コラム

 公開日: 2012-09-03  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい(その18) ─静かに長く続く熱心さ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈年配の方やお子さんに少しでも読みやすいようにと、手書きの般若心経を届けてくださった方がおられます〉

19 「つ」 熱心は永くつづけよ
 一時は熱心でも間もなく止めるのは、
 ほんとうの熱心ではない。
 やりはじめたら最後まで。
 静かに永続きする熱心こそ本当の熱心。

 これは三つのイメージが融合した精進のイメージです。

1 熱心さ…本気で真剣に取り組む熱い姿勢

 何かに打ち込むことと、関心を奪われることはまったく違います。
 打ち込んでやっている時には、まだ〈この先〉は遠くても、途中で〈ここまで来た〉という達成感を感じながら、階段を上るようにものごとを進められます。
 しかし、関心を奪われているだけであるならば、いかに強く惹かれようと、対象から意識が離れた途端、同じように他のものへ強い関心が生じて何の不思議もありません。
 いわゆる浮気性と呼ばれているタイプです。
 せっかく汗をかきかき上っていた階段を簡単に下りて別の階段を上ってみたくなります。

 こうした心理を利用して次々と機械やカードを買わせるようにしむけるゲームの世界には、小さくない問題があるのではないかと危惧しています。
 その点、子供たちの間で静かなブームになりつつある将棋には期待しています。
 もちろん、日々、コンピューターも動員して〈この先〉が研究されてはいますが、何十年も前に戦われた名局の棋譜は決して色あせません。
 決定的な一手のひらめきをもたらす知性の爆発ぶりはいつの時代も変わらないからです。
 棋譜をたどる者は異次元の力に驚嘆し、はてしない奥深さに畏怖しながら研鑽を積みます。
 子供たちに、こうした驚き、奥深さ、畏怖などを体験させたいものです。

 ゲームのように、変化に対して素早く二者択一的な〈反応〉をするのではなく、将棋のように、変化の先をじっと〈読む〉習慣はとても大切なのではないでしょうか。
 真の熱心さが生ずるために。

2 落ち着き…表面的には静かで落ち着きがあり、騒がず、ぶれず、淡々と行う姿勢

 こうした態度は、読書と対話によってもたらされるのではないでしょうか。
 読書している時間は淡々と流れています。
 文章の内容によって心にいかなる波が立とうと、かかわりありません。
 読書が終わった時、私たちの心には、その内容が記憶され印象が残ると共に、過ぎた時間の余韻といったものも漂っています。
 きっと「落ち着き」に関係してくる余韻の体験は、他のものから得ることはできません。

 対話もまた、時間の経過を感ずるきっかけです。
 それはきっと〈間(マ)〉に関係があるのでしょう。
 互いの言葉が重ならない時間を共に過ごすことには、言葉の内容に劣らないかけがえのなさがあります。
 だから、当山の人生相談では、きちんと袈裟衣を着けご本尊様と一体になる法を結んだ上で行います。
 沈黙を含む時間の経過そのものが救いとなって欲しいのです。

 子供たちに落ち着いた心を育てさせたいならば、読書をさせ、メールではなく、血の通った対話の時間を大切にする必要があると考えています。

3 覚悟…長く続ける強い決心

 津波にやられた石巻・門脇小学校の被災直後をふり返った映画『3月11日を生きて』に、寡黙だけれど忘れられない男子生徒がいます。
 大リーグの松坂大輔投手に似た彼は皆で避難した学校での一夜について訊かれ、表情を変えずに答えます。
「とにかく今日を乗りこえようと思いました」
 マイクはその先を待ちますが、口は閉ざされたままです。
 翌朝を迎えた時の気持についても
「今日を乗りこえようと思いました」
とだけ答えます。
 少なくとも被災した一晩、家族の誰も迎えに来なかった彼にいかなるできごとがあったのかは知るよしもありません。
 しかし、彼なら、ずっと耐え続けられるだろうと思わされられました。
 いわゆる利発なタイプではないかも知れませんが、覚悟をもって何かを成し遂げることでしょう。

 テレビに映りたいばかりに犯罪を犯す勘違いした人間まで生み出す時代ですが、どこででも〈目立つ〉ことに価値があると考えるのは錯覚です。
 お笑い番組も、政治討論の番組も、誰かの言葉を遮って自分を目立たせる人間だらけであり、目立った者を勝者に見せる番組構成になっています。
 こうした娯楽の原理が日常生活のすべてを覆っている風潮には根本的な誤りがあると考えています。
 相手の言葉を遮ることは、相手を尊重しない非礼・無礼・失礼であるという事実をしっかり教育しましょう。
 心から互いを尊び合うという社会人としてのふるまい方をないがしろにしたまま、声高に人間の尊厳や人権などを叫んでだとて、大人も子供も我(ガ)を肥大させるばかりで霊性は輝かず、心の刺々しさが増すばかりです。

 1・2・3の三つを意識して指導し、静かに長く続く熱心さを持った子供たちになって欲しいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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