コラム

 公開日: 2012-09-02  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第155話 ─パラリンピックに登場したスティーブン・ホーキング博士─ 

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 今回のパラリンピックにおける開会式のテーマは「啓蒙(ケイモウ)」である。
 英国らしく、シェークスピアにちなんだ言葉が標語となっている。

「知の力で偏見に立ち向かい、よりよい社会をつくろう」

 そして、筋萎縮性側索硬化症によって車いすでの生活を余儀なくされている宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士(70才)は、車椅子でステージに登場し、コンピューターの力を借りて数々の思いを述べたという。
 以下は、新聞やネットで報道されている言葉である。

「好奇心を持ち続けよう」
「何が我々の宇宙を成り立たせているのかに思いをはせよう」
「足下ではなく、星を見上げよ。興味を抱け」
「知識における最大の敵は無知ではなく、知っていると錯覚することだ」
「パラリンピックは、われわれの世界に対する認識を変革することのつながる」
「人は皆違い、〈基準〉や〈普通の人間〉などというものはないが、人としての魂は同じように持っている」

 パラリンピックの語源は、「paraplegia(下半身不随)」に「Olympic(オリンピック)」を加えた「Paralympics(パラリンピックス)」である。
 半身不随以外の障害者も加わったので、「parallel(平行)」に「Olympic(オリンピック)」を加えた「もう一つのオリンピック」という意味も持つ。

 身体の不自由な人同士が身体の能力を競うとはどういうことか?
 今回のテーマはそれを明確に示している。
「選手は、この世で生きるために人間へ与えられた道具の一つとしての身体をもって、一人の人間の魂を表現する。
 身体のコントロールは知力によって支えられている。
 こうした知力の発露こそが魂の尊厳を私たちへ教えるのであり、それは肉体的条件に関わりない。
 肉体的ハンディを持っていようと魂の輝きは同じであることを知って欲しい」

 ホーキング博士の存在は、知力こそが人間を人間たらしめることの生きた証明であり、「啓蒙」を合い言葉にする大会の象徴として最もふさわしい。
 ここで言う知力とは、知識の多さや知能指数の高さなどを指すのではない。

 日本IBM」の元社長大歳卓麻最高顧問(63才)は、盗撮の疑いで書類送検となり、財界や官界に関する役職を降りた。
 他の犯罪者と同じく「盗撮に興味があった」という理由でハレンチ行為に及び、きらきらしい経歴のすべては煙となった。
 おそらくは一族の誇りであった人間は、一族の〈恥さらし〉となり果てた。
 もちろん、この一事をもって顧問の人生すべてが否定されたわけではなく、各方面における能力が急になくなったわけでもない。
 ただ、人間性に関する信頼を失ったに過ぎないが、それは社会人としての基盤を壊すほどの事件なのだ。
 だから『父母恩重経(ブモオンジュウキョウ)』は説く(意訳)。
「衣食住に不自由させないからといって真の親孝行にはならない。
 三宝へ帰依(キエ)させねば、親不孝である。
 なぜなら、いかに有能であっても、み仏の教えによって身を律することなく、ひとたび酒色に溺れれば、けだもの同様になってたちまち身を滅ぼし、親を辱める」
 私はこうした事件の報に接するたび、人ごととは思えず哀れを覚えて手を合わせ、我が身が保たれていることをみ仏へ感謝する。
 自分と彼らとの違いはほんの紙一重に過ぎない事実から目を背けるわけにはゆかない。
 もしも仏門に入らなければ、何かのはずみで自分が糾弾を受ける立場に立ったとて、それほど不思議ではない。

 生きものとしての根源的な欲望は色欲・食欲・睡眠欲であり、それに財欲と名誉欲が加われば仏法の説く五欲となる。
 欲望はまず、関心という形をとる。
 関心へどう対処するかが心のはたらきようを決める。
 ホーキング博士が「好奇心を持ち続けよう」と言っているのはこのことではなかろうか。
 いかなる方面への関心に集中し、いかなる方面への関心をうまく処置してしまうか。
 ここで真の知力が用いられれば、人生は大丈夫。
 だから、知力とは魂に発し、自他の尊厳を守る人間特有の力である。
 
 知力をもって生きる人は誠実です。
 片寄った見方である偏見など持ちようがなく、よりよい社会をつくる一員になります。
 事実、ホーキング博士はこう述べています。

「宇宙を生成して発展させるのに神に訴える必要はない」

 宇宙の創造主としての神を信じるキリスト教文明にあって、それを堂々と否定するのは科学者といえどもかなりな勇気が要ることでしょう。
 なにしろ、地球が動いていると気づいたコペルニクスでさえ、地動説を自分の死後に発表させたほどです。
 ローマ教皇庁が天動説を放棄して地動説を承認したのは1992年です。

 パラリンピックの標語「知の力で偏見に立ち向かい、よりよい社会をつくろう」を知って競技を観れば、選手たちが流す汗の奧にあるものが感得され、私たちの知力もアップするのではないでしょうか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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