コラム

 公開日: 2012-09-04  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい(その20) ─力の出し惜しみをしない─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈じっと身を潜めている小さな彼ですが、いったん全力でジャンプしようものなら……〉

21 「な」 汝の全力を揮(フル)え
 獅子は兎を博つにも全力を揮う。
 全力だ。
 全力だ。
 全力は揮うほど強くなる。
 偉人を見よ。
 みんなが少年時代から全力を揮った人だ。

 ライオンが獲物のウサギ一匹をつかまえるためにも全力で走るように、何ごとも、一生懸命にならなければきちんと成し遂げられない。
 これは、よく言われるたとえ話です。
 ただし、実際は、ライオンよりもウサギの方が早く走れるので、ライオンなりに必死で追いかけねばならないというのが真相です。
 ともあれ、要は、イメージの問題です。
 別なたとえとしては、横綱と平幕下位の力士が対戦する場合も挙げられます。
 通常、力量の違いは歴然としていますが、横綱は決して力を抜いた相撲をとらないとされています。
 第一の理由は、心・技・体のどこかが緩むと、ケガをする怖れがあるからです。
 相手へケガをさせるかも知れません。
 ゴルフのスウィングなどで眼の前にあるものを叩こうとした時、から振りすると身体に変な負担がかかるようなものです。
 礼儀作法、勝負の厳しさ、他の理由もいろいろあり、横綱は手加減せずに相手をしとめようとするはずです。

 前石巻市立門脇小学校校長鈴木洋子先生は、教師になって間もなく、宮城県沖地震(昭和53年)に遭いました。
 寝床へ和箪笥が倒れ、蛍光灯や食器が全部落ちるなどの体験は、いざという時の構えをしっかりしておかねばならないという気持を堅固にさせたそうです。
 教師も児童も保護者もなかなか力が入らない地震や津波へ対応するための避難訓練は、形だけでなく、必ず本気で行うよう何年も繰り返し指導してきました。
 皆の体験はさまざまな工夫を生み、だんだんに本気度も上がりました。
 しかも、先生は「最も恐れるのは、混乱の中で児童の掌握ができない状態になること」と見極め、児童の規範意識の醸成にまでとり組みました。
「1 廊下は静かに歩く。
 2 朝会や集会時の集合・整列・移動は静かに整然と行う。
 3 静かに話を聞く。」
 先生は「これらの行動様式は、授業づくりの上での前提条件」とし、「この徹底にあたっては、厳しく律するというのではなく、望ましい行動ができたことを褒めながら、よりよい行動が定着するように学校全体で取り組んできた」と述懐されています。
 その結果、3月11日の避難にあたっても「涙ぐんだりする子はいたものの、わめいたり、泣き騒いだりする児童はいなかった」と報告しておられます。

 私たちが避難訓練などにどうしても本気になれないのは、心のどこかで「悪い事態は起こって欲しくない」と願い、「どうせ、悪い事態は起こらない」という勝手な断定をしてしまうからです。
 ここを脱して訓練が意義ある訓練になるためには、悪しき事態の具体的なイメージをしっかり持つことと、何としても自他を守るという強い決意が必要です。
 先生は地震の恐ろしさを骨身に刻み、児童と教師を守るという使命をしっかりと自らへ課したからこそ、本気で粘り強い訓練を重ねてこられたのでしょう。
 先生も、児童も、教師も、そして保護者や地域の人々も全力を挙げて防災活動にあたってきたからこそ救われたという事実の重さ、月日を重ねた訓練の重さに脱帽する思いです。

 私たちは簡単に「これで全力」と諦めがちです。
 一方、「火事場の馬鹿力」の事実もあり、これで精いっぱいと思っても実際は筋力の20パーセントほどしか使っていないという説もあるほどです。
 だから、私たちは、普通の日常生活にあっては、まだまだ余力があると考えられます。
 また、今回の教えに「全力は揮うほど強くなる」とあります。
 それは私にもよくわかります。
 入門したての頃、「お経は全力で唱えよ、力を抜くな」と厳しく指導されました。
 もちろん、最も大きな声を出せという単純な意味ではありません。
 私は、「一瞬も緩まずに最大の集中力を持続し切れ」と受けとめて今日まで来ましたが、内実はまだまだです。
 それでも、徐々に進んでいることは確信できます。
 強くなっているのです。

 若い方だけではなく、私たちは、魂のレベルにおいて一生が成長過程です。
 全力を揮い、レベルアップし、さらに全力を揮い尽くしたいものです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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