は肝ですが、「肝を練る」といっても、ちんぷんかんぷんかも知れません。
 心の重心をしっかりさせる、あるいは、心の柱を堅固にする、あるいは、心の足腰がどっしりするといったイメージでしょうか。
 辛いところで逃げず、がんばり抜けば、心のステージが上がって清々しい気持になり、動じない心がつくられるのです。
 逃げる癖は、言い訳する癖を招き、二つが車の両輪のようになれば、信じる方向へと運命を創ってゆく強い力は出てきません。
 親が子供をあいまいに逃がし、感情だけで庇(カバ)い、言い訳をしてやっているようではモヤシのような子供になってしまいます。
 身体も心も、風邪をひいたなら優しくしてやらねばなりませんが、風邪をひかないように予防させる時は厳しくせなばなりません。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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