コラム

 公開日: 2012-08-08  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい(その9) ─坩堝(ルツボ)で純金がわかる─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





10 「る」 坩堝(ルツボ)で純金がわかる
 金の鉱石を坩堝(ルツボ)で溶かすと、純金だけが別に選られる。
 大勢の人は鉱石だ。
 その中から艱難(カンナン)を切り抜けて勝つ純金の人となれ。

 坩堝は、熱して金属を抽出するのに用いられる容器です。
 そこには何でも入れられ、上手に使われれば、目的とする価値あるものが取り出せます。
 ここでは、社会に住むたくさんの人々の中から困難や苦しみに耐えてがんばり抜いた人が、〈ものごとのできる人〉として社会的役割を果たせるようになって行くイメージが説かれています。
 
1 気をつけねばならないのは、「純金の人となれ」です。
 自分はそもそも純金の人で〈ある〉などということはなく、あくまでも努力によって純金の人に〈なる〉のです。
 小さなうちは誰でもが、どういう人になって行くのか決まってはいません。
 学校という坩堝の中では、どの子も等しく授業やしつけで鍛えられる素材です。
 そこでしっかりやって行くことによって、金の人としての輝きが出てきます。

2 また、気をつけねばならないのは、人間における〈金〉は無数にあるということです。
 確かに、「大勢の人は鉱石だ。その中から艱難を切り抜けて勝つ」とあるので、競争に勝って良い成績を修めると読めますが、現代では、もう少し幅広く解釈したいものです。
 つまり、その子なりに何かをつかむというイメージです。

 高校時代、無口で目立たずあまり人付き合いをしないA君がいました。
 友情や親友について一人づつ考えていることを述べされられた時、静かに立ったA君はボソッと言って着席しました。
「親友だと思えば親友です」
 あれこれ言った私は、彼にかなわないと感じました。
 案の定、A君は文学部の教授になりました。
 高校時代、絵の好きなB君に文化祭のポスターに使う簡単な原画を描いてもらいました。
 やがてポスターが届き、生徒会の役員は皆、よくできたと喜んでB君に見せたところ、案に相違してB君はすさまじい剣幕で怒りました。
「目が死んでいるじゃないか!」
 斜め上を向いた若人の目から原画の力が失せているというのです。
 指摘されてみればそう見えなくもないという範囲の違いなのに、B君は泣き出さんばかりに悔しがっています。
 役員たちのボンクラぶりにあきれたB君はやがて芸大の教授になりました。
 高校時代、流行りだしたビートルズは、一部から、不良が好む音楽という受けとめられ方をしていましたが、仲間があまり関心を持たないうちから、C君は堂々と「ビートルズは佳いぞ」と、のめり込んでいました。
 ほとんどの仲間と一緒に私も、世の中がだんだん認めるようになってからその価値に気づき、C君の眼力に脱帽したものです。
 目立つことを嫌いつつ立派に勤め上げたC君は、原発事故にも動ぜず、あちこちにお年寄りが残った地域で、黙々と必要物資を配達するなどのボランティア活動を続けています。
 A君、B君、C君、皆、自分にある可能性を育てた〈純金の人〉と言うしかありません。

3 また、気をつけねばならないのは、勝つ相手は周囲の人々だけではないということです。
 艱難辛苦(カンナンシンク)の時代を経て50才近くになってから世に出た作家車谷長吉氏は、朝日新聞掲載の人生相談『悩みのるつぼ』でも好評を博しました。
 彼の述懐です。
「凡て生前の遺稿として書いた。」
 常に〈遺稿〉という強い意志をもってペンを執り続けたからこそ、自分から余分なものをそぎ落とし、〈純金〉になれたのではないでしょうか。
 周囲から〈純金〉と見られるのは、あくまでも自分に克った結果なのです。

 純金の人になりたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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