コラム

 公開日: 2012-07-18  最終更新日: 2014-06-04

「いじめ」と「誉め」について

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈トカゲのしっぽを運ぼうと炎天下で懸命な作業を続ける二匹〉

 昔は今のようないじめはなかったというノスタルジックな言葉をよく耳にしますが、そうでもあり、そうでもなかったと感じています。
 そうだったというのは、今ほど陰湿で追いつめ方に限度がなく、周囲は傍観者ばかりで、先生の手に負えない、などということはなかったからです。
 そうでもなかったというのは、〈いじめっ子〉も〈いじめられっ子〉も、昔(半世紀前)だっていたからです。

 さて、当時のいじめっ子を思い出してみると、「あまり、親や周囲から誉められていなかった」タイプだったような気がします。

 半世紀前の日本の親たちは、一部の富裕層を除いて皆、文字どおり朝から晩まで額に汗してはたらき、子供には背中しか見せる余裕がありませんでした。
 A君の親御さんも両親揃って傘作りや内職に励み、A君の勉強をみてやる余裕はなさそうでした。
 もちろん、家庭教師や塾などは夢の又夢、私などは、そうした言葉を聞いたこともありませんでした。
 A君は、学校から帰ると家の手伝いをやらされ、うまくできないので、いつも叱られていました。
 もちろん、親御さんは決して我が子をいじめるわけではなく、早く作業の要領を身につけて欲しいという一心だったのでしょうが。
 背が高く、いつも身体を使い慣れていたA君は、すぐに暴力をふるう乱暴者でした。
 仲間が泣かされていたシーンを思い出します。
 でも、誰かが止めに入ると、そこで終わり、エスカレートはしていなかったはずです。
 親から叱られ、仲間たちと同じように自由に遊べないA君は、淋しかったのでしょう。
 運動会でしか自分を誇示できず、周囲から誉められることの少なかったA君は、悔しかったのでしょう。

 B君の親御さんはお役人さんでした。
 家はすぐ近くなのに、会った記憶がありません。
 きっと、偉く、多忙だったのでしょう。
 B君は特に乱暴者ではなく、成績もまあまあだったはずですが、いつも特定の仲間を従えていました。
 今、考えると、お父さんもそうした世界にいたのでしょう。
 野球をやる時は人数が必要なので、大勢集まりますが、何かあってもすぐに〈数〉で決着をつけました。
 いつも譲らす、横暴でした。
 そして、ボールが近所のガラス窓を直撃するなど何かまずいできごとがあれば、必ず誰かを犯人に仕立て上げ、いつも自分たちを〈良い子〉の側へ置きました。
 やられた子は、反撃する術がありません。
 小学校へ入るか入らないかというあたりからこうした行動をとっていたことは、A君のケースよりも深刻な事態だったのかも知れません。

 中学校を卒業してすぐにはたらきに出たA君は、二十歳過ぎに、不慮の事故で早世しました。
 早々にどこかへ引っ越したB君は、中年の頃、事件を起こして逮捕され、新聞に載ったと聞きました。

 二人に共通するのは、誉められていたシーンを思い出せず、そうしたシーンを想像できないことです。
 今になってつくづく、二人の淋しさを想います。
 二人とも、誉められていれば、きっと違った自分を創りながら成長できたのではないか……。
 暴力的な心、腹黒い心をあまり育てることなく大人になれたのではないか……。

 今朝の産経新聞「『こころ』と『かたち』」において、東芝のラグビーチームを日本一に導いた富岡鉄平氏の言葉が紹介されていました。

「悪いところは目につくが、いいところは探さないと見つけられない」

 昨日の産経新聞では、ファーストリテイリングの柳井正社長が言っています。

「日本の首相が、外国の首脳と話をする時に原稿を棒読みする。恥ですよ」

 努力し、自分の言葉を探さねば、なかなか誉められません。
 特に、年を取ると他人様の嫌なところや悪いところに気をとられ、昔は良かったとつぶやき、文句ばかり達者になる傾向があるので、自戒しています。
 そして、ささやかな訓練を欠かしません。
 たとえば食堂に行けば、お会計をする時に何と言おうかと考えます。
 究した時の言葉としてとっておくのが「おいしかった」です。
 ラーメン屋さんでは「ずいぶんと研究されていますね」、半田屋さんでは「元気モリモリになりました」など、その都度、感じたことを異なる言葉でお伝えすることにしています。
「おいしかった」を使った時は、食事はおいしくとも、車のキーを廻しながら、かなり、ガッカリしています。
 それでも、言われた方は嬉しそうな顔をしてくださるので、少々、救われはします。

 淋しさのまり、子供たちが暴力的な心や腹黒い心を育てないよう、私たち大人も、心と言葉の訓練をしようではありませんか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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