コラム

 公開日: 2012-07-25  最終更新日: 2014-06-04

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第二十四回) ─逆境でもすべてを空(クウ)と観る─

※昨日、アップするのを失念しており、本日は2ページあります。

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







〈露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ ─方丈記─〉

 菩薩(ボサツ)になるための実践道、第二十四回目です。
 これは、「法話と対話の会『生活と仏法』」(http://www.hourakuji.net/manabi/houwa.html)において議論するテキストの一つとなってもいます。

「さまざまな苦しみは
 夢の中での息子の死のごとく
 錯誤を実体あるものととらえることより生じた疲れ
 それゆえ、たとえ逆境に遭遇したとしても錯誤と見なす
 それが菩薩の実践である」

 たとえ逆境にある時でも、現象として顕れていることごとは皆、夢の中での悲しいできごとであるのと同じく、実体のない幻であると観るのが菩薩(ボサツ)の道です。

 私たちは、空(クウ)の瞑想をしている時は意識が空を観ていますが、瞑想から離れて日常生活へ戻ると、たちまち、執着が主役を務めることになりがちです。
 修行を積んだはずの高位にある僧侶が、つまらぬことで檀家さんと諍いを起こしたりするのはそのためです。
 当然ながら、行者にとって大切なのは、どこで何年間、何の修行を行ったかではなく、たった今、いかなる行者として、いかなる菩薩行に励んでいるかの一点だけです。
 もちろん、出家していない方々にとっても事情はまったく同じであり、毎年、何の修行にでかけているかが問題ではなく、いざという時に、きちんと空の観点からものごとを見て行動できるかどうかが大切です。
 だから、生涯、こうしたチェックが欠かせません。

 なぜ、こうした心の修行が必要なのか?
 平穏な日常生活にあっては、好き嫌いや気分次第で泣いたり笑ったりしながら暮らしていても大した問題は起こらないかも知れません。
 しかし、たとえば陰湿ないじめに遭ったり、理由もわからないままに恋人が去ったり、急に左遷されたりすると、心がわけのわからない状態になって適切な対応ができなくなるかも知れません。
 不登校や職場放棄、暴力事件や殺人事件、意気阻喪や閉じこもり、などが生じたら大変です。
 いじめや失恋や左遷がこうした哀しい状況を引き起こす直接原因ではあっても、それをどう受けとめ、どう考え、どう行動するかは最終的に受け手の心次第です。

 嬉しいできごとが起こって心から喜んでも、舞い上がっていい気にならない。
 悲しいできごとが起こって心から悲しんでも、思考停止して自分を失わない。
 これが結局は自分にも周囲の人々へも道を誤らせない態度であり、それには、執着心による一喜一憂を抑えねばなりません。

 執着心は、現象しているものを実体があると見誤るところに生じます。
 本当は、ありとあらゆるものに不変の実体はなく、私と言い、貴方と言っても、それはかりそめに今ここにいるだけであって、一瞬後に心臓が止まってしまえば、24時間経過した後にはお骨になっていて何の不思議もないのです。
 このような真実を観る空の観点があれば、執着心は薄れて一喜一憂におのづからリミッターがはたらきます。
 そして、順境にあっても逆境にあっても人間として節度ある姿勢を貫くことができます。
 逆境に耐える力がつき、理不尽や不条理に満ちたこの世で、思いやりと智慧を失わずに生きて行ける可能性が高まります。

 だから、普段から空を考え、さまざまなできごとに対して空と観る訓練をしておく必要があるのです。
 仏法は明快です。
「この世はままならない。
 ままならないのは、何でも実体があると錯覚を起こして執着するからである。
 錯覚を離れるためには、空の真理を観る必要がある。
 だから修行しよう」




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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