コラム

 公開日: 2012-08-31  最終更新日: 2014-06-04

当山のお葬式ではこうしたことが行われます ─故人の思想や宗教を選ばずに引導を渡す理由─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 お葬式では何がどう行われるのか、おおまかな順番と内容は以下のとおりです。

1 お清め

 まず、護身法を行って行者自身と、修法の道場となる場所全体、あるいはご参列の方々やご供物なども清めます。
 仏神に降りていただき、故人をみ仏の世界へお送りする厳粛な時を迎え、清めねばなりません。
 大切な方をお招きする時に心を正し、掃除を行い、皆が威儀を整えるのと同じです。

2 結界

 お釈迦様が悟りを開かれる寸前、魔ものたちは四方八方から邪魔しようとしましたが、結界によってすべてシャットされました。
 日常生活的な空間でないお葬式の場が開かれようとする時も同じであり、八方天地すべてが見えない聖なる壁によって塞がれます。

3 み仏へのご挨拶

 東・南・西・北とそれぞれの方位をご守護くださるみ仏方をお讃えします。

4 ご守護と慰霊
 
 故人をご守護しお慰めする法を結びます。
 ご逝去の形などによってそれぞれに異なるみ仏のご守護をいただきます。

5 結界

 明王様の法により重ねて結界を結びます。

6 礼拝

 仏法僧へ帰依する心を新たに表明します。

7 願いの文

 これからみ仏にお救いいただきたい内容を申し述べ、お願い申し上げます。

8 剃髪(テイハツ)

 目に見えない刀で故人の髪を剃り落とし、み仏の子としてみ仏の世界へ旅立つ準備に入ります。

9 お授け

 み仏と一体になった導師が故人を懺悔へ導き、戒律を授けます。
 戒名を求められた場合は戒名も、そして、み仏の世界を象徴する梵字も授けられます。
 
10 開扉

 法の力により、あの世の扉が開かれます。

11 願いの文

 救いの世界を讃え、この世からあの世へお導きいただくよう、お願い申し上げます。
 また、こうした救済がすべての御霊へ与えられるよう、お願い申し上げます。

12 引導(インドウ)

 引き導く引導とは、み仏と一体になった導師が、故人を迷いのこの世から安心のあの世へとお渡しするお葬式の要です。
 仏教の行者は、この一瞬に修行と法力のすべてをかけます。
 言い換えれば、ここで確かな法を結べてこそ一人前の僧侶であり、これができなければ、ご葬儀で導師を務めることはできません。

13 供養

 み仏と、あの世の住人になられた御霊をご供養します。

14 お焼香

 ご参列の方々にも供養のお焼香をしていただきます。

15 み仏へのご挨拶

 大日如来の使者として終始、この場を御守りくださったお不動様をお讃えします。

16 解界(ゲカイ)

 結んだ結界を解き、導師は修法壇を降ります。

17 法話

 私たちにとって、先に行かれた方にとって、ご葬儀とは何か、この厳粛な事態を迎えた私たちの心はどうあるべきか、私たちが故人に対してできることは何か、などをお話し申し上げます。
 ここまでをもってお葬式のすべてを終わります。
 お焼香が終わればそれでおしまいではありません。
 どうぞ最後までご静粛に過ごされ、ご協力をたまわりますよう。


 以上が当山で行うお葬式の概要であり、当然ながら、この内容はお布施の金額などによって変わることはありません。

 明治時代、廃仏毀釈(ハイブツキシャク)によって、日本史上例を見ない国家による仏教破壊が行われました。
 その狂風はまもなくおさまりましたが、仏教を貶めるための説がたくさん流され、その残滓は今も残っています。
 たとえば、「お釈迦様が自分の遺体にかかわるなと言われた」という経文のわずかな部分だけをとりあげて、「そもそも仏教と葬儀は関係ない」と主張する方もおられますが、かなり無理があります。
 最新の研究によれば、少なくとも9世紀のインドでは、経典に基づく死者儀礼が行われていました。
 その流れは当然、当山が行う修法にも深い影響を与えています。
 また、仏教は、お告げや預言ではなく、精緻な哲学を伴った思想を基にした宗教です。
 だから、歴史と共に深められ、高められ、世界各地で伝統的な習俗や思想や宗教の影響も受けながら発展して来ました。
 そうしたことを無視して、お釈迦様の時代に還れというのは、実存主義や現象学などの成果を否定して、ソクラテス・プラトンに還れと主張することと同じで、あまり創造的ではないと思われます。

 お葬式のお経はよくわからないというご批判があります。
 この点については、普段の勉強会や説法による説明はもちろん、当山が毎月行っている例祭や年忌供養では極力、読み下し文を用いるなどして対応しています。
 それでもなお、定められた次第によって行うので、わかりにくい部分は多々、生じます。
 このことは、み仏の世界、悟りの世界といった私たちの日常的な感覚とは次元の異なる世界を表現している文章なので、どうしても簡単にはわからなくなりがちであるとご理解、ご容赦をお願いするしかありません。
 日々、唱え、修行している私なども微力なので、死ぬまで勉強してなお、よくわからないことは山のように残ることでしょう。
 勉強の続きは来世で行おうと決心し、そうありたいと願うしかありません。
 
 当山ではこうした立場から、お釈迦様に始まりお大師様によって整理された法の流れに基づき、ご縁を求める方の思想・宗教にかかわりなく修法し、引導を渡し続けています。
 無宗教の方や俗名で送られたい方も同じです。
 檀家になるかどうかも無関係です。
 なぜなら、み仏のご加護は決して相手を選ばないからです。
 とにかく、み仏のお導きと後押しする法力によって、この世とあの世の区切をきちんとつけて安心の世界へ旅立っていただきたい、決して迷われないようにという一心で日々、修法を行っています。
 どうぞご安心ください。合掌



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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